世界の人形館からの夢メッセージ

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キナバルの地震と悲劇(?)
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 過日のネパールの巨大地震に続き、またマレーシアで地震があった。一昨日(6月5日)同国のボルネオ島北部のサバ州で、マグニチュード(M)6.0の地震が発生。同州の州都コタ・キナバルから10kmほど離れたマレーシアの最高峰キナバル山(4095m)では、地滑りなどで100人以上の登山者が直ぐに下山できなかった。
 落石などで日本人1名を含む18人が死亡し、死者数の最も多いのがシンガポール9人、あとマレーシア人6人などが続く。また、名物の山頂近くの奇岩「ロバの耳
」も片耳が崩落し、見るも無残な姿になっているのが話題になっている。御嶽山やエベレストなどに続き、今更ながら山の恐ろしさを見せつけられた思いである。
  
 キナバルは現地語(マレー語)では、キナは中国、バルは未亡人を意味する。
キナバル山は自然世界遺産になっており、いくつかの伝説が残る聖なる山とされる。マレーシア有数の観光地で、東南アジアはもちろん、ヨーロッパなど世界各国から登山者が絶えない。そんな中で地震が発生する前の4月30日に山で裸になるなどした疑いで、カナダ・オランダ・イギリス国籍の4人の男女が逮捕された。この山は「祖先の魂が眠る場所」として神聖視されるほどで、「地震が起きたのは山の神を怒らせたから」と地元民からは非難されている由。
 もっとも観光地で裸になるのは、この国に限らずほかの国々でもあるようだ。たとえば、筆者が1994年9月
と2006年6月に訪れたカンボジアのアンコール・ワット遺跡で、米国人2人が裸になり国外退去させられた。また、1994年4月に旅したペルーのマチュピチュ遺跡では、昨年観光客が裸になって記念写真を撮る事件が3件も発生し、8人ほどが逮捕された由。

  
 キナバル山のロバの耳  −− 世界的な遺跡を訪ねるワールド・トラベラー −−
(地震前、インターネットより)  
アンコール・ワット遺跡    マチュピチュ遺跡    

 なぜわざわざ裸になるのか、世界を股にかけて旅して来たワールド・トラベラーとて、彼らの神経がまったく理解できない。キナバル山は未登頂だが、その山麓には出かけている。また、1997年、2006年、2008年の3度もコタ・キナバルを訪れ、2008年の旅ではサバ州をぐるっと回った。それら楽しきことも悲しきこともあった想い出を紹介しよう。


   ☆━…━☆━…━☆━…━☆━…━☆━…━☆━…━☆━…━☆

  ワールド・トラベラーがマレーシアを初めて訪問したのは1978年11月。翌年の1979年から5年ほどインドネシアに赴任したこともあり、隣国である同国は言葉が通じる(インドネシア語とマレー語は兄弟語)こともあり、親近感を抱いた。ボルネオ島北部に位置するコタ・キナバルを初訪したのは1997年10月であった。
 同地は
中国語の看板があふれ、華人が多い活気がある港町であった。見晴らし抜群のシグナル・ヒル展望台、カラフルな中国寺院・普陀寺、黄金のドームが輝く州立モスク、水上集落カンポン・アイル、約5kmの白砂ビーチが広がるタンジュン・アルなどを観光した。郊外では、キナバル州立公園でジャングル・トレッキングなどを楽しんだが、時間の余裕が無かったのでキナバル山登頂は断念し遠望した。

 コタ・キナバルのコタはマレー語で「町」を意味する。町の感じをおおまかに把握するなら、展望台があるシグナル・ヒルが一押しだ。市街地や真っ青な海に浮かぶ島々、遠くにキナバル山を一望することができる。華人の町を代表する中国寺院の普陀寺は、色鮮やかな極彩色の寺で華人の参拝客がいつも絶えない。
 754k屬旅大なキナバル州立公園の中腹で楽しんだジャングル・トレッキングが良かった。地元カダザン族のガイドを先頭にジャングルを進むと、そこは別世界が広がる。緑の重なりが死海を埋め、聞いたことがないセミの声に包まれる。天を突くような巨木から太いツルが垂れ下がり、時々「ブルブル」という鳥が甲高く鳴く。ラワンの巨木に寄生するラン、ネックレスの花やお化けの花、食虫植物ウツボカズラなど、ボルネオならではの珍しい植物が次々と現れる。


         −−− キナバル滞在中の筆者 −−−
  
    中国寺院・普陀寺              州立モスク          キナバル州立公園

 コタ・キナバルを再訪したのは約7年後の2006年1月で、フィリピンを周遊後に寄った。その直後に母死去(享年94歳)の悲報を受け、急遽帰国する緊急事態となった。このため以降のサバ州とサラワク州、ボルネオ島のインドネシア領(カリマンタン)、マレーシア本土(マレー半島)へ旅行を続けるのは断念せざるを得なかった。
 さらに運の悪い事にマレーシア航空の帰国便が約15時間も遅れる大トラブルが発生したため、親の死に目にも会えなかったのは勿論、通夜・葬式にも出られなかったのが残念至極であった。
 帰国後すぐに同航空に強くクレームしたが、誠意ある補償にも応じてくれなかった。この忌々しきフライト問題は忘れがたく、近々刊行される筆者3冊目の著書「
トラベル・イズ・トラブル Travel is Trouble」で詳述している。ご関心あれば、ご購読下さい。

