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2度目の米朝首脳会談が行われるハノイ慕情
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 5日後の5月27日から28日までの2日間、2度目の米朝首脳会談がベトナムの首都ハノイで開催される。アメリカのドナルド・トランプ(Donald John Trump)大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との2回目の首脳会談は、当初はセキュリティー上の都合で、APEC(アジア太平洋経済協力会議)も開かれたベトナム中部の都市ダナンでの開催をアメリカは希望した。しかし、北朝鮮側が大使館のあるハノイでの開催を強く希望し、アメリカが押し切られた形だ。

 

 

             ハノイの古い街並みを俯瞰

 

 トランプ大統領は、「金委員長と会うことを楽しみにしている。」とした上で、「金委員長の指導力のもとに偉大な経済大国となるだろう」と強調し持ち上げた。また、最近は非核化につき北朝鮮に対する頑なな態度を軟化させ、北朝鮮が欲しがる見返りが必要なことに気付いたようだ。要するに、先ずは北朝鮮との信頼醸成をする、アメリカの方針転換が垣間見られる。

 米朝の実務者協議では依然として非核化の溝が埋まらないのに、何故急に2回目の首脳会談に前のめりになっているのであろうか?アメリカ国内では「メキシコ国境での壁建設」「ねじれ国会」「ロシア疑惑」などで内政が苦境に立つ中、外交で成果を上げたいと同大統領のビジネスマンとしての強かな計算と思惑があるようだ。

 

 ところで、16日に報じたロイター通信によれば、金正恩委員長が27日〜28日のトランプ大統領との再会談に先立ち、25日からベトナムを訪問する見通しとか。会談が近付くにつれ関係国の準備が加速しており、21日から北朝鮮の金赫哲(キム・ヒョクチョル)対米特別代表がアメリカ国務省のビーガン北朝鮮政策特別代表とハノイで実務協議を続けている。一方、専用列車で北朝鮮の平壌から中国経由で、26日にハノイに乗り込む案もあるようだ。

 いずれにせよ、ベトナム政府は米朝首脳再会談とは別に、北朝鮮の金委員長を国賓待遇で受け入れ、最高指導者グエン・フー・チョン共産党書記長との会談や、ハノイ周辺視察などを設定する準備を進めている。同委員長が25日にベトナム入りした場合、米朝首脳再会談の前に北朝鮮・ベトナム両国の首脳会談の日程が組み込まれそうだ。

 

 米朝の交渉はこれまでのところ北朝鮮ペースと言え、北朝鮮に足元を見られている形勢のようである。このままでは肝心の非核化が進まない事態も想定され、交渉は長期化しよう。北朝鮮に核を廃棄させるための非核化交渉が、いつの間にか北朝鮮の核を温存したまま、実質的に核軍縮交渉にすり替わると言うリスクも懸念される。一方、前回のシンガポール会談で蚊帳の外に置かれた我が日本政府は、どのように対処するのであろうか?

 拉致問題の進展などの期待もあるが、むしろ不安のほうが多いのではないだろうか?例えば、トランプ大統領が首脳会談の成果を急ぐあまり、アメリカ本土を射程とする大陸間弾道ミサイル(ICBM)の廃棄だけを先行させる恐れも否定出来ないことだ。これは日本を射程に収めるものも含め、あらゆる射程のミサイル廃棄を北朝鮮に求める我が国の方針と矛盾し問題である。

 

 セレモニー的な前回の会談に比べて様々な駆け引きが暗躍しそうな2回目の首脳会談の舞台になるハノイは、1996年10月と2002年12月の2度訪れている。既に2017年3月2日の幣ブログ『天皇、皇后両陛下ご訪問のベトナムの旅(1)−古都ハノイとフエ』で紹介済みで一部重複するが、再度ハノイについて触れてみよう。

 

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 ダイナミックで活気あるベトナム南部の最大都市ホーチミンと対照的に、1760kmも北に位置するハノイは落ち着きのある古都である。人口は700万人を超え、ベトナム第二の大都市だ。11〜13世紀の李朝時代に都になった街には由緒ある寺も多く、ホーチミンに比べると落ち着いた情緒がある。市街地はベトナム有数の川・ホン川(紅河)の右岸に広がり、この川の近くにあるのがホアンキエム湖 である。街のほぼ中心にあり、レロイ王の伝説で有名だ。度々ホン川の氾濫でできた湖は、かつて川とも繋がっていたとか。

