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天秤外交得意のドゥテルテ大統領とミンダナオ島・ダバオなどの旅
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 最近の国際政治で話題になっている、と言うより物議を醸し出している人物が2人いる。一人は来月の米国大統領選挙で共和党候補者になっているドナルド・トランプ氏と、もう一人は「暴言王」の異名を持つフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領だ。本日(10月25日)、「フィリピンのトランプ」とも評されるドゥテルテ大統領が来日した。その後在日フィリピン人コミュニティーとの懇談に出て大歓迎を受けたが、同氏の熱狂的な人気が凄いらしい。

 因みに、同大統領はレイテ島生まれだが、幼少時にミンダナオ島のダバオに移り育った。大学卒業後はダバオの検察官などを経て、政界に進出した。下院議員などを鋏み、ダバオ市長を7期20年以上も務めた。そして、2016年6月にフィリピン大統領に就任した。同氏が超有名なのはダバオ市長時代からの容赦ない麻薬撲滅取り締まりで、人権団体からも批判も浴びるほどだ。殺害された麻薬犯罪容疑者が数千人を超えるとか。

 

 注目のドゥテルテ大統領の過激な言動は止む気配は無いようだ。特に友好国のアメリカ嫌いは徹底しており、オバマ大統領は完全に無視された形だ。”軍事的にも経済的にも米国とは決別する”と、超過激な発言まで飛び出している。だが、その背景にはダバオ市長時代の2002年に、アメリカに侮辱されるような爆破事件があったらしい。実は筆者もパワー至上主義の同国の一方的なやり方で屈辱を受けたことがあり、同大統領の心情は理解できる次第だ。

 一方、南シナ海問題で緊張関係にあるはずの中国とは、過日の中国訪問でこの問題を棚上げして2兆5000億円もの経済援助を引き出している。一見は強面だが実際はシッカリと算盤を弾く、案外したたかな現実主義者なのかも知れない。わが日本に滞在中も、中国をちらつかせながらバランス外交を展開しよう。具体的には中国と同様に多額の援助をおねだりし、また地元のミンダナオ島の鉄道整備など遅れたインフラ整備の協力を要請するであろう。

 

  

   ドゥテルテ大統領    大統領のお膝元ダバオの市街地を俯瞰

(ネットより転用・加工済み)

 

 さて、筆者はドゥテルテ大統領がダバオ市長をしていた2006年1月に、ダバオをはじめミンダナオ島内を回った。その時の模様を紹介するが、マレーシアまで足を延ばした旅先で母他界の訃報に接した忘れがたい旅でもであった。

 

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 旅行当時のミンダナオ島に関する外務省の安全情報によれば、イスラム過激派の反政府活動が依然として活発なため渡航は差し控えるようにとのこと。そこで出発前にダバオのホテルに問い合わせたところ、「ダバオは大丈夫だが、サンボアンガは危険」だという。そこでサンボアンガのホテルに聞いたところ、「現在は問題ないので、来て欲しい」との回答があった。外務省の危険情報にもトップクラスでランクされているが、結局両都市を訪れた。

 

 ダバオはミンダナオ島最大の都市で、人口は約80万人。マニラに次ぐフィリピン第2の街は、果物の王様・ドリアンの産地として知られる。戦前は日本人が多く住んでいた市内は平穏であったが、泊まったダバオを代表する高級ホテル、インシュラー・センチュリー・ホテルでは銃を持ったガードマンの検問が厳重を極めた。昼間の市街地は安全そうだが、夜間は銃を構えた国軍があちこちで警戒していた。当時のドゥテルテ市長の厳しい指揮によるものだろう。

 物騒この上ない雰囲気が漂う中、サン・ペドロ通り、UFOの様な形をしたユニークな大聖堂、オスメニア公園、チャイナタウン、プラハの幼きイエス神殿、ダバオ川岸、サンタナ埠頭などを訪れた。おススメは高台にあるカトリックの聖地、プラハの幼きイエス神殿で、途中の展望台からダバオ市内やダバオ湾が一望でき見晴らしが良い。また、スピードボートに乗ってダバオ沖合に浮かぶ美しいサマール島に上陸し、パール・ファーム・ビーチを散策した。

 

           ダバオを散策・観光するワールド・トラベラー

    

       大聖堂         プラハの幼きイエス神殿

 

  

 水上コッテージが美しいサマール島    パール・ファーム・ビーチ

 

 ダバオ以上に危険だと言われるサンボアンガはミンダナオ島の最西端にある港町で、人口約60万人はフィリピン第4位である。イスラム教徒が比較的多く治安は良くないと言われる。町の中では一見問題なさそうだが、観光局で沖合いのサンタクルス島に行きたいと言ったところ、護衛を付けるという。やはり治安に問題ありと判断し、島へ渡るのを断念した。またマニラに帰る際、空港で荷物が徹底的にチェックされ、イスラム過激派組織vs政府のミンダナオ紛争は未解決と実感した。

 町の観光・散策で訪れたのは、景色の良い海岸ラ・ビスタ・デル・マル、パソナンカ公園のツリーハウス(木の上に作った家屋)、水上集落がある貧しいタルクサンガイ村、ピラール砦、目抜き通りのパブロ・ロッレンツォ通り、町の中心にあるリサール公園、市庁舎、少数民族・ヤカン族の村など。必見のスポットはサンボアンガの文化的且つ歴史的ランドマークとされるピラール砦で、現在は国立博物館などになっている。

 

           −−− サンボアンガ三景 −−−

   

   ピラール砦   タルクサンガイ村の水上集落 ラ・ビスタ・デル・マル

 

 最後に、ミンダナオ紛争につき少し触れよう。1970年にイスラム教徒が「モロ民族解放戦線(MNLF)」を結成したが、1978年には「モロ・イスラム開放戦線(MILF)」が分離し、政府軍と 激しい戦闘を繰り広げた。その後2003年までに停戦合意した後も、連続爆弾テロや爆破事件が起きている。

 ほかにアブ・サヤフ・グループ(ASG)や、東南アジアのテロ組織として知られるジュマ・イスラミーヤ(JI)の暗躍もあり、予断を許さぬ状況が今後も続きそうだ。なお、詳しくは筆者の著書『272の国と地域を制覇した77歳のワールド・トラベラーはたった1人で紛争地を旅した!』幻冬舎 1,400円+税をご参照願いたい。

     

     

 

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              ◇◇◇  ご案内  ◇◇◇

 

 幣著書のお買い求めは、アマゾンなどインターネットショッピンや、最寄りの書店で可能です。なお、書店やネットショッピングで入手不可能の場合は、在庫が十分な世界の人形館でお求めできます。
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| 世界の旅−アジア | 19:59 | comments(2) | trackbacks(0) | - | - | ↑TOP
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    高さん 今日は
    今朝もこの大統領のことをテレビが取り上げていました。
    親日家でもあるそうだと。過激な言動には驚きます。
    ダバオには戦前日本人が多数住んでいたのですね。
    母方の祖父がダバオに仕事に行っていたことがあり、どんな街かと思っていました。港があるのですね。祖父が行った台湾の花蓮港は見に行きましたが、ここは縁がなかったですね。
    | 相子 | 2016/10/26 10:34 AM |
    相子さん
    フィリピンの大統領、表の顔は気まぐれな過激派のようですが、
    裏の顔は意外にもしたたかな商売人かも知れません。
    戦前日本人が多数住んでいたのはダバオだけでなく、
    ミンダナオ島全体に住んでいたようです。
    特に、サンボアンガも多く、日本人碑を見かけました。
    | ワールド・トラベラー(高) | 2016/10/26 11:28 PM |
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