世界の人形館からの夢メッセージ

夢と寛ぎを紡ぐワールドスクエア
<< トランプ米大統領令の乱発とアメリカの入国制限 | main | 外国人初のプロ棋士を生んだポーランドの旅(1)‐ワルシャワ編 >>
金正男氏が殺害されたマレーシアの旅(2)クアラルンプール編
10

 以前からずっと抱いていた懸念が現実のもになる事件が発生した。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄になる金正男 キムジョンナム氏(45)が、一昨日の2月13日マレーシアで殺害されたのである。クアラルンプール国際空港内でスプレー噴射され、一瞬で毒殺されたらしい。犯人は2人の女で、1人は逮捕されたが、残り1人は男4人(北朝鮮工作員の関係者であろう)と共に逃走中。

 弟の金正恩政権になってから、北朝鮮では粛清が相次いでいるようだ。その最たる例は叔父でかつて北朝鮮ナンバー2と言われた張成沢氏の処刑だが、同氏は金正男氏を金正日総書記の後継者にしようと画策したためマークされたらしい。腹違いとは言え、兄を葬り去るとは33歳の若輩ながら恐ろしき人物である。虚勢を張り気味の金王朝の栄華はいつまで続くのであろうか?意外に早い結末が来るかも知れない。

 

           (クアラルンプール国際空港)

    

      ターミナルビル内       買い物する筆者(2014年)

 

 弟の金正恩氏との後継者争いに敗れた金正男氏だが、2000年頃から中国の保護下に入った。中国当局から護衛されながら、北京、マカオと東南アジアを行き来する生活を送っていた。中国政府系の企業から生活費の一部を提供されていたと言われ、中国にとって正男氏は対北朝鮮外交の重要な切り札だった。父の金正日氏が健在な時代には一種の人質となり、正恩時代に入ると朝鮮半島での有事に備えるため「いつでも首をすげ替えられるトップの代役」という存在でもあったようだ。

 しかし、正男氏を庇護していることは正恩氏の対中不信を募らせ、中朝関係悪化の一因ともなった。シンガポールやマレーシアなど東南アジアで移動する際には、中国は護衛チームを送り、万全の態勢を敷いたとされる。しかし、中国当局はなぜ今回守れなかったのであろうか。暗殺情報を知りながら、中国が北朝鮮との関係修復のため正男氏を見捨てた可能性さえも見え隠れする。

 

 さて、金正恩氏が殺害された舞台のマレーシアは1978年11月に初訪問以降、6回も訪れている大好きな国の一つである。その最大の理由は、商社マンとして1979年〜1984年に隣国のインドネシアのジャカルタ駐在時代に習得したインドネシア語が、マレーシアのどこへ行っても通用するからだ。

 既に2015年6月7日付けのブログ「キナバルの地震と悲劇(?)」で、コタ・キナバルなどのサバ州を紹介ずみである。今回は4回滞在したことがある首都クアラルンプールに絞り、エキゾチックな多民族の街に触れてみたい。

 

  ☆━…━☆━…━☆━…━☆━…━☆━…━☆━…━☆━…━☆

 

 1978年に初めてクアラルンプールを訪れてから4回目の訪問となった2008年6月までの30年間は、近代的な超高層ビルが増えたとは言え、変わらないものが多い不思議で魅力的な大都会である。マレー系、華僑系、インド系など多民族が平和的に共存するマレーシアの首都らしく、世界有数の摩天楼、英国統治時代の面影を残す歴史地区、イスラム建築、チャイナタウンなど様々な文化が混ざり合った独特の雰囲気を持っている。

 

 クアラルンプール観光のスタート地点して是非おススメしたいのが、国営の石油公社ペトロナスが所有するオフィスビル、ペトロナス・ツイン・タワーである。1998年に完成した2本のトウモロコシ形の超高層ビルは452mの高さを誇り、市内で最も目立つ建物である。タワーのちょうど中間付近の41階には2つのビルを繋ぐ渡り廊下があり、地上より170mのスカイブリッジと呼ばれる展望フロアから発展を続けるクアラルンプールの壮大なパノラマが眺望できる。

 

    

  ツインタワーやKLタワーがそびえる   ツインタワーを背にする

    クアラルンプールの摩天楼  

 

 イギリス統治時代の面影が残る歴史地区の中心は、1957年に独立宣言されたムルデカ・スクエアという独立広場だ。広々とした芝生で整備された広場の東向かいに建つのが、近代的な街中でエキゾチックな顔をのぞかせるスルタン・アブドゥル・サマド・ビル(旧連邦庁舎)である 。1894年築のムーア様式のレンガ造りで、中央にある時計塔の高さは40mで街のシンボルになっている。

 

  

         ムルデカ・スクエア        旧連邦庁舎付近

 

 ムルデカ広場の南東にある2階建てのショッピングセンターはセントラル・マーケットで、 かつての生鮮市場を改装したものだ。マレーシア各地の民芸品や雑貨などの店がずらりと並び、2階の奥にあるフードコートでは地方料理も食べられるなど、マレーシアが凝縮されたスポットだ。

