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APEC首脳宣言が採択されなかったパプアニューギニアの幻想紀行
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 日本、米国、中国など21ヵ国・地域が参加し、パプアニューギニアの首都ポートモレスビーで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議が昨18日閉幕した。会議では本年に入り過熱化する一方の米中貿易戦争の尾が引き、米中両国の首脳(ペンス副大統領と習近平国家主席)が通商政策を巡り批判合戦を応酬し、対立したまま首脳宣言の採択を断念した。この不採択は1993年のAPEC首脳会議の発足後、初めての異例のことだ。

 具体的には、会議で米国は中国が国有企業に巨額の補助金を出しており、外資規制や行政審査を通じて外国からの進出企業に技術移転を強要していることを批判した。一方、中国もトランプ政権の自国第一主義に反発し、米国の保護主義や一国主義を非難した。これに同調する国もあったとみられ、議長国ではあるが力不足の弱小国であるパプアニューギニアは調整出来なかったようである。11月末からアルゼンチンでG20首脳会議が予定されているが、米中対立を和らげる妙案があるのであろうか?

 

 因みに、パプアニューギニアがこれほどの大きな国際会議を開くのは初めてで、ホテルや移動用の車両も不足していた。しかし、各国の様々な支援を受け何とか開催に漕ぎ着けたようだ。例えば、ポートモレスビー港には3隻の大きなクルーズ船が停泊し、各国の代表団や海外メディアなどの宿泊施設

 ホテルになったクルーズ船

 (ネットより転用・加工)

となった。また、政府は1台約1000万円はするイタリアの高級車を40台も購入したため、国民の約4割が貧困層である同国では、貧しい国民の暮らしに予算を使うべきとの批判も呼んだようだ。一方、我が日本はバス、救急車、消防車を合計74台供与したとか。

 

 さて、米中摩擦の余波が押し寄せてきた平和な南太平洋の島国、パプアニューギニアを、筆者は1997年4月〜5月に訪れている。1960年頃までは石器時代より営まれて来た文化を持ち、現代文明に頑なに抵抗して伝統・風習を守り続ける部族が多い。 数百とも言われる様々な民族が混在する「地上の楽園」では昔ながらの生活が今も息付き、極彩色の祝宴に魅せられた原色のパラダイス旅行は、他の国では体験できない興味津々の連続であった。原色に彩られたハイランド王国周遊を紹介しよう。

 

  ☆━…━☆━…━☆━…━☆━…━☆━…━☆━…━☆━…━☆

 

 成田から関空経由で、ニューギニア航空に乗り継ぎパプア・ニューギニアの首都ポートモレスビーへ飛んだ。到着後すぐに国内線で広大なハイランド(高原)の西端近くに位置するタリに向かい、同地で独特の伝統を守るフリ族の村々を訪ねて華やかで勇壮な踊りシンシンなどを楽しんだ。その後また、小型機に乗って東進し、ハイランドを代表する町マウントハーゲンに着いた。パプア最大のマーケットや特異な踊りを観賞後、バスでハイウェイをさらに東へ走行し、コーヒーの産地やハイランドショーで有名なゴロカに到着後、ポートモレスビーに戻った。

  赤道直下に近く鬱蒼としたジャングルが生い茂る秘境のイメージが強く、だが実際にはパプアの中央部に緑豊かでなだらかな高原のハイランドが広がっているとは、旅行前に全く想像だにしなかったことである。標高3000m級の山々に囲まれた海抜1500〜2000mの涼しい高原は  、まるで軽井沢のようで快適そのものの楽園であった。

タリ付近のハイランド

 

 ポートモレスビーから空路で西へ1時間半かけて着いたタリ村は、周囲が3000級の山々に囲まれた手付かずの大自然が美しい。この村では西洋文明との接触が1960年代と遅かったせいもあり、パプア・ニューギニアの中で最も独特で古い文化を守っている少数民族、フリ族が住む。特に男性は人毛のかつらを付けるので、ウィッグマンと呼ばれる。その大きなかつらは極楽鳥などの色鮮やかな羽飾りをあしらい、顔には赤・黄・青の鮮やかなフェイスペインティングが施されて個性的だ。

 タリに着いて先ず訪れたのが、シンシンという踊りを楽しんだアロカンバ村だ。黄色や赤の原色使いの化粧をしたり、鳥の羽でできた髪飾りをした男たち10人ほどが、太鼓や槍を手に繰り広げる踊りは実にダイナミックで勇壮だ。その後、静的なスピリットダンスを観賞したカガナル村、ウィッグマンのかつら作りを見るためにキギタ村を訪れた。因みに、タリ付近は紙幣のモデルにもなっている国鳥の極楽鳥の生息地としても有名で、高さが20〜30mもある高木のてっぺんにいるのを観察した。

 

