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中印衝突の地・ラダックの想い出
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 米国との貿易摩擦や新型コロナウイルス感染の震源地になった中国が、ひょっとすれば戦争を起こすかもしれないとの懸念が世界中にかなり広がっている様だ。最も懸念されるのは米中の偶発的な衝突だが、それよりも意外に風雲急を告げそうなのが中国とインドの国境紛争問題かも知れない。

 両国間の緊張は5月から続いていたが、ついに一昨日(6月15日)に起きた衝突では、中国とインド両軍合わせ60人以上の死傷者が出た。国境付近での両国紛争で死者が出たのは、1975年以来の45年ぶりのこと。新型コロナのパンデミックなど不安定な世界情勢下、このままでは1962年の中印国境紛争のような危機になるのではないかと憂慮される。

 

 今回の両国衝突は、インドが支配するジャンムー・カシミール州東部のラダック地区のギャルワン渓谷あたりで勃発した。現地はヒマラヤ山脈とカラコルム山脈に囲まれた標高4300メートルの険しい高地だ。15日夜に衝突が起こり、インド軍側に大佐を含む3人の即死者が出たほか、負傷者17人が翌日夜までに亡くなった。さらに数十人が行方不明で、中国側の捕虜となっている模様。

 両国は共に核兵器保有国であるだけに、斯様な緊張が今後どのような軍事力行使に進展するかどうか予断を許さない。15日の衝突では双方は火器銃器を使用せず殴り合いや投石などによる戦闘があったよう。インドのテレビ報道によれば、中国兵士もかなり殺害されたようだが中国側からは発表はない。

 

 

 

 インドは中国のほかに、パキスタンとも対峙するジャンムー・カシミールに就いては、筆者は2008年7月に訪れている。その旅の模様は、2019年3月12日付け幣ブログ『インドとパキスタンが領有権を争うカシミールの桃源紀行』で紹介済みだ。今回は中印両軍が衝突したラダック地方を、一部重複するが詳述しよう。

 

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 イスラム文化が息づくスリナガルから空路で東へ飛び、約45分後に行政的には同じジャム・カシミール州に属するが、チベット的な風土を持つラダック地方の中心都市レーに到着した。飛行中に機内から眺める風景も、緑豊かなスリナガル盆地から厳しく荒涼たるラダック山地に変わる。チベットが源流でインダス河の上流に位置するラダック地方は、「小チベット」とも呼ばれるほどチベット仏教(ラマ教)の世界が広がる。その中心的な役割を担うのがラマ教の僧院ゴンパで、その規模や豪華さは本場チベットの寺院を凌ぐものもあるほどだ。

 

 レーは本国インドの首都デリーの北およそ1040km、シュリナガルの西約430kmに位置し、パキスタンや中国との国境に近い。標高は3505mで、人口は約10万人。旧ラダック王国の都として栄え、僧院ゴンパなどがチベット仏教文化の影響を今も残す辺境の町である。今も中世の面影を残す市内では、旧レー王宮が必見である。

 

 

      旧レー王宮               レ―郊外で少年僧と共に

 

 町の北背後の岩山に聳える威風堂々の建物で、ラダック王国が繁栄した16世紀に築かれた。この王宮を眺める絶好ポイントのひとつは、旧市街の中心にあるメイン・バザール付近をお勧めだ。ほかにツェモ・ゴンパ、眺望抜群の丘の上に建つシャンカル・ゴンパ、目抜き通りのフォート通り、ソマ・ゴンパ、ジャミア・マスジッドなどを訪ねた。 

 

 レーを拠点にしてインダス河沿いの各地のゴンパを巡ったが、南東郊外43kmにあるヘミス・ゴンパが最も有名だ。17世紀前半に創建されたラダック最大のゴンパで、僧が神々の仮面をつけて豪壮に踊るヘミスの大祭で知られる。レーとヘミス・ゴンパの中間にあるティクセ・ゴンパは15世紀に険しい岩山に砦のように築かれ、チベット・ラサのポタラ宮を彷彿させる。

 

 

       ヘミス・ゴンパ                      ティクセ・ゴンパ

 

 ほかに、西郊外約60kmのリキール・ゴンパ、町の北外れの丘にそびえ建つ白亜のシャンティ・シャンカル・ゴンパも見逃せない。また、殺伐として不毛の感のあるラダック地方に潤いを与えるのがインダス河だ。レーの西郊外のゴンパ巡りは雄大で険しい渓谷を育むインダス河沿いに進み、特にザンスカル川がインダスに合流するポイントが絶景だ。

 

 

シャンティ・シャンカル・ゴンパ      インダス河

 

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 中国外務省によれば、本日に両国の外相は中印両軍間で15日発生した衝突を巡り電話会談し、国境付近の安定を維持することで一致したよう。だが、両軍は度々衝突を繰り返しており、直ぐに緊張緩和するかは不透明である。中米摩擦に加え、中印衝突の今後も注視する要があろう。

 

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