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国名変更で揺れるマケドニア紀行
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 マケドニアという国をご存知の方はごく僅かではなかろうか?。むしろ、アレキサンダー大王(紀元前356〜323年)ゆかりの地がマケドニア王国であることを知る識者のほうが多いのではと推察する。ギリシャの北に位置するバルカン半島の内陸国マケドニアの国名は古代マケドニア王国に由来するが、当時の領地であったギリシャにも同じ地名があり、マケドニア独立時から反発してきた。一方のマケドニア側でも、国名変更に反対して激しいデモが行われている。

 

 因みに、マケドニア王国は紀元前7世紀に古代ギリシャ人によって建国され、紀元前168年に滅亡した。その領土は現在のギリシャのマケドニア地方と中央マケドニア地方、1991年に旧ユーゴスラビアから独立したマケドニアのほかに、ブルガリヤや

アルバニアの一部にもまたがる。欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)への加盟を目指すマケドニア政府は新しい国名を巡りギリシャと交渉中だが、国民には抵抗感が根強いようである。

 

 そこで、EUはマケドニアのEU加盟交渉に向け両国に協議を促し、両国は今年1月に国連の仲介で協議を再開した。マケドニアのザエフ首相は国名を巡るギリシャとの対立解消に向け、改称を受け入れる準備があると表明。今月中にギリシャのチプラス首相と会談し、新国名案で合意すれば国民投票を実施して最終決定する意向である。新国名として「北マケドニア」「北マケドニア」など4案が挙がっているとか。

 面積は日本の約15分の1の2万5713 km²、人口は約200万人の小国だが、最近のヨーロッパでは注目を浴びているマケドニア共和国を筆者は2003年6月に旅しており、その概要を紹介する。

 

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      首都のスコピエは旧ユーゴ諸国々の中でも最もトルコ文化の香りがする街で、人口は約70万人。ヴァルダル川がほぼ東西に悠々と流れ、15世紀に建造され13のアーチで支える長さ214mの石橋・トルコ橋が架かる。この橋から北へ400mほど歩くとオールド・バザールがあり、迷路のような通りに日用品などの店が並び庶民的で落ち着いた雰囲気が漂う。この市場の西にあるカレ城砦の丘は芝生が美しい公園で、11世紀の城塞跡が一部残りスコピエ市街のパノラマが楽しめる。

 展望ポイントは他にもある。例えば、南近郊にある標高1066mのヴォドゥノ山の頂にあるパンテレイモン修道院は、1146年の創建で赤レンガ造りの外壁が周りの緑と見事なコントラストを描く。ビザンチン壁画で装飾された内部は、ピエタ(聖母の嘆き)のシーンが素晴らしい。近くにあるレストランからは、スコピエ市街地や周囲の山並みがくっきりと眺望でき絶景である。

 

  

 スコピエ:トルコ橋が架かる     カレ城砦の丘  パンテレイモン修道院

  ヴァルダル川を散策の筆者   より市街地俯瞰

 

 スコピエから南西へ約100kmに位置するオフリドは、アルバニア国境にあり世界最古の美しい湖の一つに数えられるオフリド湖に面する。人口約3万人の小さな町だが、先史時代から人々が住み紀元前144年にローマ帝国の支配下に入ると、西のアドリア海と東のエーゲ海を結ぶイグナチア街道の拠点として繁栄した。3世紀にキリスト教が伝来し、9世紀末頃〜14世紀に360もの教会が建てられた。その後オスマン帝国の支配によりその多くが破壊されたが、澄み切った湖と壮麗なフレスコ画が共存する場所としていくつかの美しい教会が今も残る。

 その代表である14世紀築の小さな聖ヨハネ・カネヨ教会は、湖に突き出た崖の上に建つ。可愛い赤い建物が真っ青な湖に映え絵葉書を見るよう。町から約30km南、アルバニアとの国境近くにある聖ナウム僧院は900年頃に創建され、美しいフレスコ画が保存されている。珍しい白い孔雀がおり、清水がこんこんと湧き湖に注ぐ池がある。一方、オフリド旧市街の丘の上に堂々とそびえるサミュエル城砦は、11世紀にブルガリア帝国の皇帝によって建てられた。外壁の上を散歩すると360°のパノラマが楽しめ、オフリドの町並みと湖などが見渡せ最高の眺めだ。

 

  

オフリドの町とオフリド湖  湖畔に建つ聖ヨハネ・    サミュエル城砦

              カネヨ教会と筆者

 

 アルバニアと国境を接するマケドニア西部は、シャール山脈の険しい尾根が走り深山幽谷の世界が広がる。特に2つの美しいダム湖、マヴロヴォ湖とデバル湖.の間を流れるラディカ川は、V字型の峡谷を造り秘境の趣を呈する。この川の中ほど静かな山奥に佇むのが聖ヨハネ・ビゴルスキー修道院で、重厚な感じそのものの僧院だ。廊下の壁に描かれた鮮やかなフレスコ画や木彫りのイコン(聖画像)が残る内部が素晴らしい。因みに、リアス式海岸のような美しい景観が延々と続くデバル湖から流れ出た水はドゥリム川となり、ちょっとした海のようなオフリド湖に注ぐ。

 ところで、マケドニア出身の最たる著名人とは誰であろうか?それはマザー・テレサ ことアグネス・ゴンジャ・ボヤジュである。スコピエのアルバニア人の家庭で生まれた彼女はインドに渡り、カトリック教会の修道女として修道会「神の愛の宣教者会」を創立した。カルカッタ(現在のコルカタ)で貧民救済活動を行い、1979年ノーベル平和賞を受賞した。インドでは超有名だが、スコピエの中心にあるショッピングセンター近くでマザーテレサ像がひっそりと建つだけで、マケドニア人はさほど関心がないようであった。

 

  

  ラディカ川付近の筆者 イコンが見事な聖ヨハネ・ スコピエ市内に立つ

              ビゴルスキー修道院   マザー・テレサ像

 

 岩手県と秋田県を合わせたほどの小さな国だが、見どころが意外にあり、再訪したくなる魅力を秘めた国である。

 

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 国名変更しようとするのはマケドニアだけではなく、最近でも先例がある。2015年4月に、南コーカサスにあるグルジアがジョージアに改称された。マケドニアの国名変更によりギリシャとの関係が良くなれば、両国はハッピーとしなければならぬであろう。

 

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