世界の人形館からの夢メッセージ

夢と寛ぎを紡ぐワールドスクエア
<< 世界卓球2017とドイツ・デュッセルドルフの想い出 | main | 強暴採決で成立した共謀罪法とパレルモ条約ゆかりの旅 >>
世界では珍しくない生前退位
9

 83歳とご高齢の天皇陛下が今後も公務を続けるのが困難なことを案じ、陛下の生前退位を実現する特例法が、昨日(6月9日)参院本会議で可決され成立した。この生前退位が実現すれば、江戸時代後期の光格天皇以来、約200年ぶりとなる。特例法は将来的に強制的な譲位が起こらないよう退位に至る事情を明記しており、退位後の称号は天皇陛下が「上皇」、皇后さまは「上皇后」、皇位継承順位が1位となる秋篠宮さまは「皇嗣」となる。

 因みに、陛下の退位日は法律の公布から3年を超えない範囲内とされ、政府は2018年12月下旬に退位と皇太子さまの新天皇即位を実現させ、2019年元日に元号を改める日程を軸に検討するとか。また、18人いる皇室の方々の中で女性は14人もおられるだけに、特例法の付帯決議では女性宮家創設の検討が求められている。皇族数の減少が進む折柄、皇室の安定的な維持は今後重要な課題になろう。

 

 一方、過日傘寿を迎えた筆者は元号が改められるまで生き長らえると、昭和・平成・次の元号の3元号を跨ぐことになる。しかし、認知症を患い終末期を迎えた妻は、とてもそれまで存命しないであろう。と思うと、いつもの愚痴で恐縮だが、切なく悲しくもなる。

 

 さて、この生前退位だが、世界では結構あり格別に珍しいものではない。外国の王室では国王らが自らの意思で地位を譲る例が多く、主に高齢や健康上の理由で古くから退位してきた。特に近年のヨーロッパでは、高齢な国王らの退位が相次いでいる。21世紀になってからの退位例を紹介しよう。

 

●カンボジアのシアヌーク国王(2004年10月)

 1941年4月〜1955年3月と1993年9月〜2004年10月と2度も在位した。2度目は高齢や健康問題などを理由に生前退位した。因みに、カンボジアの混乱した歴史にも拘わらず、2度にわたり国王のほかに大統領や首相などになったので、ギネスブックは「世界の政権で最も多くの経歴を持つ政治家」と認定した。

 

●ウータンのワンチュク国王(2005年12月)

 国民向け演説で2008年に総選挙を実施して民主化を進め、退位する方針であることを明らかにした。この年3月にはブータン初の成文憲法制定に向けた草案を発表し、民主的な立憲君主制を政体として明記した。また65歳の国王定年制の導入も掲げ、翌年に息子の皇太子に王位を譲る勅命を出した。

 

●クウェートのサアド首長(2006年1月)

 皇太子時代から体調が思わしくなく、公の場にほとんど姿をみせない状態が続いた。そこでクウェートの国民議会は、サアド首長を健康面で懸念があり、職務が遂行できないとして退位させることを全会一致で決めた。サアド首長の在位はわずか10日であった。

 

    

    天皇陛下   シアヌーク国王  ワンチュク国王       サアド首長

           (インターネットより転用・加工済み)

 

●オランダのベアトリックス女王(2013年1月)

 1980年にユリアナ女王から譲位され、女王に即位した。2013年初頭にテレビ演説し、長男のウィレム・アレキサンダー皇太子に王位を譲ると表明し4月30日に退位した。オランダでは3代女王が続いたので、男性の国王は123年ぶりであった。因みに、オランダの憲法では退位時の継承方法を定めており、ベアトリックス女王まで3代続けて自ら退位した。

 

●バチカンのベネディクト法王(2013年2月)

 ドイツ出身の第265代ローマ法王は、2005年4月に即位した。退位の日は法王庁からヘリコプターでローマ郊外にあるカステルガンドルフォの離宮に移り、「一人の巡礼者として、最後の歩みを始める」と最後の言葉を語った。719年ぶりに自由な意思によって生前退位し、名誉教皇となった。

 

●ベルギーのアルベール2世(2013年7月)

