世界の人形館からの夢メッセージ

夢と寛ぎを紡ぐワールドスクエア
独立が否決されたスコットランドへの旅
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 A群:故郷の空、蛍の光、B群:ジェームズ・ワット、アダム・スミス、C群:誇り高く自立心も強い、けちん坊な性格。これらに共通するものがある。何だろう? 答えはこのブログの終わりにある()。

 今月(9月)に入り、2つのことが気になって仕様が無い毎日である。一つは1ドルが110円まで上昇しそうな、急激な6年ぶりの円安。もう一つは英国北部に位置するスコットランドで行われた、英国からの分離・独立の是非を問うレファレンダム(Referendum
住民投票)であった。
 後者は昨18日に投票が行われ、開票の結果は反対が多数で否決された。1707年以来300年以上に及ぶ連合を解き、英国の分裂という歴史的な事態は、かろうじて回避された。国内のみならず国際的に悪影響が広がることが懸念されていただけに、キャメロン英国首相はホッとしたであろう。

 有権者の関心は非常に高く、世界の民主主義国での選挙でも異例の84.6%という高い投票率となった。投票の結果は独立反対が55.3%、賛成が44.7%で、10ポイントほどの差がついた。投票直前の世論調査などでは、賛否が拮抗して大接戦になると見られていただけに予想外の大差となった。
 有権者がバラ色の将来が期待できそうな独立と背中合わせにリスクもあることを意識し、投票の土壇場になって躊躇したフシがあるようだ。また、投票年齢が従来の18歳から16歳に引き下げられ、10代の若者がキャスティングボートを握ると見られたが、むしろ安定を望む高齢者の反対票が勝敗を決めたとか。

 独立賛成派を率いてきたサモンド・スコットランド自治政府首相は中心都市エディンバラで支持者を前に、「民主的な決定を受け入れる」と述べ敗北を認めたが、テレビで視聴したその認め方が潔く清々しさを感じた。
 一方、キャメロン英首相は住民投票前になりふり構わず独立を阻止するため、自治政府への大幅な権限移譲を早急に実施すると約束した。自治権拡大の約束が空手形に終わらぬよう、その履行が焦眉の急であろう。

 一応スコットランドの新国家誕生は幻となったが、今回の独立を問う住民投票は世界的にも様々な波紋を描き、火種を残した結末ではないかとの懸念がある。実は英国がイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4王国が合体した「連合王国」であることが意外に知られていない。
 歴史を振り返れば、経済力など総合的に優位なイングランドが他の3王国を吸収合併してきた経緯があるが、これら3国は今も伝統的な特色を保持している。
スコットランドへの過度の特別待遇は他のウェールズや北アイルランドの不信を招き、両地方でも同様の住民投票が今後行われること無きにしも非ずであろう。


 

 また、国外でもスペイン、ベルギー、中国などで独立志向の地方があり、特にスペインのカタルーニャ州の独立への動きは現実味があり、大いに注目に値する。また、超大国、中国も新疆ウィグル自治区やチベットというアキレス腱があり、スコットランド問題は大きなインパクトを与える可能性がある。

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 世界を股にかけ272ヵ国・地域を旅してきた私ことワールド・トラベラーは勿論スコットランドを訪問済みで、合計6回の訪英のうち、1976年7月と2004年9月〜10月に訪れている。特にちょうど10年前の2004年の旅ではスコットランド本土のほかに、北海に浮かぶシェトランド諸島やオークニー諸島などの離島へも空路で飛んだ。
 スコットランドは厳しい自然が残るハイランドと、美しい風景が広がるローランドから成る。面積は北海道より少し狭い7万8772k屬如英国全体の3分の1を占める。約530万人の人口は英国全体の約1割を占め、北海道とほぼ同じだ。キルトという伝統的な民族衣装とバグパイプが名物の「英国の中にある別国」を、簡単ながら紹介したい。因みに、最初の旅は商社マンとしてクウェート駐在時に家族(妻・長男・次男)を引率し、2度目は一人旅で28年ぶりの思い出深いセンチメンタルジャーニーであった。

