世界の人形館からの夢メッセージ

夢と寛ぎを紡ぐワールドスクエア
サッカーとワールド・トラベラーのブラジル大周遊
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 暦通り梅雨に入り、木々はどんどん緑を濃くし日々に成長するが、連日鬱陶しい毎日である。しかし、スカッとし、同時に熱くなるような世紀のイベントが間もなく幕開けとなる。6月12日から1ヵ月余、南米の大国ブラジルで開催されるFIFAワールドカップ2014がそれで、今回は20回目の節目となる記念大会でもある。サッカー王国として自他ともに認めるブラジルでの開催は、決勝戦が「マラカナンの悲劇」となった1950年大会以来、実に64年ぶりになる。現地での関係者の感慨はひとしおであろう。
 ところで、マラカナンの悲劇とは64年前の7月16日リオデジャネイロのサッカー場、エスタジド・ド・マラカナンで行われた第4回大会の決勝リーグで、ブラジルがウルグアイに負けたため優勝を逃したことを指す。ワールドカップではこの「〜の悲劇」が結構ある。例えば、我が日本でも「ドーハの悲劇」がある。1994年中東カタールのドーハで行われたアジア地区予選の対イラク戦で、優勢にリードしながらロスタイムに相手の同点ゴールを許し一瞬にして予選敗退した苦い経験だ。


  
 サンパウロ:開幕戦が  リオデジャネイロ:晴れの  20年前の1994年
が行われるスタジアム  
決勝戦の舞台マラカナン マラカナンを訪れた筆者
  (インターネットより転用・加工済み)


 5回目の本選出場となる日本(FIFAランキング46位)は、8グループのうちグループCに属し、南米のコロンビア(同8位)、欧州のギリシャ(同12位)、アフリカのコートジボワール(同23位)と対戦する。いずれもFIFAランキングでは日本より上位の強豪揃いで、グループリーグ戦を勝ち抜くことは容易ではなさそう。特に初戦を負けると以後は苦戦を強いられるであろう。どんな勝ち方でも良いからなんとか決勝トーナメントに駒を進め、その後はひょっとすれば7月13日の決勝に躍進するぐらいの信じ難い大番狂わせ(!?)を演出してもらいたいものだ。
 国土面積が世界第5位の851万k屬伐罎国の22倍以上もある広大な土地柄、ブラジル全土に万遍なく点在する12の競技場移動はタフな選手たちと言えども相当な負担になろう。例えば、アマゾン河の中流に位置するマナウスからウルグアイやアルゼンチンに近いポルト・アレグレまでは、直線距離でもおよそ3200kmもあるから驚きである。


 ギネス世界記録級の271ヵ国・地域を旅した私ことワールド・トラベラーがブラジルを訪れたのは、1994年4月と2003年7月のわずか2度だけである。世界の旅人としては、本当に恥ずかしくなるほど少ない。しかし、2003年7月には約3週間のハードスケジュールをこなし、ほぼブラジル全土を回った。今回大会の12開催都市のうち、北からマナウス、レシェフェ、サルヴァドール、クイアバ、ブラジリア、リオデジャネイロ、サンパウロの7都市を訪れている。同国の代表的な街々だけではなく、イグアスの滝など世界的に有名な観光スポット、世界の大河アマゾン、世界最大の湿原パンタナールなどにも足を踏み入れている。
 1990年ごろのブラジル経済は超インフレで疲弊していたが、1994年に当時の通貨クルゼイロを4回のデノミを行うレアルプランでハイパーインフレがピタッと収まった。その後は順調に経済発展を遂げ、今やBRICsという新興経済国群の一角としてラテンアメリカ最大、また世界で7番目の経済規模に成長した。広大であると同時に多様性豊かなブラジルの魅力を簡単だが以下紹介し、同時に日本チームの奇跡的な大活躍を祈念したい。


  

   ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 先ず、日本がコートジボワールと初戦の試合をするレシェフ Recife に就いてお話しよう。大西洋に臨むブラジル北東部の港湾都市で、人口約150万人は同国第7位。運河と橋が多いため「ブラジルのベニス」と呼ばれ、旧市街はポルトガルとオランダ両方のコロニアルスタイルが同居する。歴史地区の中心はサン・ジョゼ市場で、植民地時代に砂糖で儲けた財で築いた建造物が多い。また、カルモ教会など、見ごたえのある教会がある。一方、ビーチリゾートとしても知られ、筆者も大好きな街で遊泳を楽しんだ。
 次に、第3戦でコロンビアと対戦する
クイアバ Cuiaba は、ブラジルの中央部にあるがボリビアと国境を接するマット・グロッソ州の州都で、人口は約70万人の中都市である。市内にはボン・デスパッショ教会以外に見るべきものは無く、むしろ郊外のパンタナール大湿原のカイマン自然保護区や「南米のグランドキャニオン」と呼ばれるギマランイス高原などが見どころだ。


