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天国に近いケイマン諸島 − タックス・ヘイブンの裏表
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 昨年11月より話題になったオリンパスの巨額損失隠しと、最近では年金資産2000億円が消失して問題になっているAIJ投資顧問会社は共通するものがある。それは美しいカリブ海に浮かぶ英国領のケイマン諸島のファンドを悪用していることで、両事件はその構図や人脈などが重なるようだ。
 この両社の事件に限らず、タックス・ヘイブン、即ち租税回避地として耳目を集めているケイマン諸島は、過去度々その名前が上がり話題になってきた。


 キューバとジャマイカに挟まれ、スティーブンソンが書いた小説「宝島」のモデルにもなったケイマン諸島は、英国王室直轄の海外領土である。人口約4万人、面積が屋久島の半分ほどの259k屬半さい諸島で、世界地図では点に過ぎない。しかし、ダイビング・パラダイスとして世界的に知られるダイバー憧れの聖地になっており、ケイマンは2つの相反する両極端の顔を持つ摩訶不思議な島である。

 その1は「脱税の島」としての裏の顔であろう。1970年以降に会社設立が容易にできる事や税務上の優遇策がとられた事から、様々な類の資金が流れ込むようになった。500を超える銀行が集まり、9万社の法人が登記され、1万もの多数のファンドが登録されている由。日本の証券投資残高(2005年の時点)はアメリカやオランダに次ぐ約36兆円と言われる。(後記:2015年末時点では実に74兆円と倍増した。)

 タックス・ヘイブンと言えば、税金が免除される天国(タックスヘブン)と勘違いされがちだが、ヘイブン Havenとは港のことで、課税という嵐を回避するための港を意味する。例えば、ケイマンに会社を設立すれば、その法人所得に対して税金が掛からない。また、英領バージン諸島などに比べても、会社やファンドの設立や運営の規制が緩やかだ。さらに、現地に行かなくても24時間以内に法人登記が簡単にでき、その業務内容も開示されない。

  
ケイマン諸島を囲むカリブ海  グランド・ケイマン島を   ジョージタウンの目抜き通り
地図(出展:帝国書院地図)     上空より俯瞰    散策するワールド・トラベラー

 英国領であるが、イギリス本国の厳しい金融規制が適用されない。そのため金融取引が活発で、資金運用に極めて都合が良い。故に各国の企業は、こぞってケイマンにペーパーカンパニーやファンドを作りたがる。オリンパスの場合はケイマンに設立したファンドに損失含みの金融資産を買い取らせる、いわゆる「飛ばし」が行われた由。

 もう1つは、カリブ海有数の美しいリゾートアイランドとして国際的にも知られる表の顔である。筆者は2000年12月にケイマン諸島を訪れたが、もちろん観光のためで、ファンド絡みのビジネスではない。この時にはアメリカのマイアミを拠点にし、カリブ海の代表的なリゾート地、中南米諸国のコロニアルな町々やマヤ遺跡を巡る旅を楽しんだ。 
 例えば、西半球の最貧国ハイチ、1997年6月以来の再訪となったジャマイカ、ユカタン半島南部にあるベリーズ、中米では珍しく内戦が無かったホンジュラス、「中米の日本」と呼ばれるほど勤勉な国民が暮らすエルサルバドル、旅行当時はコカインとゲリラ活動で悪名高かったコロンビア。豊かさと貧しさ、陽気さと暗さ、寛容と執念深さなど相反するものが混然とする不思議なラテン・アメリカ周遊は、22年振りに海外でクリスマスを迎える貴重な旅にもなったのを今も鮮明に記憶している。

 ケイマン諸島は3つの島から成るが、主島は諸島のなかで最大の島であるグランド・ケイマン。16世紀にコロンブスが発見したと言われ、海賊伝説がある島には海賊のモニュメントが多い。面積は198k屬如逆L字型をしている。わずか3日間の短い滞在であったため、同島の島内を久し振りにレンタカーで効率よく周遊した。
 訪れた主なスポットは 「カリブ海のロングビーチ」と呼ばれるセブンマイル・ビーチ、イギリスの面影を今も残す町ジョージ・タウンではケイマン国立博物館やジョージ砦など、黒い石灰岩層がまるで地獄の様相を呈するウェスト・ベイ地区のヘル、ノース・サイドで白砂の美しいビーチが広がるラム・ポントなどだ。

