世界の人形館からの夢メッセージ

夢と寛ぎを紡ぐワールドスクエア
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1年ぶりに講演した「新聞・テレビが報道しない世界の真実」
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 最近都内に出かけることが多いが、昨日は麹町の海事センタービルに赴いた。目的はJAPANNOW 観光情報協会主催の第156回観光立国セミナーで講演するためで、ちょうど1年前にもここで講演したことがある。演題は、『275カ国・地域を訪れたワールド・トラベラーが語る新聞・テレビが報道しない世界の真実』と言う超長〜い。筆者の講演はいつも時間オーバーするのだが、この日は猛烈な台風19号接近を踏まえて講演時間は早めに切り上げた。
 悪天候にも拘わらず、会場には面識のあるFacebook親友でシンガーの岡美保子さん、手刺繍家・星野真弓さんのご両親、元総料理長の吉井泰次郎さん、著名な出版社・PHPの編集者、そしてあの有名な櫻田義孝元五輪大臣の小田原暁文秘書などの姿もあり、熱心にご聴講いただき有難かった。悪天候にも拘わらず参加した30名ほどの聴講者の皆さんが、満足されたかどうか些か気懸りだったが、北朝鮮や北方領土問題などにつき関心が大きかったよう。

 

 

          講演する筆者     熱心な聴講者

 

(後記)巨大な台風19号は想定外の甚大な被害をもたらした。多くの河川が7県で氾濫し多数の家屋が浸水し、死者・行方不明者も90人近くになる模様。上陸前から警戒し準備していたが、それらを上回る天災の怖さと凄さを思い知らされた。被災関係者にお見舞いとお悔やみを申し上げたい。(10月16日)

 

 さて、講演の要旨を以下紹介しよう。

 

    ☆━…━☆━…━☆━…━☆━…━━…━

 

1.はじめに

 ワールド・トラベラーというニックネームを持つ私ですが、世界の旅のデビューは、総合商社(三井物産)勤務時代の1969年、酷寒の1月〜2月に旧ソ連(現ロシア)のモスクワへの出張でした。以降1974年〜1977年のクウェート駐在、1979年〜1984年のインドネシア駐在などを挟み、2014年4月まで45年間ずっと外国に出かけていました。しかし、その後は認知症を患う妻の見舞い・介護などに追われ海外旅行は中断していましたが、今年6月に5年ぶりに再開。旅行先はスペイン領のモロッコ内にある飛び地領セウタとメリリャ、地中海に浮かぶイビサ島、本土のマラガ。この旅を終えて踏破した国・地域は、下表の通り275です。

 

アフリカ アジア 欧州 米州

大洋州

&極地

合計

国数

地域数

55

48

12

47

24

35

17

16

20

201

74

合計 56 60 71 52 36 275

 

 さて、帰国後に待ち受けていたのが、朝日新聞の熱心な取材です。3時間の面接のほかに、20回近い電話及びメールによる頻繁な補充取材があり、約40日後に掲載報道されました。詳細は配布した掲載紙をご覧下さい。かなり大々的な報道でしたが、内容的には私にとり不満足でした。今回の朝日新聞取材を通して痛感したことや、直近の旅に絡んだ様々な「世界の真実」に焦点を絞りお話します。これらの大半は新聞・テレビが報道しないため、国民にとっては未知のものでしょう。

 

 

  モスクワ:赤の広場   クウェート:スーク(市場)で家族

             (妻・長男・次男)と買い物

 

2.北朝鮮は国ではない!?

 私が訪れた国の数は、1995年に訪れた北朝鮮を含めて国際的に認められている196ヵ国のほかに、実質的に国と言えるのが5ヵ国あります。即ち、北キプロス、西サハラ、アブハジア、沿ドニエストル、ナゴルノ・カラバフです。これら全て訪れており、合計すれば201ヵ国になります。後者の5ヵ国は日本も承認していないので除外するとしても、我が国以外の世界の国の数は196であるべきが、朝日新聞報道では195になっています。これは国連加盟国でありながら、日本政府が北朝鮮を承認していないからでしょう。私が世界の全ての国、196ヵ国を訪れているにも拘わらず195ヵ国と報道したのは、朝日が政府の方針を忖度したのでしょう。一方、世界では実に162ヵ国が北朝鮮を承認し、外交関係を持っています。

