世界の人形館からの夢メッセージ

夢と寛ぎを紡ぐワールドスクエア
<< 乱舞する大輪の花タイタンビカス | main |  座礁船の重油が流出したモーリシャスの想い出 >>
モスクに変わったアヤソフィアの想い出
11

 トルコ最大の商都イスタンブールにあるアヤソフィアは、世界遺産の博物館として有名である。支配者が変わるたびにその用途が変更されてきた数奇な運命を持ち、何と一昨日(7月24日)モスクに変わってしまったのだ。86年ぶりとなる金曜日の集団礼拝が行われたが、イスラム教の価値観を重んじるトルコのエルドアン大統領の決定には特にキリスト教圏から失望の声が上がった。今後はキリスト教徒が多い欧米諸国などとの溝が深まることも懸念され、トルコが念願とする欧州連合(EU)加盟も遠のくのではなかろうか?

 アヤソフィアはビザンツ帝国時代の537年に当時のコンスタンチノープル、現在のイスタンブールにキリスト教の大聖堂として創建され、1000年近くギリシャ正教の総本山であった。しかし、1453年にオスマン帝国のもとでイスラム教のモスクに改修され、ミナレットという4つの塔が立てられ、内部には「預言者ムハンマド」などと書かれた円盤状の飾りが設置された。その後アタチュルク初代大統領による近代トルコ建国後の1934年に博物館に変更され、異なる宗教や文化の共存の象徴とも呼ばれてきた。

 

 

  アヤソフィアを俯瞰    アヤソフィアの内部

 

 礼拝は新型コロナウイルス対策として、マスクを着用して互いに距離をとって行われた。エルドアン大統領は礼拝の間に限り、キリスト教を題材にしたモザイク画などを布で覆うが、普段は従来通り公開するとしている。ところで同大統領の意図は、政教分離や世俗主義を掲げてきた国是に対し、イスラム教の価値観を重視する政策を進めてきた。以前は禁じられていた公の場でのスカーフの着用を解禁したほか、この度アヤソフィアのモスク化に踏み切った背景には政治的な動機もあるようだ。
 実はエルドアン大統領が率いる政権与党は昨年首都アンカラやイスタンブールの市長選挙で相次いで敗れるなど、最近人気に陰りも見えている。さらに新型コロナウイルスの影響で国内経済が大打撃を受け、国民の不満も多い。斯様な情勢下、アヤソフィアをモスクに戻すことで、保守的な支持層を繋ぎ止める狙いがあったのではと憶測されている。キリスト教圏からの失望の声に対して同大統領は、「アヤソフィアをどう使用するかはトルコの主権に関わることだが、今後とも誰もが訪問できるようにする」と述べて理解を求めている。

 

 世界で唯一アジアとヨーロッパという2つの大陸にまたがるイスタンブールを、筆者は1973年3月の初訪以降10度も訪れている。1975年9月には、家族(妻・長男・次男)を連れて行ったことがある。多彩な魅力に溢れた街は香港などに似た情緒もあり、旅情を誘う見どころが実に多いので何度訪れても飽きる事がない。トプカプ宮殿、ブルーモスク、アヤソフィヤ博物館、グランド・バザールの4点セットは、誰もが知っている必見の定番スポットだ。

 

 

 長男・次男と共に    1996年に訪れた筆者

  (1975年)

 

 中でも大好きな観光スポットが、数奇な運命を辿ってきたアヤソフィアである。トプカプ宮殿の隣に建っているアヤソフィアは、赤茶色の外壁が印象的だ。「ビザンチン建築の最高傑作」と評されるほど当初ギリシア正教の大本山として君臨しながら、後にイスラム勢力の拡大で回教寺院に姿を変えた。1932年にはケマル・アタチュルクが初代大統領になると、博物館として衣替えした流転の歴史がまず興味深い。

 1931年にアメリカ人調査隊により、内壁の中のモザイク画が発見後、ビザンチン時代の遺跡として注目されるようになった。必見はギリシャのロードス島で産出された軽レンガでできた直径31m、高さ56mの大ドーム屋根、マリア像やユスチニアヌス大帝などが描かれた多数のモザイク画、大ドームの中に掲げられ金色のアラビア文字で書かれた黒の円板、6本もある高いミナレット(尖塔)などがある。何度訪れても、見飽きない魅力がある。

 

Copyright ©The World Doll Museum WDM. All Rights Reserved

| 世界の旅−中東・北アフリカ | 18:03 | comments(0) | - | - | - | ↑TOP
スポンサーサイト
0
    | - | 18:03 | - | - | - | - | ↑TOP
    コメントする









    PR
    PROFILE
    LINKS
    CALENDAR
    S M T W T F S
      12345
    6789101112
    13141516171819
    20212223242526
    27282930   
    << September 2020 >>
    SELECTED ENTRIES
    CATEGORIES
    ARCHIVES
    新着コメント
    • 2018 FIFAワールドカップの舞台ロシアの旅−モスクワの今昔
      高 (06/25)
    • 2018 FIFAワールドカップの舞台ロシアの旅−モスクワの今昔
      相子 (06/24)
    • 米朝首脳会談の舞台セントーサ島と我が総理の外交に想う
      高 (06/20)
    • 米朝首脳会談の舞台セントーサ島と我が総理の外交に想う
      相子 (06/19)
    • 史上初の米朝首脳会談が開催されるシンガポールの今昔
      高 (05/19)
    • 史上初の米朝首脳会談が開催されるシンガポールの今昔
      相子 (05/18)
    • 14年ぶり首相に返り咲くマハティール氏とマレーシアの旅(3)
      高 (05/11)
    • 14年ぶり首相に返り咲くマハティール氏とマレーシアの旅(3)
      相子 (05/11)
    • It's Sho-Time ! 二刀流の大谷翔平選手が活躍するロサンゼルスを懐かしむ
      (04/16)
    • 81歳と春の花と国会混迷
      高 (04/16)
    MOBILE
    qrcode