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仏大統領選とフランス紀行−2(南仏編)
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  その後もトランプ・ショックに揺れる世界だが、挑発を続ける異次元の北朝鮮はさておき、次なる焦点はヨーロッパの雄フランスの動向であろう。愈々4月23日にフランス大統領選挙(一回目)が行われるが、今回の選挙で台風の目となるのは、大統領の座が視野に入るところまできたと言われる極右政党・国民戦線の女性党首マリーヌ・ルペン氏であろう。もし反移民・反EU(欧州連合)を掲げる同氏が政権を手にすれば、宗教や民族の違いを克服できないまま、後戻りできない分断に陥る可能性がある。

 また、自国第一を唱えるトランプ米大統領と共通項が多く、ヨーロッパの共存共栄の象徴でもあるEUの土台が根元から揺らぐことになる。フランスは、ドイツとともにEUの最大の支え手であるだだけに、そのショックはイギリスのEU離脱を上回るかも知れない。フランス抜きのEUは、片肺飛行を余儀なくされた危険極まりない航空機のようなものだ。一国のリーダー選びに留まらず、国際社会のパワーバランスをも大きく変えそうなフランス大統領選挙である。ルペン氏がトップを走るのか、或いは反ルペン勢力が阻止するのか世界が注目する。

 

 ところが、ごく最新の世論調査では中道・超党派のマクロン候補と極右政党のルペン候補がトップを争い、中道右派のフィヨン候補と急進左派のメランション候補が僅差で追い上げる展開になっていたが、ここに来てマクロン、ルペン両候補の支持率が減り、四者横並びの混戦らしい。特に、先行していた2人を急追しているのが、もう一つの台風の目となりそうな急進左派のメランション候補だ。得意の話術で各候補を論破し、テレビ討論で最も多くの支持を獲得した。

 順調なら先行しているマクロン候補とルペン候補が5月7日の決選投票(あった場合)に進む趨勢であるが、仮ににトランプ似のルペン候補とメランション候補になる波乱が起これば、EUの崩壊のシナリオが現実味を帯びてこよう。もちろん、その前に国民投票が行われるという高いハードルくぐり抜けなければならないが・・・。

 

 

  マクロン候補   フィヨン候補  ルペン候補  メランション候補

          (ネットより転用・加工済み)

 

 さて、当分は国際政治の耳目を集めそうなフランスの旅の模様を紹介しよう。筆者は1974年12月に初めてフランスを訪れて以降、合計8回も旅した大好きな国の一つだ。首都のパリについては、2015年1月12日付け幣ブログ『Je Sui Charlie とフランス紀行−1(パリ編』で紹介済みである。

 今回はプロヴァンスとコートダジュール地方の南フランスにつき触れてみたい。なお、ニースについては、2016年7月18日付け幣ブログ『花の命は短しタイタンビカスと、人の命は短いニースのテロ』で紹介済みのため割愛する。

 

       ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 

 南フランス最大の都市マルセイユを起点にし、話を進めよう。人口は約85万人とフランス第2の大都市は、地中海に面するフランス最大の港湾都市である。紀元前600年頃ギリシアの植民地になった古い歴史を持ち、アフリカ大陸に近く様々な人種が往来する港町だ。出会いと別れが交差するフランスで最もエキゾチックで混沌とした雰囲気があり、異国情緒を盛り上げる。街のランドマークは海抜162mの丘の上にあるノートルダム・ド・ラ・ギャルド聖堂で、ローマ・ビザンチン様式の教会は19世紀後半築と比較的新しい。

 航海の無事を祈る船の模型がたくさんある内部よりも、素晴らしいのが聖堂の外側だ。丘の上から眼下の旧港はもちろん、アレクサンドル・デュマの「岩窟島」で有名なイフ島が浮かぶ青い地中海が、はるか彼方まで見渡せ絶景である。一方、この街で最も活気があり華やかなマルセイユらしい香りがするのが、聖堂から約1km下りヨットや遊覧船が停泊する旧港。その中央にあるベルジュ埠頭では、漁師が威勢の良いかけ声で獲り立ての魚を売る。