 世界の8割以上の国々が北朝鮮を承認している現実を直視せず、ひたすら金太郎飴のように日本政府は拉致被害者の帰国を北朝鮮に求めています。しかし、我が国が北朝鮮を一人前の国として認めない、つまり子供扱いする限り、金正恩朝鮮労働党委員長は拉致被害者を返さないでしょう。安倍晋三首相が北朝鮮との外交を従来の圧力から「条件を付けずに北朝鮮と対話する」と方針転換後も、金正恩委員長は安倍首相を全く相手にしないのは、子供扱いされている事への明白なしっぺ返しでしょう。被害者家族の高齢化が進む一方だけに、極めて残念な憂慮すべきことです。

 

3.地域の捉え方とグリーンランド

 国ではない地域の数についても、私と取材記者とでは見解が真っ向から分れました。私は地政学的・民族的・文化的・歴史的な考察などをベースに見做した地域を74も訪れ、1995年に探検旅行した南極と北極点がその代表です。記者もこの両極は地域として認めましたが、その他の72地域は認めませんでした。では、1997年と2003年の2度訪れ、面積が約216万km2(日本の6倍近い)と世界最大の島、グリーンランドはどうでしょうか?確かにデンマークの領土ですが、面積は本国の4万km2余の50倍もあります。自治権も付与されており、地域としてカウントするのが妥当です。デンマークの首都コペンハーゲンを訪れだけでグリーンランドも行ったとは言えず、逆にグリーンランドを訪れたと言ってデンマークに行った事になりません。国(デンマーク)と地域(グリーンランド)は区別すべきです。

 因みに、トランプ米国大統領がグリーンランド買収に関心があることが報じられ、最近話題になっています。実は地理区分は北米に属しており、1946年に米国は買収しようとしたが不成立に終わった経緯があります。元不動産王の同大統領はグリーンランドの天然資源や地政学上の重要性に興味を示し、米国の購入が可能かどうか顧問などに相談したとか。近年は温暖化により北極海の氷が解けて航路も開発されており、石油や天然ガスなどのエネルギー資源、ダイヤモンドや金などの鉱物資源開発が容易になっています。また、最近は中国も進出し始め、レアアース鉱山などへの投資はグリーンランドのGDPの1割を超えます。島北部のチューレに米空軍基地を持つ米国は危機感を持っており、チキンレース化した米中対立は極地でもしのぎを削っています。

 

 

  北朝鮮:板門店    グリーンランド:ラッセル

              氷河でスノーモービルに乗る

 

4.実効支配

 安倍晋三首相は「外交の安倍」と言われ、ロシアのプーチン大統領と27度も首脳会談していますが、成果は皆無に等しいと言っても過言ではない。北方領土に関しても当初建前の4島返還から、最近は歯舞群島と色丹島の2島返還に絞って大筋合意を画策していますが、交渉は全く進展していません。これは現地では年月を経ると共に着々とロシア化が進み、同国の実効支配により領土返還が至難だからです。因みに、北方4島(ロシア名:クリル諸島)を管轄するサハリンを2009年6月に訪れましたが、戦前日本が残した遺物はほとんど見かけず完全にロシア化していました。

 この実効支配による既成事実化の例は、世界で多々あります。例えば、徴用工問題で端を発して対立する日韓では、竹島を我が国の固有の領土と繰り返す日本に対し、韓国は島を独島と呼び占拠して実効支配しています。逆に、中国と台湾が領有権を主張する尖閣諸島は、日本が実効支配していると国際社会では受け止められている様です。先述の未承認国についても、アブハジアと沿ドニエストルはロシア、西サハラはモロッコ、北キプロスはトルコ、ナゴルノ・カラバフはアルメニアが実効支配しています。ほかに、2008年7月に旅したカシミールはインド・パキスタン・中国、1995年2月に訪れたフォークランド諸島はアルゼンチンの代わりに英国が実効支配しています。

 

5.飛び地領

 世界には或る国の領土の中に別の国の領土がある、いわゆる「飛び地」と呼ばれるところが多数存在します。この6月にアフリカのモロッコ北部にあるスペインの飛び地領メリリャとセウタを旅しましたが、地中海貿易の拠点として様々な勢力に支配されてきました。15世紀末にイベリア半島からイスラム勢力を追い出したスペイン王国がアフリカ大陸に上陸し、メリリャとセウタを自国領として今日に至っています。モロッコは領有権を主張しますが、スペインは軍事戦略上重要であるとして応じる気配はありません。一方、両都市を経由してヨーロッパを目指す不法移民が多く、1998年にモロッコとの国境にフェンスが造られました。この付近にはほかにも飛び地領があり、英国のジブラルタルが有名です。今度は逆にスペイン内(南端)にあり、2002年5月に訪れました。1713年ユトレヒト条約でスペインはジブラルタルの町・城・港や、要塞の所有と軍事的使用をイギリスに認め、英国総督が統治する植民地になりました。その後スペインはジブラルタル奪回を試みたが、失敗して今日まで紛争が続いています。

