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パスポートを売る地中海の島国マルタの旅(1)
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 裕福な外国人をターゲットにし、パスポートを売る国がある。欧州連合(EU)の参加国で、地中海に浮かぶ小さな島国マルタである。外国の有能な人材を獲得して経済の活性化を目指すため同国は、2014年に特別に外国人に市民権を与えるという思い切った政策を始めた。それは「個人投資家プログラム(IIP)」と言い、マルタのパスポートが得られるので「ゴールデンパスポート制度」とも呼ばれる。因みに、同様な制度は2008年の金融危機後に、キプロスやブルガリアでもあった。

   マルタの人口は僅か50万人で、我が国では最小人口の県である鳥取県よりも少ない。また、天然資源にも恵まれず、競争力のある産業は観光を除けばほとんど無い。斯様に豊かでない小国だが、先述の制度の導入で近年は好景気に沸いているとか。市民権を得た外国

人がオフィスを構え、工場を建設し、さらに投資をしているのだ。お陰でマルタのこの5年間の経済成長率は5〜10%を達成し、EUの平均1〜2%を大きく上回る。

 

 だが、このプログラムは誰でも応募できるほど容易ではなく、条件は相当厳しいらしい。たとえば、65万ユーロ(約7800万円)の寄付のほかに、35万ユーロ(約4200万円)以上の不動産物件を購入するか、あるいは年間家賃1万6000ユーロ以上(約190万円)の物件を借り、さらにマルタに1年以上住んでいることが要求される。それでも人気があるのは、マルタの市民権に加えEUの市民権も得ることができ、ビザなしでドイツやフランスなどEU内を自由に移動できるからだ。また、EU内であれば、投資活動も制約を受けずに自由にできる。

 上記のような恩恵を受けようとする応募者は、中国、ロシア、中東の出身者が多いとの由。いずれもビザ取得で制約があり、海外渡航の自由度が低い国の出身が多く占め、彼らがマルタ・パスポートに魅かれるようだ。ただ、この制度を悪用するケースもあるとか。たとえば、マネーロンダリング(資金洗浄)や税逃れ、スパイが紛れ込んでEUの安全保障を脅かすなどである。今後は審査を厳しくする動きもある。そんなマルタを、筆者は1997年11月に訪れているが、マルタの中心、マルタ本島の旅の模様を紹介しよう。

 

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 イタリアのシチリア島の南93kmほどに浮かぶマルタは、日本の淡路島の半分ほどの小さな島国だ。その中心はマルタ本島の東部にあるヴァレッタ。濃いハチミツ色に輝く人口9000人の首都で、「宮殿の町」とも呼ばれる。16世紀オスマントルコの攻略に備え、聖ヨハネ騎士団がセベラス半島の岩稜の上に築いた難攻不落の堅固な城塞都市である。1980年、ユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録された。マルタ・ストーンと呼ばれる蜂蜜色の石灰岩の建物が並び、バルコニー風の出窓がこの町の建物を特徴付ける。入江深く築かれた城塞都市は、今もほぼ完全に昔ながらの姿を残す。マルタの見所の大半はこの町に集中し、ヴァレッタほどの規模と美しさを持った城塞都市は世界でもあまり類を見ない。

 

 

 ヴァレッタやスリーシティ   ヴァレッタの中心

     を俯瞰

 

 特にバラッカ庭園から一望すると、眼下のグランドハーバーや、対岸のスリーシティのヴィトリオーザ・セングレア・コスピークア3つの町並みの眺めが壮観だ。1573年から1577年にかけて建てられた聖ヨハネ大聖堂は、豪華な壁画や床一面に敷かれた大理石のモザイクに圧倒される。礼拝堂には天才画家カラヴァッジョの傑作、聖ヨハネの斬首がある。1570年から10年にわたり建てられ、かっての聖ヨハネ騎士団の栄光が偲ばれる騎士団長の宮殿は、武器庫や大きなフランス製のタペストリーなどが見逃せない。

 

 

 バラッカ庭園からスリー       騎士団長の宮殿で小学生や

  シティを背にして      先生に歓迎される

 

 島の南海岸にある青の洞門ブルー・グロット は、荒波と強風でえぐられ大きなアーチを描く。水中にゆらめく海藻の輝くばかりの燐光を反射して幻想的美しさを見せる。迫力十分な景観は、遊覧ボートから見上げるとなお一層良い。

 島のほぼ中央に位置する古都ムディナは「沈黙の町」とも呼ばれ、くねくねと伸びた細い路地が多くアラブの香りが漂う。13世築のシチリア・ノルマン様式の大聖堂、マルタ島北部が見渡せるタスール広場の城壁、1370年に建てられたマルタで最も古い貴族の館インガネスの家、ギリシア門、保塁広場、隣町の門前町ラバトなどを訪れた。

 

 

 青の洞門ブルー・グロット  ムディナの大聖堂前で

 

 マルタ観光の必見スポットはヴァレッタに多いが、もう一つはマルタ本島の北西6kmにあるゴゾ島である。この美しい自然に囲まれた島については、次回に詳述しよう。

 

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 間もなく83歳になる筆者も20〜30歳若ければ、マルタのパスポートを取得してEU市民になりたいのだが・・・。

 

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