 先ず、スコットランドを代表する3大都市から入りたい。ロンドンの北およそ400kmに位置する
エディンバラはスコットランドの首都で、人口は約43万人。「北のアテネ」とか「フェスティバル・シティ」 と呼ばれ、街並みの美しさはヨーロッパ屈指で、名優ショーン・コネリーの生地で知られる。1976年の初訪問から数えて28年後の2004年にも訪れたが、以前と変わらぬ姿で温かく迎えてくれた。
 街のランドマークであるエディンバラ城は、エディンバラのほぼ中心にそびえる岩山に、街を見下ろすように建つ。幾度となく再建と増改築を重ねた城の中で、最古の建物は聖マーガレット礼拝堂である。1110年に建てられもので、ノルマン様式のアーチが印象的だ。クラウン・スクエアの周りには王宮など有名な建物が並び、エディンバラの市街地が一望できる。
 この城の見どころはむしろ外側にあり、城の北側の公園プリンシズ・ストリート・ガーデンズから見上げる眺望が最高だ。城から街随一の華やかな雰囲気の目抜き通りロイヤル・マイルを道なりに歩いて行くと、東の果てにあるホリルードハウス宮殿に着く。16世紀初頭に建てられスコットランド女王メアリーゆかりの宮殿は、1671年に現在のような壮麗な姿になった。華麗な装飾が見事な宮殿内はグレート・ギャラリーにある歴代スコットランド王の肖像画が圧巻だ。

        −−− エディンバラを散策するワールド・トラベラー −−−

  
プリンシズ・ストリート庭園より ホリルードハウス宮殿   エディンバラ城で衛兵と仲良く
  エディンバラ城を見上げる         


 エディンバラの西約45kmにあるグラスゴーはスコットランド最大の都市で、人口約76万人はイギリス全体でも第4位。かって貿易と重工業の中心地として繁栄したが、近年は英国を代表する芸術都市で知られる。ハイランドやローモンド湖、スカイ島の観光拠点にもなっている。
 スコットランドの大聖堂は宗教改革の際にほとんど破壊されたが、グラスゴー大聖堂は運良く破壊を免れた。12世紀創建後、数度の増改築を重ね現在の壮麗な建物になったが、夕日に映えるゴシック様式の姿が神々しい。内部はステンドグラスが見事で、地下礼拝堂には聖マンゴーの墓がある。ほかに見どころとして、世界の宗教の美術や生活を紹介する聖マンゴー宗教博物館、1471年築のグラスゴー最古の館・プロバンド領主館などがある。

 北海に面する港町
アバディーンは、スコットランドの富を産み出す北海油田の基地となっている。エディンバラから北東約210km、スコットランド第3の町で人口は約20万人。花崗岩の産地で知られ、スコットランド有数の名門校であるマーシャル・カレッジをはじめ花崗岩で造られた建物が多い。
 ほかに、15世紀前半に建てられたアバディーン最古の教会・聖マカー大聖堂、王冠を被った校舎中央部のチャペルが優美なキングズ・カレッジ、古代エジプトなどの収蔵品があるマーシャル博物館も見逃せない。

 上記3大都市のほかに、オススメしたいところがある。ゴルフの聖地と言えば、エディンバラの北東79kmの
セント・アンドリューズ。人口はわずか12000人ほどであるが、ゴルフ発祥の地として有名だ。全英オープンで有名なロイヤル&エンシェント・ゴルフ・クラブのオールド・コースは常に強風が吹き、人の背丈近くもある深いラフは日本にはない難コースである。名物18番ホールのスウィルケン・ブリッジという橋は、テレビなどで観た感じよりも小さい。
 このコースから東へ1kmほど海寄りに、大廃墟になっている聖アンドリュー大聖堂跡が見える。宗教改革で壮大な建物群の大部分が破壊され、現在は双塔のほか、柱・礎石・壁の一部しか残っていないが、往時の面影がうかがい知れる。


  
 グラスゴー:壮麗な大聖堂  アバディーン:マーシャル   セント・アンドリューズ:
                    カレッジ前に立つ筆者    オールドコース18番


 標高1000m以上の山が多いハイランド地方では、怪獣ネッシー伝説のネス湖が必見だ。湖の幅はわずか1.6kmだが、南北は約38kmと細長い。最大水深は290mもあり、いやが上にも神秘性を増す。湖畔に佇むアーカート城は1230年に築城されたが、その後破壊され廃墟のまま残り、ネス湖の湖面にその朽ち果てた姿を映す景観は名画を観るようで素晴らしい。ほかに、シェイクスピアの「マクベス」の舞台で知られるコーダー城も見逃せない。
 エディンバラの西北50km、人口約8万人の
スターリングは「スコットランドへの鍵」と呼ばれ、イングランドとの壮絶な戦いが有名な古都だ。町の北西外れに建つスターリング城はスコットランドで最も壮麗な城と言われ、女王メアリーも生後間もなくここで即位した。城から眼下に巨大な塔ウォレス・モニュメントや町はもちろん、遠くにエディンバラが眺望出来る。