  
 セブンマイル・ビーチを散策   まさに地獄のようなヘル     美しいラム・ポイント
   
  英国王室が時々バカンスを過ごしにやって来るだけあって、高級感と洗練された雰囲気を持つお洒落なリゾートアイランドである。日本の運転免許証だけで簡単に借りられるレンタカーでグランド・ケイマン島内をつぶさに回り、至福の時を過ごした。
 
 特に印象に残ったのは、名前の通り、長い白砂ビーチが延々と続くセブンマイル・ビーチである。透明度の高いアクアブルーの海に臨むビーチには、豪華な高級ホテルがずらりと建ち並び壮観で素晴らしい。
 首都ジョージタウンの沖合いに10万トン級の巨大なクルーズ船が停泊している港の風景も美しく、街中はクルーズ客の買い物で活気があった。ただ惜しむらくは、アメリカからの富裕層の観光客が多いためか、ホテル代も含め全般的に物価が高いことだ。
 島央部の北岸に位置するノース・サイドの西端にあるラム・ポントでは、一幅の絵を見るような白砂の美しいビーチが広がり、赤く染まるサンセットの眺めが最高だ。また、半潜水艦ツアーに参加したが、熱帯魚が群れを成して回遊する海中は”幻想的”という以外の言葉が見当たらず感動した。

 一般にタックス・ヘイブンという暗いイメージのあるケイマン諸島だが、その実像は治安が良く、風光明媚なリゾートアイランドである。特に海やマリンスポーツが大好きな人たちは是非とも訪れ、ケイマン諸島の表の顔の実像を理解して頂きたい。まさに百聞は一見に如かずである。
 と言っても、ケイマン政府や本国の英国から見返りの報酬は一切もらっていない事を、念のために付記して置く。

    
     ジョージタウンの港で     セブンマイル・ビーチで   マリオット・ビーチ・リゾート
    停泊するクルーズ船      ボートや遊泳を楽しむ


 最後にケイマン諸島をかばう訳ではないが、世界にはタックス・ヘイブンになっている国や地域は意外に多い。例えば、ヨーロッパではモナコ・サンマリノ・リヒテンシュタインなど、中東ではアラブ首長国連邦やバーレーンなど、カリブ海地域ではバハマやバージン諸島などがある。その数は50以上もあり、2000兆円とも、3000兆円とも言われる巨額の資金が運用されているとか。それは世界のGDPの3分の1ほども占めると言われる。因みにワールド・トラベラーはこれらの国・地域をすべて訪問済みである。
 しかし、忘れてならないのは、アメリカ合衆国こそが世界で最も悪質なタックス・ヘイヴンと唱える者もいたりするほどだ。実際にデラウェア州の法人制度や税制は、世界中のタックス・ヘイブンのモデルにもなっているとか。この税逃れに対して今後各国の規制は厳しくなることが予想されるが、タックス・ヘイブンの舞台になっている小さな国や島では産業や資源が無く、自活のためタックス・ヘイブンが必要悪な実情がある。

 旅行会社のパンフレットでは、天国に一番近い島は南太平洋のニューカレドニアとPRされている。筆者も1994年4月に訪れたことがあるが、言われるほどでもない。むしろケイマン諸島が天国により近いかも知れない。それは観光面はもちろん、タックス・ヘイブンでも魅力たっぷりの島のようである。

(後記)
 2016年に
パナマ文書という秘密ファイルが流出し、各国の政界を揺さぶるなど国際的な大スキャンダルになりそうである。国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ) などによる分析で、現職の世界の国家指導者らが利用したり関与するタックス・ヘイブンの実態が明るみに出たのだ。詳細は2016年4月6日付け幣ブログ「パナマ文書で騒然のタックス・ヘイブンとパナマの旅」参照。
 

                            ◇◇◇  ご案内  ◇◇◇

  

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