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大統領が亡命したボリビアの旅(1)
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 南米のほぼ中央に位置する貧しい国、ボリビアを14年間率いたモラレス大統領は、同国で初めての先住民出身の大統領として一時は圧倒的な人気を誇った。しかし、10日前(11月12日)に辞任してメキシコへ亡命した。なぜ辞任したのか?その3週間前に実施された大統領選を巡り、開票結果が不正に操作されたとして抗議デモが拡大。当初はモラレス大統領と2位のカルロス・メサ元大統領との差は、当選条件の10ポイント以下だったが、最終的にモラレス大統領は10ポイントを僅かに上回り当選した。しかし、米州機構(OAS)が大統領選で明白な不正操作があったと見做し、開票結果の無効を求めた。

 するとモラレス氏はOASの訴えを認めてやり直し選挙を発表したが、2位のカルロス・メサ氏はモラレス氏の不出馬を求め、ボリビア軍の最高司令官も事態鎮圧のために辞任を求めたことで情勢が急変し、最後は亡命を余儀なくされた。モラレス氏に反発していた人々は花火を打ち上げるなど各地で同氏の辞任を喜んだが、国外では各国首脳の反応は様々だ。アメリカのトランプ大統領は「西半球の民主主義にとり重要な瞬間だ」と歓迎した一方、モラレス氏を支持していたキューバやヴェネズエラの大統領は卑怯なクーデターだと非難した。

 

 2006年に初当選したモラレス氏はコカ栽培農家に生まれ、先住民出身の大統領として貧困問題に向き合い、ボリビア経済を立て直したしたことで称賛を得てきた。また、西半球で圧倒的な力を誇るアメリカにとり、中南米はアメリカの「裏庭」と呼ばれるが

 亡命前のモラレス氏

、同氏はこれを嫌って反米左派を掲げて抵抗した。しかし、政権が長引くにつれ、独裁色を強めてしまったのだ。2016年の国民投票では過半数が大統領任期の制限引き下げに反対し、大統領任期の上限が廃止された。物議を醸す中で行われた先月の大統領選で連続4期目の当選を果たしたが、先述の通り不正が指摘された上に軍や警察も離反してしまったのでは万事休すだった。

 

 斯様な政変が起きたボリビアを筆者は1998年11月に訪れており、今回はラ・パスと郊外を訪れた時の模様を紹介しよう。

 

  ☆━…━☆━…━☆━…━☆━…━━…━

 

 海を持たない高原の国、ボリビアの首都ラ・パスの標高は3650mで、人口は約120万人。大きなすり鉢状の街には、なだらかな傾斜に日干しレンガ造りの家々、コロニアルな建物や高層ビルが密集する。南米の都市の中で最もインディヘナ人口が多いが、彼らは貧しい。街の背後に顔を出す冠雪したアンデスの山並み、少し急いで歩くと苦しくなる。4000m近い高度などから世界最高所の首都に来たことを実感する。

 首都と言っても、憲法上はスクレになっているが、行政・立法府がラ・パスにあるので、事実上の都として認知されている。市街地の上と下で、700mほどの標高差がある。また、坂道が多く、石畳が続く街並みは慣れるのに少々時間を要する。街の感じを掴みたいなら、いくつかある丘からの眺望がおススメだ。街の東外れにあるライカコタの丘から、雪を頂いた6402mの高峰イリマニ山をはじめ、月の谷 と呼ばれる侵食された谷、マッチ箱見たいな家々などが一望でき絶景だ。

 

         −−− ライカコタの丘からの眺め −−−

 

ラ・パス市内とイリマニ山を望む  市内を背にする筆者

 

 街の西外れのエル・アルトのエル・ミラドールからの眺めも良い。ラ・パス市内の観光は、旧市街セントロ付近に集中している。ムリリョ広場は街の中心となる広場で、国会議事堂、大統領官邸、カテドラルなどに取り囲まれ、広場の中央には独立の英雄ムリリョの像が立つ。 カテドラルから東へ少し歩くと広いサンフランシスコ寺院広場があり、広場から庶民的な雰囲気があるのがサガルナガ通りを南下すると、様々な民芸品などを売る店が並び興味深い。

 

    −−− ラ・パス市内の中心 −−−

 

    ムリリョ広場     サンフランシスコ寺院広場

 

 郊外では、車で30分ほど、南近郊にある月の谷が見どころである。薄茶色のごつごつした岩肌の谷が広がり、まるで月面の世界に迷い込んだかのような錯覚に陥る。一方、72km西郊外に位置するティワナク遺跡はティティカカ湖畔の南側にあり、紀元前600年頃から約1800年間続いた謎の宗教都市遺跡だ。広大な遺跡だが、レリーフが見事な太陽の門以外は少々期待外れであった。

 

 

      月の谷      ティワナク遺跡の太陽の門

 

  ☆━…━☆━…━☆━…━☆━…━━…━

 

 資源に恵まれ豊かな潜在力を秘めるが、貧困などの格差が酷い中南米の混迷を考察する場合に無視できないのが、アメリカの露骨な内政干渉という歴史的な問題だ。例えば、今も混乱が続くベネズエラでは、トランプ大統領は親米化を促す圧力を続ける。最近でもボリビア以外に、チリやアルゼンチンでも動乱が続く。特にチリではピニェラ政権下で格差が拡大し、今月予定されていたAPEC首脳会議が開催中止に追い込まれたほどだ。

 汚職や治安に対し真摯に取り組もうとしない不毛の政治が、クーデターのような政変を繰り返すのであろう。ボリビアではモラレス氏亡命後に野党の上院副議長が暫定大統領就任を宣言したが、いわくつきの大統領選挙で分断した国民同士が衝突しかねない様な厳しい情勢らしい。いずれにせよ、国民の和解を図るため、早期の出直し選挙が望まれよう。

 

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