 エディンバラから空路北上し、9月とは言え肌寒い北海に浮かぶ最果ての島巡りをした。アラスカのアンカレッジと同じ北緯60度に位置する
シェトランド諸島は英国最北端の諸島で、大小100余の島々から成る。面積は種子島の約3倍の1468k屬如⊃邑は約22500人。大半はヴァイキングの子孫で、15世紀までノルウェーが支配していた。 諸島の中心地はラーウィックで目抜き通りでも人影もなく、英国の北の最果ての侘しい旅情が身にしみた。古代遺跡では、約4000年前のヤールショフ遺跡という古代住居址が保存状況が極めて良く、クリッキミン遺跡も良く整備され見応えがある。

      グレートブリテン島(英国本土)北端の沖合いにある
オークニー諸島 は大小約70の島々から成り、面積は948k屬悩甘賄腓茲蠑し大きい。人口は約21000人で15世紀中頃までヴァイキングが支配し、謎に包まれた巨石文化の宝庫として知られる。
 諸島の中心地はカークウォールで、1110年築の聖マーガレット礼拝堂のノルマン様式のアーチが印象的だ。古代遺跡は、5000年前の新石器時代の集落遺跡のスカラ・ブラエ、リング・オブ・ブロッガーという巨大な謎のストーンサークルが興味深い。

        −− 最果ての島巡りをするワールド・トラベラー−−


  
  シェトランド諸島:     オークニー諸島:古代遺跡     ネス湖:神秘的な湖畔に
  クリッキミン遺跡        のスカラ・ブラエ         建つアーカート城と筆者


 上記のほか魅力的なスポット、例えばハイランド地方では1692年発生の殺戮事件で「悲しみの谷」の異名を持つグレンコー渓谷、シェイクスピアの「マクベス」の舞台で知られるコーダー城、ハイランド地方の中心都市インヴァネス、スコットランド民謡で歌われているローモンド湖、今もゲール語が日常の言葉として使われるスカイ島がある。

 冒頭の問いにお答えしよう!A群はスコットランド民謡、B群はスコットランド生まれの「国富論」で有名な経済学者と産業革命に貢献した蒸気機関の発明家、C群は典型的なスコッツ Scots の気質で、すべてに共通するのはスコットランドである。 
 英国にありながら、英国らしくないスコットランドで体験した様々な想い出は終生忘れ難いものが多々ある。願わくば、麗しのスコットランドを数年内に再訪したいものだ。



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 ユニオン・ジャックと呼ばれる英国の国旗は、イングランド、スコットランド、アイルランドの旗を合体して作られた経緯がある。もしスコットランドが独立すれば、英国の国旗はどうなるのであろうか? 通貨は独立後も同じ英ポンドを使う心づもりであったが英国は絶対認めないとか、種々問題含みの独立志向であったようだ。
 翻って我が日本でも、一部の地方で似たような独立の動きが将来芽生えるのであろうか? 例えば、米軍基地負担で強い不満を持っている沖縄にそのような動きがあれば(まさかだが)、中国の実効支配下に入らぬよう阻止しなければなるまい。



             ◇◇◇  ご案内  ◇◇◇

筆者(ペンネーム:高やすはる)が著した本が文芸社より発売中です。
書名は
私はワールド・トラベラー世界257ヵ国・地域を旅した男
定価は本体1、500円+税。お買い求めはインターネット(アマゾンや楽天ブックスなど)、または最寄の書店でどうぞ。
  なお、本書は単なるトラベル・ガイドブックではありません。日本の将来を憂い、 特に三流とも揶揄される日本外交に対し、ズバリ直球でもの申す本物志向の提言書でもあります。是非ともご愛読のほどお願いします。


 
     表紙カバー                        口絵

 ワールド・トラベラーが館長を務める世界の人形館では、271ヵ国・地域の照明ランプ、絵皿、万華鏡など多数展示しています。老若男女を問わずご興味ある方はご遠慮なく、お気軽にご来館下さい。茶菓子を用意し、老妻共々精一杯のおもてなしの歓待をします。なお、慈善活動につき、入館料は無料ですが、セキュリティなどのため、下記要領で必ず予約をお願いします。ご協力のほど宜しくお願いします。
 TEL:04−7184−4745 又は Eメール: 
ko-yasu@maple.ocn.ne.jp

 

   −−− 国境の無い平和な「世界の人形館」の館内風景 −−−

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