 7月13日に決勝戦が行われるリオデジャネイロ Rio de Janeiro は、サンパウロに次ぐブラジル第2の大都市で人口約650万人。1960年のブラジリア遷都まで首都であった街で、ブラジルを代表するビーチリゾート地でもある。「ナポリは見て死ね」に対し、この街は「リオを見て蘇る」と言われ、世界三大美港の一つに数えられる。またボサノバ音楽発祥の地として知られ、リオのカーニバルが世界的に有名な国際観光都市だ。観光スポットは多々あるが、オススメは大きなキリスト像がそびえ立つコルコバードの丘、奇岩ポン・ジ・アスーカル、長さ約3kmのビーチが広がるコパカパーナ海岸、そして世界一のサッカー場マラカナン・スタジアムなどだ。 

  
レシェフ:ボアビアジェン  リオデジャネイロ:コルコ クイアバ大湿原の
 海岸で泳ぐ世界の旅人   バード丘に立つキリスト像   自然保護区でワニ観察

 2度訪れたマナウス Manaus はアマゾン河中流に位置し、ネグロ川畔にある河港都市である。人口は約140万で、アマゾン河流域では最大都市。19世紀末の天然ゴム発見で栄華を極め、多くのヨーロッパ人が押し寄せてきた。その名残を今も留めるのが、イタリア・ルネッサンス様式が煌びやかなアマゾナス劇場である。また、ピラニア釣り、ジャングル遊覧、黄色い本流と黒いネグロ川の出会いなどが楽しめるアマゾン河クルーズも忘れ難い。

 ブラジリア Brasilia がブラジルの首都であることを知る人は案外少ない様である。サン・パウロの北約1015km、ブラジル中部の標高約1100mのゴイアス高原の原野に建設された新しい街だ。1960年リオ・デ・ジャネイロから遷都した人口約200万人の未来都市で、ジェット機をかたどった街路に沿い街並みが造られている。ユニークな街並みを実感するには高さ218mのテレビ塔が一押し。高さ75mの展望台までエレベーターで上ると、ブラジリアの主要部を一望できなかなかの絶景。新首都の心臓部になる三権広場では、国会議事堂、最高裁判所、大統領府などが広場を囲む。

 ブラジルで最も多く日系人が住むサンパウロ Sao Pauro は海抜820mに位置する南米最大の都市で、人口1500万人。ラテンアメリカ随一の商工業都市で、高層ビルの数は世界有数を誇る。リオデジャネイロのような観光名所はないが、世界各国からやって来た移住者が造り上げたモザイク模様の街並みに調和を感じる。旧市街セントロの中心にあるセー広場のすぐ東南近くに、2つの尖塔とドームが目立つカテドラル・メトロポリターナが建つ。1914年に着工して40年後に完成したゴシック様式の建物は、雑然とした旧市街の中でもひときわ人目を引く。ドームは高さ65m、直径27mと威風堂々で、内部は天井とステンドグラスが美しい。セー広場から南へ歩いて約5分リベルダージ地区の一角、地下鉄リベルダージ駅周辺には東洋人街がある。懐かしい日本語の看板の商店やレストランが並び、ガルボンブエノ通りでは赤い大鳥居が立ちほっとするものがある。
 

  
マナウス:アマゾネス劇場に サンパウロ:旧市街に ブラジリア:ユニーク
感嘆のワールド・トラベラー 建つ壮麗なカテドラル な現代風のカテドラル


 サルヴァドール Salvador はサン・パウロから北東へ1960kmほど大西洋岸にある港町で、ワールド・トラベラーがブラジルで最も好きな街だ。バーイア州の州都で、人口約250万人はブラジル第3位の大都市。ブラジル最初の首都として栄えた古都は今も植民地時代の名残りを留め、市街は下町と山手に分かれる。「ブラジルのローマ」と呼ばれる古都は、1763年リオ・デ・ジャネイロ遷都までの214年間ブラジル最初の首都として栄えた。現在もポルトガル統治時代の古い建物が多数残り、新しい未来都市ブラジリアにはない飽きない魅力がある。またこの街がブラジルの他の都市と大きく違うのは、住民の90%近くが黒人や黒人インディヘナの混血(サンボ)が占め、いたる所でダイナミックなアフロ音楽が溢れていることだ。

 観光の中心となる旧市街セントロは丘陵地にある上町とトドス・オス・サントス湾に面する港のある下町に分かれる。見どころがいっぱいの旧市街の中でも最も人気のあるスポットが植民地時代の建物が並ぶペロウリーニョ広場。パステル調のピンクやブルーに塗れられた歴史的な建物が石畳の広場を囲み、ブルーの建物はかっての奴隷市場。この広場周辺はホテル・みやげ物屋・バーなどが多く、夜になると広場ではライブショーが行われ遅くまで賑わう。
  この広場から南西方向に200mほど歩くと、人通りの多いジェズス広場に出る。この広場では様々な大道芸が披露され、中でもダンスの要素を含んだ伝統的な格闘技カポエイラが見もの。またこの広場周辺には教会が多く、代表的なものとしてサルヴァドール大聖堂、サンフランシスコ教会がある。広場から南西方向に向かうとラセルダ・エレベーターがあり、乗って下りると下町に着く。ここから見上げると、上町の街並みが美しく情緒豊かだ。


