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一国二制度が骨抜きにされつつある香港の今昔(1)
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 中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」の改正案に反対する大規模デモが香港で行われた。主催者発表では103万人が参加したが、2003年の「国家安全条例」案に反対した50万人規模のデモを大きく上回わる返還後最大となる。条例改正案に反対の声は、学生や労働者、実業界など香港社会の幅広い層に広がっている。今回の改正案が成立すれば、香港市民んはもちろん、香港に住んだり渡航した外国人や中国人までもが、中国側からの要請があれば本土に引き渡されることになる。そうなれば日本人旅行者も対象になり、他人事では済まされない。

 

   激しい反対運動など国内外で圧力が強まる中で、逃亡犯条例改正案は6月12日から立法会で審議が始まる予定。現立法会は親中派の体制派が優勢で、法案は月内(20日ごろ)に可決される見通しだ。因みに、デモ参加者は「中国共産党政府が香港政府に犯罪者を中国に送ることを命

大規模な抗議デモ  

(ネットより転用加工)    

じるのは、香港人にとって非常に恐ろしい」と語っている。今後しばらくは抗議活動を行うデモ隊と、現地警察の間で激しい衝突が続き、最悪は死者も出しかねない雰囲気のようである。

 

 1997年に英国から中国に返還された香港の地位は、当初の50年間は現況を維持するものであった。つまり、社会主義制度を導入せず、従来の資本主義制度や生活様式を保持した状態での「高度の自治」を認めるもの。しかし、返還後は2017年の香港行政長官選挙で普通選挙の採用を決定したが、中国の中央政府に反対する人物の立候補を実質的に排除するなど、徐々に一国二制度が骨抜きにされ崩壊しつつある。もっともこの制度は最終的には台湾統一を視野に入れて構想されただけに、歴史的背景などが異なる香港では無理があったのであろう。

 斯様に騒々しい香港だが、およそ半世紀前は「東洋の真珠」と称えられ、「100万ドルの夜景」は世界的に有名になった。また、当時は大陸側の九龍でビルの中に縫製工場があり、当時商社マン(三井物産)として大阪で繊維を担当していた筆者は1970年10月の初訪以降6回も出張した。その後は旅行なども含め合計10度訪れているほど、大好きなかつての英国植民地だ。1977年7月にはクウェート勤務から帰国の途中、家族(妻・長男・次男)で訪れた。今回は大陸側の対岸にあり、先述の大規模デモが行われた香港島を紹介しよう。

 

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●英国植民地時代(約50年前)

 香港島観光のハイライトは、標高が551mもある最高地点のビクトリアピーク。登山電車の山頂駅(標高389m)の前にある展望台から、対岸の九龍など大陸側を含め香港の全景を見下ろす事ができる。それは壮観で美しく、特に100万ドルの夜景は幻想的だ。

次に、島の西南岸にあるアバディーン(香港仔)は、島陰の入江に住む水上生活者蛋民の基地。香港の水上生活者の大部分がここに集まり、多数の小舟とジャンクがびっしりとひしめき合っていた。人気のフローティング・レストラン「ジャンボ」で、海鮮料理に舌鼓を打った。

 

   ビクトリアピーク展望台

  

友人と一緒の筆者(左)  展望台よりの俯瞰  タイガーバウム庭園

 

                               (アバディーン) 

   

 家族で訪れ、水上生活者が     ジャンボレストラン

  住む小舟を背にして

 

 最も印象的であったのがタイガーバウム庭園である。万能家庭常備薬「万金薬」で巨富を築いた胡文虎という実業家が、1935年に巨費を投じて造った別邸だ。丘の斜面を利用して造った庭園には、仏教の故事から取り入れた仏像・怪物・様々な姿態の裸女などが現れ、地獄極楽の絵巻的パノラマはすべて極彩色でグロテスク。だが、かつては香港観光の代表的スポットも19年前に閉園し、その後は香港政府の管理下に置かれている由で時の移ろいを痛感する。

 

●返還後(2004年)

 中国へ返還後に最も変貌したのが、香港島中央部の北岸に位置するワンチャイ(湾仔)。特にシーサイド・プロムナードは、中環の高層ビル、ビクトリア湾、九龍半島などすべてが近くに見える絶好のロケーションだ。国際的な見本市会場の香港会議展覧中心を取り囲むように海沿いに良く整備された広い遊歩道が付けられ、潮の香りがする心地良い海風に吹かれて最高の気分になる。また、このセンターの前には香港が中国に返還された時に式典が行われた金紫荊広場がある。金色の金紫荊(香港の象徴的な花ハナズオウ)が立ち、観光客の記念撮影ポイントになっている。

 

 

湾仔の香港会議展覧中心など俯瞰 シーサイド・プロムナードを

                   散策する筆者

 

  

   金紫荊広場に立つ金紫荊       レパルスベイ

 

  また、アバディーンは昔の漁村のイメージがほとんど残っておらず、情緒が消え失せていた。さらに、映画「慕情」の舞台になったレパルスベイ、スタンレー・マーケットとビーチ、ビジネスセンターの中環(セントラル)広場、香港島の北端・北角(ノースポント)なども昔の面影は無い。一方、島の西部にあるビクトリアピークの展望台からは、足元は中環(セントラル)の高層ビル群、その後ろに広がるビクトリア湾、遠くに対岸の九龍半島を眺望できる。昼も夜も出かけたが、香港を代表する近代的な佇まいは昔と変わらぬ魅力がある。

 

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 この20年ほどで経済的にも軍事的にも大発展した中国は、米国と貿易摩擦で激しく対立し、国内でも香港、新疆ウイグル自治区やチベットなどの諸問題を抱える内憂外患、多事多難の様である。21世紀の巨龍の動静が何かと気懸りな昨今だ。

 

後記

●抗議デモはその後も続き、最近は香港島の対岸、中国本土側にある九龍半島でも大規模な抗議デモが行われている。また、抗議のため自殺者も出ており、収束の目途が立ちそうもない(7月9日)。

●抗議デモなどの混乱は3カ月経っても続くため、香港政府は「逃亡犯条例」の改正案の廃案を発表した。だが、反対派の要求はほかにもあり、完全には終息していない(9月4日)。

 

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