世界の人形館からの夢メッセージ

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新型コロナとイスラム教の断食月(ラマダン)
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 新型コロナウイルス感染拡大が衰える気配がないため、容易に外出できない鬱陶しい毎日が続く。その気晴らしにと、拙宅(世界の人形館)の玄関ポーチに置いている花の手入れに精を出した。今年は特にツツジの咲きっぷりが良く、この花を愛好した故人の

妻をふと想起した。

 

 今年のイスラム教の断食月(ラマダン)が世界各地で始まった。5月23日まで続くが、イスラム諸国は過去無かった異例の新型コロナウイルス対策に苦慮している。この期間中は日の出から日没まで、イスラム教徒(ムスリム)の重要な義務である断食(サウム)のため飲み食いを一切絶たなければならない。私ことワールド・トラベラーは現役時代の1970年代〜1980年代の約9年間、クウェートとインドネシアのイスラム圏に駐在員として住んだことがあり、ムスリムではないが断食を半分ほど経験している。
 宗教上の義務であると同時に、日没後の食事や礼拝を共にすることで信者同士の連帯が強まるのがラマダン。しかし、新型コロナが猛威を振るう本年は、感染拡大の防止とどう両立させるかでイスラム諸国を悩ませているよう。ムスリムが多数を占めるマレーシアではムヒディン首相が、ラマダン期間中の礼拝について国民に「モスク(イスラム礼拝所)に行かず、家族と一緒に家で礼拝してほしい」と呼びかけた。世界の総人口の4分の1を占めるイスラム圏と、アフリカ諸国で感染拡大すれば、文字通りのパンデミックになるばかりか、深刻な世界恐慌にもなろう。

 

  

アラブ首長国連邦のアブダビ: 1975年クウェート

シェイク・ザイード・ビン・  駐在員時代の筆者

スルタン・ナヒヤン・モスク


 実際に、1か月のラマダン期間中は様々なリスクが懸念される。例えば、(1)モスクでの集団礼拝は3密の典型となり、大規模なクラスター(集団感染)になりかねない。(2)断食すると体力低下は不可避で、感染リスクが高まる。アルジェリアの政治家は、空腹で体力が落ちるため断食を中止すべきだと主張するほどだ。(3)断食を一時的に中断する夜間〜早朝は大勢が集まり食って飲んでの大騒ぎをし、濃厚接触するなど危険この上ない。(4)ラマダン明け後の連休(インドネシアはレバランと言う)は人の移動が活発で、都市部から地方へ大量(インドネシアでは約2000万人)帰省するので3密になりやすい。

 

 

インドネシアのジャカルタ: マレーシアのクアラルン

モスクで礼拝する女性たち  プール:ラマダン明け後

 

 感染リスクが高くなるほかに、経済などでもマイナス面が多い。ラマダンは宗教心が強まると同時に、1年で最も消費が高まる時期でもある。しかし、中東最大の人口を誇るエジプトでは、集団行動の自粛や夜間の外出禁止といった措置が取られており、市民が楽しみとする断食後の買い物が冷え込むのは必至だ。他国も同様の影響は避けられそうになく、景気後退は明々白々である。

 

 因みに、断食とは、欲望から身を清め、すべての欲望を断つことを意味する。貧しくて食べることが出来ない貧者を理解し、健康的にも良いとされる。また、禁欲にはセックス、禁煙、投薬なども含まれる。ただし、重病人や妊婦、乳幼児、重労働者、兵士などは免除され、基本的に異教徒は強制されない。筆者はクウェート&インドネシア駐在時代に断食そのものはしなかったが、断食をしている信者の近くでは飲食を控えた。当然のエチケットである。詳細は幣著書『ワールド・トラベラーだけが知る素顔のイスラム(新潮社)』をご愛読下さい。

 

 

  『・・・素顔のイスラム』1,500円+税

 

 Amazonや書店、世界の人形館(電話04−7184−4745)のいずれかでお買い求めをお願いします。

 

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