 ベレン
 Belen も捨てがたい魅力がある。ほぼ赤道直下にあり、アマゾン河口100km上流に位置する港湾都市である。人口は約140万人で、北部ブラジルの重要な港町だ。旧市街はコロニアル風の建物が多く、ヘプブリカ広場を中心にしてパス劇場やナザレ大聖堂などが見どころ。アマゾン河畔のエスタソン・ダス・ドッカスというアミューズメントセンター、コンブ島のバードウォッチング、ジャングルクリーク遊覧なども見逃せない。近郊には日系人の入植地があり、現在でも多くの日系人が住んでいる。

  
サルバドール:ジェズス広場  カポエイラ:格闘技と ベレン:アマゾン河の
 で黒人の淑女達と友好親善  ダンスが混合の武道  クルーズを楽しむ筆者


 ワールドカップ以外の場所で圧倒的に存在感があるのは、なんと言ってもイグアスの滝 Cataras do Iguaçu 。世界三大瀑布の一つで、大小300の滝がアルゼンチンとブラジルの国境約4kmにわたって続く世界最大幅の滝だ。詳細は近々アップ予定の「ブラジル大周遊(その2)」で紹介したい。
 この大国を回って特に実感するのは、国土のスケールの大きさと多様性、豊かな将来性である。日本から見れば地球の裏側にある遠い国だが、今世紀に入り著しい発展を遂げる中国、インドに続く国と言えば迷わずこのブラジルを挙げねばなるまい。世界を股にかけて旅してきた役のワールド・トラベラーにとっても、何度でも出かけたい気になる国である。

   ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 
ワールドカップの開幕を間近に控え、一部工事の遅れがあるほかに、デモやストライキの不穏な動きが収まらないようだ。開幕戦が行われるサンパウロのスタジアム、アレーナ・デ・サンパウロから3kmほど離れた山肌に、粗末な不法テントが多数占拠しているとか。目的は政府からの補償目当てらしい。
 また、各地で様々なストが相次いでおり、W杯で恩恵を受けるのは富裕層だけとの庶民の不満が根底にあるらしい。種々言い分があるのが世の中だが、とにもかくにも大会が無事且つ成功裡に終わって欲しいものである。同時に、確率は限りなく低いが、アッと驚くような結果を日本チームに期待したい!!!


(後記)

 最悪の予想シナリオになり、日本チームは決勝トーナメントに進めなかった。やはり実力相応の結果のようだ。その決勝トーナメントでUnbelievableなハプニングが続出し、自国開催W杯で悲願の優勝を目指していたブラジルチームに悪夢が襲った。コロンビア戦で負傷離脱したエースのFWネイマールを欠いた準決勝のドイツ戦で7失点を喫し、W杯史上同国史上最多失点という屈辱的な敗戦で決勝に進めなかった。結局ドイツがアルゼンチンに1─0で競り勝ち、6大会ぶり4度目の優勝を飾って幕を閉じた。開催国ブラジルに花を持たせることは出来なかったが、コスタリカやコロンビアの中南米勢が躍進する波乱(?)もあり、結構楽しませてくれたFIFAワールドカップ2014であった。
選手諸君 ! お疲れ様でした! See you in Raussia in 2018 ! (7月14日)


            ◇◇◇  ご案内  ◇◇◇


  無料講演を引き受けます。

 ワールド・トラベラーは年間5〜6件の講演・講義を全国各地で行っています。目的は地域や街の活性化と真の国際化推進、そして三流とも揶揄される日本外交再生の一助です。そのために世界に関する事であれば、旅行、文化、芸術、宗教、歴史、政治や外交に関する国際情勢、グルメ、環境、産業などジャンル不問で、ワールド・トラベラーとして何でも講演します。しかも実体験をベースにし、他人様の情報を一切ペーストしない異色のノンフィクションを赤裸々にお話します。
 ご希望があれば、ご遠慮なく又お気軽にお申し出下さい。因みに、慈善活動のため謝礼は一切不要ですが、ご希望の趣旨が筆者の平和的な理念などに反する場合は勝手ながらお断りすることもあります。予めお含み置き下さい。


                   ― ― ―  講演会風景 ― ― ―
  
 プロジェクターを駆使し講演   地球儀を前にして     満席の会場で熱心に聴講
  するワールド・トラベラー    スピーチする筆者     する多数の参加者たち

筆者(ペンネーム:高やすはる)が著した本が文芸社より発売中です。
書名は
私はワールド・トラベラー世界257ヵ国・地域を旅した男
定価は本体1、500円+税。お買い求めはインターネット(アマゾンや楽天ブックスなど)、または最寄の書店でどうぞ。なお、本書は単なるトラベル・ガイドブックではありません。日本の将来を憂い、 特に三流とも揶揄される日本外交に対し、ズバリ直球でもの申す本物志向の提言書でもあります。是非ともご愛読のほどお願いします。


 
     表紙カバー                   口絵
 

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