         −−− アロカンバ村で鑑賞した踊りシンシン −−−

 

    勇壮なシンシンの踊り子たち アロカンバ村民と交流する筆者

 

 

キギタ村のウィッグマンと仲良く 2キナ紙幣で紹介されている極楽鳥

 

 タリの東約180kmに位置するマウントハーゲンではチンブー族の村クプヌン・クーを訪れ、ガイコツ踊りを観賞した。踊り子は体全体を黒く、骨だけは白く塗った姿で現れた。昔はこのような格好で土中に埋まり、敵が来襲した時にいきなり出て来て驚かしたそうである。筆者も踊るような仕草で、ガイコツ踊りに参加した。この村で忘れ難い動物に出会ったのがクスクスと言う体長70cm、尾長50cm位の可愛い有袋類で、コアラやカンガルーと同じ仲間だ。

 一方、ウィルヘルム山麓の町では茶栽培が盛んで、紅茶工場を見学した。マウントハーゲンの名物と言えば、何と言っても国内最大の規模を持つと言われるマーケットである。近隣の村々から農作物や果物、日用品、工芸品などあらゆるものが持ち込まれる。特に土曜日の市場は賑わい、遠くの村からも伝統的な服装をして参加する。

 

            −−− チンブー族のガイコツ踊り−−−

   

 

 マウントハーゲンの西115kmほどあるゴロカは、ハイランドショーで国際的にも有名な高原都市だ。郊外のミンディマ村ではアサロ族のマッドマン泥人間)の踊りを見学したが、全身に泥を塗りたくり、顔を全部覆う泥でできたマスクを被っている。これは怪奇な仮面をつけて相手を怯えさせる踊りである。元々泥人間は森の精霊を表しており、死体が生き返ったふりをして敵を驚かす戦いの方法であったとの由。筆者も試しにマッドマンになってみたが、泥の仮面が重すぎて首が痛かった。

 町の北外れにはゴロカ特産のコーヒーの半官半民会社があり、そのコーヒー工場で焙煎工程などを見学した。パプア国民の半分近くが何かしらコーヒー産業に関わり、生産の95%が良質のアラビカ種とか。空港の西南にあるJ.Kマッカーシー博物館は、1942年から40年間パプア政府関係で働いたオーストラリア人によって設立されたもの。ハイランド地方の文化や生活を示す壁画や展示品のほかに、第2次世界大戦での武器や米空軍戦闘機も展示され興味深い。

  

ミンディマ村でアサロ族の泥人間 マッドマンになろうとしたが・・

 

 さて、首都ポートモレスビー は人口約25万人は同国最大の都市で、近代的なビルが建ち並びパプア湾に臨む港町だ。公官庁が点在するワイガニ地区、商業地区のボロコ地区、港に隣接しショッピングセンターやレストランが建ち並ぶタウン地区に分かれる。近代的な街並みと伝統的な暮らしが同居する街全体を一望するなら、タウン地区の海に突き出たパガヒルがイチオシ。標高99mの丘の上には旧日本軍の砲台跡が残り、眼下のタウン地区や美しいエラ・ビーチなどが見晴らせる。

 パガヒルを下りて東へ向かい海岸通りを進むと、コキ・マーケットに着く。活気のあるこの市場では、内陸部のハイランドで見かけなかった様々な魚介類が目に付く。マーケットの近くにはモツ族の水上部落があり、ここではトイレはそのまま海へ流される。一方、街の北部にあるワイガニ地区では、精霊が宿ると言われるハウスタンバラン様式の国会議事堂が見逃せない。正面のモザイクが見事な近代建築で、内部は約200の壁画が描かれている。

 

              ( ポートモレスビー )

 

     市内を俯瞰          モツ族の水上部落

 

 ほかに、思いがけない東ハイランド州知事との面談、石蒸し焼き料理ムームーなどを賞味したグルメ、各地で出会った人懐っこい子供たちの触れ合いなど、今までの旅で経験しなかった新鮮な出来事が多々あった幻想紀行を堪能した。

 

  ☆━…━☆━…━☆━…━☆━…━☆━…━☆━…━☆━…━☆

 

 米中両大国が睨み合う中で、経済力ナンバー3の我が日本はただ傍観するのみで終わった様である。こう言う修羅場でこそ外交力を発揮し、日本の真の実力を世界に認めさせる絶好の機会を逸したのは残念である。もったいない!

 

                                  ◇◇◇  ご案内  ◇◇◇

 

 筆者にはパプアニューギニアに関する次の著書があり、ご関心ある方は是非ご購読下さい。

 

          世界を動かす少数民族

 超大国アメリカの真の実力者は誰?台頭著しい中国を支える東南アジア経済界の覇者は誰?知られざる数々の少数民族から現代世界の縮図と課題が克明に分かる。幻冬舎 定価本体1,350円+税


    

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