 1993年8月に即位したが、高齢と健康上の理由から退位して長男のブラバント公フィリップに譲位した。1831年に現在のベルギー王室ができて以降、国王が自発的に退位するのは初めてであった。退位後も「ベルギー国王アルベール2世陛下」の称号は維持された。

 

●スペインのフアン・カルロス1世(2014年6月)

 1975年11月に即位し、フランコ独裁後のスペイン民主化の擁護者として信望があった。またヨットの代表選手としてオリンピックに出場し、2002年のユーロ導入まで発行されていたスペイン紙幣に肖像が使用された。しかし、アフリカでの象狩りツアーなどが発覚し、経済危機で苦しむ国民に不満が高まり退位を余儀なくされた。

 

    

ベアトリックス女王  ベネディクト法王  アルベール2世   カルロス1世

 

 因みに、イギリスでは90歳のエリザベス女王が在位64年と歴代最長だが、これまで退位が検討されたことがない。英王室に生前退位の規定はなく、あくまで本人の意思によるとされる。なお、1936年にエリザベス女王の伯父にあたるエドワード8世は、米国人女性と結婚するために在位わずか1年足らずで国王を退位した。

 

 私ことワールド・トラベラーはもちろん、上記の国々をすべて訪問済みで、特にクウェートは商社マンとして1971年〜1974年に駐在したことがある。同国の国王一家、サバーハ家を熟知しているが、隣国のサウジアラビアなどと共に国王は絶対的である。半世紀近く経った今でも、家族(妻・小学生であった長男と次男)と一緒に過ごした貴重なイスラムの生活体験を懐かしく想起する。

 

       −−− クウェート駐在時代の懐かしきスナップ −−− 

 

    サバーハ家の看板前で家族と共に    勤務先の事務所で執務する

       (右端が筆者)         ワールド・トラベラー

 

 因みに、筆者にはクウェートに関する下記著書があり、ご購読願えれば誠に幸甚です。

 

       ワールド・トラベラーだけが 知る素顔のイスラム 

            新潮社 定価1,500円+税 

         シリアやイスラム国(IS)なども詳しく解説

    

 なお、幣著書のお買い求めはアマゾンなどのインターネットショッピングや、最寄りの書店で可能です。なお、書店やネットショッピングで入手不可能の場合は、在庫が十分な世界の人形館でお求めできます。
お問い合わせ:
世界の人形館 TEL 
04−7184−4745
           E−MAIL  
ko-yasu@maple.ocn.ne.jp

 

Copyright ©The World Doll Museum WDM. All Rights Reserved

| 国際政治 | 19:52 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - | ↑TOP
スポンサーサイト
0
    | - | 19:52 | - | - | - | - | ↑TOP
    コメントする









    この記事のトラックバックURL
    http://abiko8524.jugem.jp/trackback/241
    トラックバック
    PR
    PROFILE
    LINKS
    CALENDAR
    S M T W T F S
        123
    45678910
    11121314151617
    18192021222324
    252627282930 
    << November 2018 >>
    SELECTED ENTRIES
    CATEGORIES
    ARCHIVES
    新着コメント
    • 2018 FIFAワールドカップの舞台ロシアの旅−モスクワの今昔
      高 (06/25)
    • 2018 FIFAワールドカップの舞台ロシアの旅−モスクワの今昔
      相子 (06/24)
    • 米朝首脳会談の舞台セントーサ島と我が総理の外交に想う
      高 (06/20)
    • 米朝首脳会談の舞台セントーサ島と我が総理の外交に想う
      相子 (06/19)
    • 史上初の米朝首脳会談が開催されるシンガポールの今昔
      高 (05/19)
    • 史上初の米朝首脳会談が開催されるシンガポールの今昔
      相子 (05/18)
    • 14年ぶり首相に返り咲くマハティール氏とマレーシアの旅(3)
      高 (05/11)
    • 14年ぶり首相に返り咲くマハティール氏とマレーシアの旅(3)
      相子 (05/11)
    • It's Sho-Time ! 二刀流の大谷翔平選手が活躍するロサンゼルスを懐かしむ
      (04/16)
    • 81歳と春の花と国会混迷
      高 (04/16)
    MOBILE
    qrcode