 世界最大の飛び地領と言えば、文句なしに米国領のアラスカです。2度訪れていますが、面積は148万km2と日本の約4倍もあり資源も豊かです。元々はロシア領でしたが、クリミア戦争に負けた痛手から回復するため、ロシアは領土の一部であったアラスカを720万ドルで売りました。ところが、約30年後に金鉱が見つかり、その後は米国有数の石油・天然ガスの供給地になりました。後にこの事実を知ったロシアは歯噛みしたらしく、わずか面積が5003km2の北方4島を返還しないのも理解できます。因みに、ロシアはバルト3国の西隣にカリーニングラードという飛び地を持っており、2005年8月に訪れました。元々は東プロイセンの北側にあり第二次世界大戦後は分割され、北側が旧ソ連に割譲されて飛び地が誕生しました。琥珀の産地として、また軍事的にもソ連崩壊後もその重要性は揺らぎません。

 

 

ジャム・カシミール:インド    ジブラルタル:ロック

  支配のシュリナガル郊外    マウンテン展望台

 

6.誇張された海外取材番組

 テレビではほとんど毎日のように海外取材番組がありますが、一般的に非日常的且つ誇張気味なバラエティー番組が多い様です。その国の実態にそぐわない報道も多く、あまり参考になりません。中には海外の実情に疎い視聴者を明らかにミスリードする様な番組も数多く見受けられ、相手国につき誤解を与えることを懸念します。私も気晴らし目的で時々その種の番組を観ますが、内容が明らかにやらせ的なものが多いため直ぐに興ざめし、途中で視聴を止めます。例えば、数日間(70〜80時間)も掛けて僻地に住む日本人を訪ねる番組がありますが、ITと航空網が世界中に満遍なく普及している現在では、南極などの極地を除き数十時間もあれば世界どこへでも行ける便利な時代になりました。また、日本に比べて一般に外国の地番表示は整然としており、住所探しは容易で時間もかかりません。

 

7.日韓対立

 1974年4月に商社マン時代の出張を皮切りに、合計5回にわたり韓国を訪問してほぼ全土を回りました。1970年代までは貧しかったですが、その後は日本人以上の勤勉さで工業化と輸出振興のために頑張り、家電や電子工業などでは日本を追い抜いて全般的に元気があります。日本に似た美しい自然やお寺も魅力ですが、何と言っても素晴らしいのが若い人たち(特に男性)の礼儀正しさです。過去3度個人旅行しましたが、年長者の私を気遣い地下鉄ではさっと席を譲ってくれました。また、街で重いスーツケースを運んでいると、青年がさっと来て担いで運んでくれました。これは年長者を敬う儒教思想、躾けが厳しい徴兵制の影響でしょう。私は茨城県に近い千葉県に住んでいますが、都内に出ると憂鬱になります。と言うのは電車に乗っても、高齢の私を気遣って席を譲ってくれる優しい若者がいないからです。韓国のことを良く思わない人が日本では多い様ですが、私にとっては印象が極めて好い国です。

 徴用工問題に端を発した日韓関係は、日本の輸出規制、韓国の軍事情報に関する包括的保全協定(GSOMIA)破棄、韓国のWTO提訴と悪化の一途です。両国にはそれなりの言い分がありますが、日本の古来の文化や仏教伝来などはどこから来たのでしょうか?それは朝鮮半島経由で我が国に入って来たもので、この点では韓国は我々の先輩として敬意を表するのが必要です。また、現役時代に韓国人とのビジネス経験がありますが、時々彼らのプライドを傷つけたのか激怒された記憶があります。儒教精神が今も健在なことを認識した対応が望まれ、近くて遠い国にならないようよう是非とも仲良くしたい隣人です。

 

 

  韓国:光州郊外の白羊寺    世界の人形館

 

8.終わりに

 人生100年時代を迎えた長寿社会とは言え、82歳という人生の最終章を迎えながら、なぜ私は世界の旅を続けるのでしょうか?答えは 「其処に世界があるから」です。この世に生を受けている限り、現役のワールド・トラベラーを続けざるを得ない運命かも知れません。また、私の分身であるプライベート・ミュージアム「世界の人形館」を彩る世界の民俗人形や紙幣・コインなど、コレクション収集の旅も来世に行く直前まで続くでしょう。時間がありましたら、真のグローバル化推進を目指し、ささやかながら国際交流の実践の場である世界の人形館を是非お訪ね下さい。ご来館を熱烈歓迎します。

 

    ☆━…━☆━…━☆━…━☆━…━━…━

 

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