 

 マルセイユの北約30kmにあるエクス・アン・プロヴァンスは画家セザンヌの故郷として知られ、人口は約15万人。古くからプロヴァンス地方の政治と学問の中心地になった町のハイライトと言えば、この町で生まれ息を引き取ったセザンヌの足跡であろう。町の北外れにあるアトリエは、1901年に彼が設計して建てたものだ。画材になった果物やビンなどの小道具が展示されている。この付近から彼が一生涯描き続けた山、サント・ヴィクトワールが遠くに見える。セザンヌは天気の良い日は1.5kmほど先にあるレ・ローブの丘へ通い、体調に関係なく山を描き続けたとか。

 旧市街の北端にあるサン・ソヴール大聖堂は、2世紀から17世紀までの異なる建築様式が入り組んでいる。中でも洗練された落ち着きのあるロマネスクの回廊、15世紀の画家ニコラ・フロマンの絵が見どころ。散策にもってこいのルートとしてお勧めしたいのは、プラタナスの並み道が美しいメインストリートのミラボー通りと、その突き当たりに町一番の大噴水があるドゴール広場だ。

 

  

マルセイユ:旧港と遠くに マルセイユ:港を    エクス・アン・プロヴァンス

 聖堂を俯瞰         背景にする筆者       :セザンヌのアトリエ

 

 マルセイユから西北98kmに位置するアルルは、ローマ時代の遺跡が多く残る人口5万人ほどの町である。フランス有数の大河ローヌ川が町中を流れ、オランダ出身の画家ゴッホも住んでいた。古代ローマの遺跡が多い町だが、その代表が紀元75年頃建設された円形闘技場で、最大直径は136m、収容人員は約2万人の規模はフランスで一番大きな闘技場である。闘技場のてっぺんに上がると、アルルの赤い町並みと青いローヌ川のコントラストが素晴らしいパノラマが楽しめる。

 一方、近くにある大きな古代劇場は往時の面影もなく、現在は数本の大理石の柱が残るだけで少々期待外れ。遠くスイスに源を発し、町の左岸を流れるローヌ川の畔を散策したが、初秋の風が吹き心地良かった。郊外で見逃せないのは、町から南へ約3km離れた運河に架かるゴッホの跳ね橋だ。橋の周りは牧歌的な風景が広がり情緒がある。

 

 アルルの北西32kmにあるニームはフランス最古のローマ人都市で、人口14万人の中規模の町である。町名は泉の精ネマウススに由来し、いたる所にローマ遺跡が点在する。例えば奴隷同士の闘技も行われた古代闘技場は、現存するローマ闘技場としては中規模だが、アルルの闘技場に劣らず保存状態が良い。また、紀元5年に造られたメゾン・カレは、ギリシア風の神殿でほぼ原形を留める。因みに、デニムの生まれ故郷がこの町である事はあまり知られていない。

 ニームの北東26kmにあるポン・デユ・ガールは、約2000年前のローマ時代の水道橋の一部である。ガール川に架かる橋の長さは275m、3層アーチの高さは49mもあり、周囲の緑濃い大自然との調和が見事だ。また、水源からニームまでの全長は50km、その間の高低差はわずか17mとは驚きで、天才的であった古代ローマ人の水利技術の高さがうかがえる。なお、最下層のアーチは今では道路として使われている。

 

  

  アルル:円形闘技場  ニーム:メゾン・カレ ポン・デユ・ガール:水道橋

                                                