 湖の北岸近くにある島では18世紀築の玉山祠が建っており、この付近はハノイ市民にとっては憩いの場所になっている。岸から赤く塗装された木製の太鼓橋・フク橋を渡ると島に着き、島内には文学の神スオン王や、13世紀モンゴルの侵略を撃退し活躍したチャンフンダオなどが祭られている。また、湖の中央に浮かぶ小島には亀の塔が建つ。湖の北側は古い家並みが続く旧市街になっており、一帯はハノイ36通りと呼ばれて様々な店が並び、タイムスリップしたような風情がある。

 

   

     ホアンキエム湖          玉山祠      

 

 ホアンキエム湖の約2km西には、1070年建立の文廟(孔子廟)がある。1076年には国内初の大学・国子監が敷地内に置かれ、王族と貴族の子弟や官僚が学んだ。学問にご利益のある場所として、観光客だけでなく多くのベトナム人が訪れる。必見はハノイの象徴の一つになっており、19世紀の阮(グエン)朝時代に出来た奎文閣の池の両側にずらりと並び壮観な82の石碑だ。昔の官僚登用試験、科挙の合格者の名前と出身地が刻まれた石碑が、石造りの亀の上に乗っている。

 

  

   文廟前に立つ筆者                 文廟の奎文閣

 

 文廟から1kmほど北には、一柱寺と言う小さなお寺がある。李王朝時代の11世紀に建てられた寺は一本柱で支えられ、池に浮かぶ蓮の花のようと形容される。そのユニークな外観からフランス統治時代の建物と並び、ハノイを代表する歴史建造物として有名である。李朝の王が世継ぎに恵まれていなかった頃、蓮の上で子供を抱いた観音菩薩の夢を見て待望の子供を授かったとされる。王がその謝恩にと建てた由で、子宝に恵まれるご利益を祈願する人々で賑わいを見せる。

 

   

    一柱寺         ホー・チ・ミン博物館 

 

 一柱寺の南側には、1990年に建てられたホー・チ・ミン博物館がある。ベトナム人指導者の故ホー・チ・ミン主席および外国の支配に抵抗するベトナムの革命闘争に捧げられた博物館で、主席の遺品や革命の歴史などを展示している。一方、北側には1975年に建てられたホー・チ・ミン廟がある。総大理石造りの堂々たる建物がひときわ目立ち、廟内には主席の遺体がガラスケースに入れられ安置されている。廟の外に出て道なりに行くと、主席が住んでいた高床式の木造家屋があり、庶民的であった故人の人徳が偲ばれる。

 

 

       ホー・チ・ミン廟                          水上人形劇

 

 ほかに、1000年もの歴史を持ちベトナム名物として有名なタンロン水上人形劇場が、ホアンキエム湖の玉山祠の近くにある。会場はホーチミンのような屋外ではなく屋内で、水をはった7〜8m四方の池状の立派なステージが設置され、華やかなショーを堪能した。ステージ左手には歌手と楽団が陣取り、水牛や龍、アヒルや魚などが水上と水中を自由自在に動き回り興味深い。素朴な感じの人形などが繰り広げる幻想的な世界は、ベトナム人の真の心を見た思いで感動的であった。

 

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 何故トランプ大統領は北朝鮮との対話にかくもご執心なのであろうか?今年のノーベル平和賞と大統領再選と言うダブル受賞!?を意識しているのであろうか?

 

後記

 23日に特別専用列車で平壌を出発した金正恩委員長は中国を南下し、約66時間後の26日朝に中国国境に近いベトナム北部のドンダン駅に到着し、乗用車に乗り換えてハノイ市内に向かった。中国内で列車は、河南省の鄭州、湖南省の長沙、同自治区の南寧、広西チワン自治区の憑祥などを通過した模様で、その距離はおよそ2600kmとか。一方、トランプ大統領も26日夜に大統領専用機でハノイ空港に到着した。両首脳による会談は予定通り27日からハノイの最高級ホテル、ソフィテル・メトロポールホテルで始まった。

 

 

               ソフィテル・メトロポールホテル

 

 しかし、初日は順調であった会談の結末はあっけなく、想定外のものとなった。2日目の会談ではワーキングランチ(昼食会)が中止になるなど、首脳会談は事実上決裂に終わった。トランプ大統領は早々とハノイを去り、帰国の途に就いた。一方、金正恩委員長は3月2日まで滞在し、種々視察する実を取る意向の様だ。合意に至らなかった主因は肝心の非核化の進め方につき両国間の溝が埋まらず、他方北朝鮮が求めた完全な制裁解除をアメリカが拒絶したとか。

 北朝鮮にとり誤算との見方もあるが、そうとも言い切れないであろう。 首脳会談では一見成果が無かったようだが、滞在中の経済発展が目覚ましいベトナム視察で何か収穫があった筈である。やはり筆者が推察した通り、金正恩委員長は35歳の若輩ながら、侮れない手強いネゴシエーターのようである(2月28日)。

 

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