 とは言っても待ち時間が十分あるので出発まで眠い目をおすりながら、
コタ・キナバル市内を散策・観光した。たとえば、シグナル・ヒル、ムルデカ広場、王宮、リカス潟、市立モスク、モダンな円形のサバ財団ビル、水上集落、ロングハウス風のサバ博物館、州立モスク、市民が憩うビーチのタンジュン・アル、フィリピン不法滞在者が増え繁盛するフィリピノ・マーケット、セントラル・マーケットなど。

 母の死去で不完全燃焼に終わった前回訪問にケリを付ける旅をしたのが、2008年6月。マレーシアのほぼ全土を周遊、サバ州ではコタ・キナバルのほかにサンダカンも訪れ、同地をベースにサバ州の東海岸の各地も回った。
 サンダカン市内では、壮麗な仏教寺院プー・ジ・ーシ・寺、1888年築のカトリック教会のセント・ミカエル教会、セント・マリア教会付属学校、シム・シム水上村、からゆきさん(外地売春婦)が眠る侘しい日本人墓地、セントラル・マーケット、メインストリートのルブ・ティガ、町一番の最高級ホテルとして有名なサバホテル。
 郊外では、テングザルが見られるスカウ、キナバタンガン川と支流メナンゴール川をボートサファリ、ツバメの巣で有名なゴマントン洞窟、セピロック・オランウータン保護区など。

     
   シグナルヒルよりコタ・    テングザル   サンダカンのプー・ジー・シ寺
   キナバル市街地を俯瞰


 小説「サンダカン八番娼館」の舞台になった南洋の港町は、同じサバ州の州都コタ・キナバルの活気ある発展振りに比べ、古い建物が多い落ち着いた雰囲気が漂う。第二次世界大戦の日本軍占領下で歴史的建造物がほとんど破壊されたこともあり、市内には見どころが少ない。
 地味な感じの町並みの中でひときわ目立つのが、千段寺とも呼ばれるプー・ジー・シ寺(普済寺) 1987年サンダカンの名門ホテルのオーナーが建てた豪華絢爛な仏教寺院で、町の北はずれの高台にある。立派な山門をくぐって入ると、院内ではチーク材に金箔を塗って作った龍が巻き付く柱が人目を引くほか、外に出ると高台から市街地の港などのパノラマが望める。
 
 この町の観光ハイライトは何と言っても、現在も豊かな熱帯雨林に野生動物が棲息する郊外。市内から南東へ約130kmにあるスカウ村にはロッジが点在し、エキサイティングなジャングル・リバークルーズが楽しめる。早速スカウ・リバーロッジから出るクルーズに参加し、サバ州最大の川で全長560kmもあるキナバタンガン川とジャングルに囲まれた支流メナンゴールをボートサファリした。
 川沿いの森に棲む天狗のような長い鼻を持つボルネオ島固有種の猿テングザル、大きな口ばしを持つサイチョウなどを観察。特にテングザルは樹上を飛び回り、川を泳ぐので興味深い。一方、猿の仲間で人気のあるオランウータンを確実に観察するなら、サンダカンの西23kmにあるオランウータン保護区がお勧め。1日2回の餌付けでは、愛嬌たっぷりの可愛らしいオランウータンが森の中から現れる。


   ☆━…━☆━…━☆━…━☆━…━☆━…━☆━…━☆━…━☆

 ワールド・トラベラーも早や78歳になった。来世に行くまでキナバル山の片耳になったロバの耳を見たいと思うが、果たしてチャンスがあるかどうか・・・。最近は著述に多忙の現実を直視すると困難とは思うが、諦めてはなるまい。


                   ◇◇  ご案内  ◇◇
 新著紹介
世界199ヵ国と73地域を制覇したワールド・トラベラー ペンネーム:高 やすはるが、テレビや新聞が報道しない、知られざる危険だらけの紛争地を生々しく現地ルポする本格的なノンフィクション書籍!喜寿を過ぎた世界の旅人が著した本物志向のリアルな本が、幻冬舎より発売中。
     272の国と地域を制覇した77歳のワールド・トラベラーは
             たった1人で紛争地を旅した

という超長い書名も話題となっています。

定価本体1,400円+税 最寄りの書店でお買い求め又は注文可能 アマゾンなどインターネットショッピングもできます。なお、書店やネットショッピングで入手不可能の場合は、在庫十分な世界の人形館でお買い求めできます。ご連絡下さい。

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