 アルルの北38kmにあるアヴィニョンは、人口約9万人の古都である。中世の城壁に囲まれ、演劇祭で有名な演劇の都の夏は、世界中から訪れる観光客で賑わう。見どころは、 高台にそびえ建つ巨大な法王庁宮殿だ。1334年〜1952年にかけて建てられた巨大なゴシック宮殿はまるで要塞のようで、厚さが4mの強固な外壁の高さは50mもある。その城壁の外に出ると、「輪になって踊ろう」の歌で有名なローヌ川に架かるサンベネゼ橋が見える。
 この町からさらに北29kmにある
オランジェは人口約3万人の田舎町で、かってローマ帝国の町として繁栄した世界で最も保存状態が良いローマ遺跡が残る。旧市街にある古代劇場の舞台背後の石壁は、2000年前と同じ状態という貴重な遺跡である。また、巨石を積み上げた壁面の全長は103m、高さは36mもある。紀元前20年ごろに造られ、
小さな門だがレリーフが美しい凱旋門も見逃せない。

 

 一方、マルセイユから東へ約150kmに位置するカンヌは、コート・ダジュールに臨む高級リゾート地である。人口は約7万人で、映画祭や夏の音楽祭で知られる。見どころは、夜景が美しいカンヌ湾ビーチ、丘の上にあり町を一望できるノートルダム・デスペランス教会と、映画祭の舞台となるパレ・デ・フェスティヴァル。また、散策には全長3kmのクロワゼット大通りが絶好だ。

 

    

アヴィニョン:法王庁宮殿    エズ    カンヌ:カンヌ湾ビーチ散策

 

 カンヌから約43km北東にあるエズは、地中海を望む高い丘の孤立した頂上に城壁を巡らした小さな要塞村だ。鷲の巣のような町並みは、この地方独特の「鷲の村」と呼ばれる。白い石で舗装された迷路のように入り組んだ狭い通りと、石造りの家々のコントラストが特徴的。まるでおとぎの国に迷い込んだかのような錯覚に陥る。かつて村の中心であった高台の城跡は植物園になっており、眼下の地中海の眺望が素晴らしい。

 

       ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 

 昨日パリの凱旋門付近でで警官3名が死傷する襲撃事件があり、過激派IS(イスラム国)の関係者と見られる犯人は射殺された。選挙直前の不穏な動きが大統領選にどのような影響を与えるのであろうか、少々気掛かりである。

 

(後記)

昨日の大統領選で予想通り4者の僅差激戦となったが、中道のマクロン候補と極右のルペン候補が決戦投票に進むことになった。下馬評ではマクロン候補が優勢のようだが、果たしてトランプ米大統領のような大逆転があるのであろうか?興味深々である(4月23日)。

 昨日の決戦投票でマクロン候補が極右のルペン候補に圧勝した。39歳の最年少の大統領誕生だが、ファーストレディーとなるのは24歳8カ月も年上の妻も話題になっている。リベラルな社会と国際協調を重視する政策が孤立主義や排外主義を掲げる極右を退けた形だが、果たして政権運営は上手く行くのであろうか?(5月8日)。

 

                 ◇◇◇ ご案内 ◇◇◇     

 

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        E−MAIL 
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    高さん 今日は
    友人のフランスに住むお孫ちゃんは今回18歳で初めて投票に行ったそうです。投票所では初投票と言うことで、投票所の皆さんがこれから民主主義の投票が出来るのですね。と祝福して下さったと言うのです。決戦投票はどちらにするかはお聞きしておりません。母親は日本人ですから投票出来ません。
    フランスは駆け足での旅でしたが、マルセイユはとても印象に残っております。高さんのような見聞ではありませんので、庶民の姿です。港付近に酔っ払いが何人もいたのは驚きでした。
    | 相子 | 2017/04/26 3:51 PM |
    仏大統領選の決選投票は超党派のマクロン候補が優勢のよう。
    もし極右のルペン候補が逆転すれば、英仏独のヨーロッパ主要国のトップが全て女性になり、正に画期的ですね!
    一方、マルセイユはアフリカとイスラム圏に近く、フランスらしからぬ雰囲気が大好きです。
    相子さんが言われる通り、庶民的な街ですね。
    | 高 | 2017/04/26 8:25 PM |
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