世界の人形館からの夢メッセージ

夢と寛ぎを紡ぐワールドスクエア
紙幣のデザイン刷新と、紙幣から世界が分かる
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 5年後の2024年に現在の1万円、5千円、千円の紙幣デザインが一新される。特に注目される紙幣の顔とも言うべき表面のデザイン(肖像画)は、1万円札は福沢諭吉 ⇒ 渋沢栄一、5千円札は樋口一葉 ⇒ 津田梅子、千円札は野口英世 ⇒ 北里柴三郎へとバトンタッチされる。渋沢栄一は「日本の資本主義の父」と呼ばれ数多くの銀行などの設立に関わった実業家、津田梅子は日本初の女子留学生となり津田塾大学を創立した教育者、北里柴三郎は血液中から抗体を発見した「日本の細菌学の父」として知られる。

 日本の紙幣の肖像画は政治色の強い政治家や軍人は外されて文化人から選ぶとされ、外国の紙幣と異なるのが特色だ。また、時代的には明治以降に絞られ、我が国初のノーベル賞を受賞した湯川秀樹など昭和の偉人は早すぎるとして人選から外されるようである。因みに、かつてお札の顔の決め手の一つになったのはヒゲとされ、伊藤博文はその代表例だった。現在のように偽造防止技術が高くなかった昔は、ヒゲの有無が肖像画の人物選定を左右したとか。

 

 さて、紙幣の表デザインは人物であるのが日本では定説だが、世界の紙幣に目を向けると、基本的には元首や政治家などの人物だ。しかし、一部の地域、特にアフリカ諸国は人間以外が多くユニークだ。例えば、南アフリカに棲息するライオン・ヒョウ・ゾウ・サイ・バッファローは「ビッグ5」と称され、紙幣の表デザインに全て採用されている。ほかに、コンゴ民主(旧ザイール)はゾウ・ライオン・サイ、タンザニアはキリン・ゾウ、ルワンダがシマウマ、ソマリランドはバッファロー、リビアのラクダが表デザインになっている。また、紙幣の裏面デザインでも野生動物になっている国がアフリカでは多い。

 

 

     南アフリカのライオン     タンザニアのキリン

 

 では、なぜアフリカでは野生動物が紙幣のデザインになるのであろうか?アフリカは野生動物の宝庫と言われ、外貨獲得のための重要な観光資源になっている。しかし、貧困による密猟や森林伐採、急速な人口増と経済発展などが原因で、野生動物の減少問題が深刻である。従い、関係国ではそれなりに問題意識を持ち、紙幣のデザインに採用するのであろう。因みに、アジアでも、インドネシアのサイ、スリランカのゾウ、ネパールのトラ、カンボジアの牛、ミャンマーや香港の獅子像などがある。

 

 

  スリランカの盛装したゾウ    インドネシアのサイ

 

 また意外に多いのが鳥類で、アフリカのウガンダ、ガンビア、サントメ・プリンシペ、シエラレオネ、ザンビアでは表デザインになっている。ほかに、オセアニアのパプアニューギニア、大西洋に浮かぶバミューダ、カリブ海のキュラソー(オランダ領)やトリニダード・トバゴ、シンガポールなどがある。さらに、ニュージーランドが発行した南極の1ドル札にはペンギンが登場する。

 

 

        キュラソーの鳥       南極のペンギン

 

 建造物や遺跡も結構多い。ヨーロッパ(CIS独立国家共同体含む)では共通通貨ユーロ、ロシア、ベラルーシ、沿ドニエストル、アゼルバイジャンの表デザインがそうだ。アジアでは北朝鮮、マカオ、カンボジア、ベトナム、バングラデシュ、アフガニスタン、ウズベキスタン、タジキスタンなどがある。アフリカではモザンビーク、ブルンジ、スーダン、ケニア、ガーナ、ソマリランドがあるほか、中東でもアラブ首長国連邦、イエーメン、シリア、レバノン、エジプトがある。また、オセアニアではサモアやクック諸島、南米のスリナム、カリブ海のドミニカやハイチ、中米のエルサルバドルなどもある。

 因みに、日本でも戦前はよく採用され、近年では沖縄の守礼門がデザインになっている2千円札がある。

 

 

 ンボジアのアンコールワット レバノンのバールベック

 

 世界は広いと実感するのが、上記以外も紙幣の表面デザインになっている例だ。ジンバブエではなんと石が表デザインになっている。これは国名が現地語(ショナ語)で「石の家」を意味するほど、文字通り石が国のシンボルなのだ。南米のガイアナなど国土を表す地図、クック諸島は怖そうなサメ、ニューカレドニアはマンタや海亀、クウェートやモルディブは帆船、アラブ首長国連邦は半月刀がデザインになっており興味深い。

 

 

   ジンバブエの石       クック諸島のサメ

 

 全体的には世界の紙幣の表デザインは、やはり元首などの人物が多いが、その中には変わった肖像画がある。例えば、同一人物の肖像画が上下対称になっているブラジルの20レアル札、エベレスト初登頂したヒラリー卿のニュージーランドの5ドル札、少年が勉強するサモアの5ドル札が人目を引く。だが、最も多く肖像画になっているイギリスのエリザベス女王には敵わない。世界の約4分の1の国・地域の紙幣の肖像画は同女王が占め、かつて大英帝国として君臨した植民地時代の輝かしい名残を見ることができる。 

 

 

  ブラジルは人物が上下対称  ベリーズのエリザベス女王

 

 紙幣を見る度に想うのは、そのデザインなどから各国の政治・経済・歴史・文化などを窺い知ることが出来ることである。つまり、紙幣は単なるお金ではなく、世界の実態がよく分かる絶好の教材とも言えよう。

 以上、世界の紙幣をざっと紹介したが、興味ある方は世界の紙幣を多数所蔵する筆者のプライベートミュージアム「世界の人形館」をお訪ね下さい。272の国・地域を旅した私ことワールド・トラベラーが半世紀近くにわたり、現地で買い集めた紙幣がご覧になれます。

 

            ◇◇◇  ご案内  ◇◇◇

 

世界の人形館のご見学

 筆者が館長を務める世界の人形館では、272カ国・地域の民俗人形、紙幣とコイン、仮面、壷、置物、絵画、木彫り、地球儀、時計、照明ランプ、絵皿、万華鏡などを多数展示しています。ご興味ある方はご遠慮なく、お気軽にご来館下さい。社会貢献活動につき、入館料は無料です。

 

    −−− 国境の無い平和な「世界の人形館」の館内風景 −−−

  

 

 なお、セキュリティなどのため、下記要領で必ず事前に予約をお願いします。
TEL:04−7184−4745 又は Eメール: ko-yasu@maple.ocn.ne.jp 

 

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