 このマーケットの南に隣接するチャイナ・タウンは、雑然としている中国系住民の町である。プタリン通りやハン・レキル通りの目抜き通りを中心にして、細い路地が入り組む。数多くの屋台や安食堂、庶民的なショッピングセンターやホテルなどがひしめき、夜遅くまで人通りが絶えず活況を呈している。

 

 

   セントラル・マーケット     チャイナタウンのプタリン通り

 

 ほかに、イスラム教国としてモスクがあるが、この街のそれは意外に小さい、むしろ、地方で立派なモスクが多い(例えばアロースター)ので、別の機会に紹介したい。

 

  ☆━…━☆━…━☆━…━☆━…━☆━…━☆━…━☆━…━☆

 

 金正男氏殺害現場となったクアラルンプール国際空港第2ターミナルは、アジアで台頭著しい格安航空会社(LCC)のために2014年6月にオープンした。第1ターミナルをしのぐ年間3千万人の利用者があり、24時間休むことなく開かれた空港という看板の裏をかいた犯行のようだ。

 実は2014年3月〜4月、インドの離島、シンガポール、太平洋の島々巡りをした時にトランジットでクアラルンプール国際空港に寄ったことがある。クアラルンプールの市街地から57kmも外れ少々不便だが、その規模の大きさや設備の素晴らしさに驚いた。金正男氏殺害でふと同空港のことを懐かしく想い出した次第だ。

 

後記

金正男氏を殺害した実行犯の2人目の女性も逮捕された。インドネシア国籍で、先に逮捕された女性はベトナムのパスポートを持っているが容貌から国籍は不明のようだ。一方、男たち4人の行方は依然として分からない。いずれにせよ、巧妙な北朝鮮による嘱託暗殺であろう(2月16日)。

その後、マレーシア在住の北朝鮮国籍の男が逮捕され、さらに北朝鮮国籍の男4人を容疑者として特定したが、事件当日に出国して平壌に戻ったらしい。マレーシア警察はさらに北朝鮮国籍の人物3人が事件に関与していると見ており、また猛毒の神経剤VXによって殺害されたと発表した。ここまでくると北朝鮮の組織的な関与があり、それは最高指導者である金正恩朝鮮労働党委員長の指示に基づくものであろう(2月25日)。 

  

                   ◇◇◇ ご案内 ◇◇◇ 

 

 私ことワールド・トラベラーには、北朝鮮に関する下記著書があります。ご興味があればご愛読ください。

 

   私はワールド・トラベラー      272の国と地域を制覇した77歳のワールド

     世界257ヵ国・地域を旅した男    ・トラベラーは たった1人で紛争地を旅した   

      文芸社 定価1,500円+税          幻冬舎  定価1,400円+税

    

 

 なお、幣著書のお買い求めは、アマゾンなどインターネットショッピンや、最寄りの書店で可能です。なお、書店やネットショッピングで入手不可能の場合は、在庫が十分な世界の人形館でお求めできます。
お問い合わせ:
世界の人形館 TEL 04−7184−4745
        E−MAIL  
ko-yasu@maple.ocn.ne.jp

 

Copyright ©The World Doll Museum WDM. All Rights Reserved   

| 世界の旅−アジア | 14:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - | ↑TOP
スポンサーサイト
0
    | - | 14:00 | - | - | - | - | ↑TOP
    コメントする









    この記事のトラックバックURL
    http://abiko8524.jugem.jp/trackback/227
    トラックバック
    PR
    PROFILE
    LINKS
    CALENDAR
    S M T W T F S
     123456
    78910111213
    14151617181920
    21222324252627
    28293031   
    << October 2018 >>
    SELECTED ENTRIES
    CATEGORIES
    ARCHIVES
    新着コメント
    • 2018 FIFAワールドカップの舞台ロシアの旅−モスクワの今昔
      高 (06/25)
    • 2018 FIFAワールドカップの舞台ロシアの旅−モスクワの今昔
      相子 (06/24)
    • 米朝首脳会談の舞台セントーサ島と我が総理の外交に想う
      高 (06/20)
    • 米朝首脳会談の舞台セントーサ島と我が総理の外交に想う
      相子 (06/19)
    • 史上初の米朝首脳会談が開催されるシンガポールの今昔
      高 (05/19)
    • 史上初の米朝首脳会談が開催されるシンガポールの今昔
      相子 (05/18)
    • 14年ぶり首相に返り咲くマハティール氏とマレーシアの旅(3)
      高 (05/11)
    • 14年ぶり首相に返り咲くマハティール氏とマレーシアの旅(3)
      相子 (05/11)
    • It's Sho-Time ! 二刀流の大谷翔平選手が活躍するロサンゼルスを懐かしむ
      (04/16)
    • 81歳と春の花と国会混迷
      高 (04/16)
    MOBILE
    qrcode