世界の人形館からの夢メッセージ

夢と寛ぎを紡ぐワールドスクエア
地球儀外交論者・安倍首相の二番煎じ的(?)アフリカ外交懸念―コートジボワール,モザンビーク、エチオピア歴訪に想う
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 「地球儀を俯瞰する外交」の一環として安倍晋三首相が、10日前の1月10日から5日間コートジボワール,モザンビーク、エチオピアの3ヵ国を訪問した。エチオピアの首都アジスアベバのアフリカ連合(AU)本部で政策スピーチし、コートジボワールでは10ヵ国の西アフリカ諸国首脳たちと一堂に会い、東アフリカのモザンビークでは投資フォーラム開催を通じてビジネス関係強化に努めるなど精力的な外交活動を熟した由。

 我が外務省が挙げる今回のアフリカ訪問の成果として、その1は日本の魅力をアピールしてアフリカの真のパートナーになりえる存在感を示したこと、2はビジネス面ではトップセールの推進、その3は積極的平和主義の考えに対し各国首脳から示された支持などがある。8年ぶりの我が総理のアフリカ歴訪外交は、一応及第点が付けられるであろう。
 

 

 「地球儀を俯瞰する外交」を進めるのが安倍首相とすれば、一方「毎日地球儀を回して触れる草の根的な民間外交」を長年推進しているのが、誰あろう私ことワールド・トラベラーである。社会貢献活動の一つとして運営するプライベートミュージアム「世界の人形館」には、驚くなかれなんと40近い大中小の地球儀がある。従い僭越ながら、「地球儀外交」では半世紀近く前から世界を巡り、265ヵ国・地域を旅した筆者の方が大先輩になるかも知れない。

  恵まれた天然資源をベースにして近年高い成長率を示すアフリカは、同首相にとっては有望なフロンティアであり、アベノミクスを支える経済外交でも重要な意味を持つとか。豊富な資金力を背景に大規模開発を進める中国に巻き返えすため、同首相はこの訪問で人材育成や環境技術移転、学校や病院建設など各種振興策を一括した「官民一体」の支援を積極的に売り込んだようだ。
 

 

    −−− 「世界の人形館」にある様々な大中小の地球儀 −−−

         
    見学者が壮観と絶賛の地球儀コーナー     万華鏡地球儀もある(真ん中)
 

 

 

 一連の動きで特に目立つのは、中国への強い対抗心である。その頃に中国では外務省の報道局長が「もし或る国がアフリカ諸国を利用して中国と張り合おうとしても、決して思うようにはいかない」と牽制したが、「或る国」とはもちろん日本である。また、知日派とされる王毅外相も6日からエチオピア、ジブチ、ガーナ、セネガルのアフリカ4ヵ国を訪れた。

 海外、特にアフリカでは、実は中国の方が日本より早く進出した先覚者である。近代のアフリカ大陸は、北アフリカはフランスや英国、東アフリカは英国、西アフリカはフランスが主要宗主国であった。ほかに、ポルトガル、イタリア、ベルギー、スペインなどがある。このような歴史的な経緯に加え、一国の中で多数の部族がいる国では共通の自国語が少ないため、むしろ外国語の英語やフランス語などが公用語になる。アフリカ諸国が独立したと言っても、旧宗主国と植民地との腐れ縁はなかなか切れないようだ。因みに、第二次世界大戦後にアフリカ諸国は続々と独立したが、ヨーロッパの宗主国がほとんど撤収した後に進出したのが華僑のようである。

 


 今から41年前の1973年3月にエジプトへ商用で出張して初めてアフリカの大地を踏んで以来、5年後にエチオピア、2011年11月は最新の独立国・南スーダンを訪れるなど、アフリカのすべての国々を旅した。他の大陸や地域に比べ、治安などでハードな旅を強いられたのは矢張りアフリカで、食事面で困ることも度々あった。その時に本当に救われたのが、アフリカの各地、奥地にもある華僑経営の中華レストランだ。店主も「こんな僻地によくぞ食べに来てくれた」と大喜びで、同じアジア人として異国の地で友好を暖めた。

 時代が変わってその後は「Made in China」の中国商品がアフリカのどこでも氾濫するようになった。また、突然建設された立派なホテルや道路の施主が中国人であることを知り、中国の首脳が資源確保とトップセールスのために頻繁にアフリカ訪問を耳にすると、同国の底力に敬意を表さざるを得ない。

 

 アメリカの研究機関の調査によれば、2000年以降11年間に中国はアフリカに750億ドルもの開発投資したとか。資源開発を中心に、道路や港湾等のインフラ整備、教育や医療、金融や小売りなど多岐にわたり深く食い込んでいるまた、アフリカ諸国には100万人もの中国人が住んでいると言われ、日本人の100倍以上と圧倒的に多い。


 安倍首相の積極的なアフリカ外交も中国を懸命に追う後追いが、所詮二番煎じの三流外交にならぬようお願いしたい。「地域貢献で中国との差を打ち出す」とのアイディアは大いに結構だが、要はキメの細かい実行力で口先だけの絵に描いたモチにならぬことを切に祈念したい。

 


 さて、前置きが長くなったが、本題のコートジボワール,モザンビーク、エチオピアについてお話したい。ワールド・トラベラーは勿論これら3ヵ国を訪問済みである。先ず、象牙海岸を意味するコートジボワールは、1997年2月と2000年11月の2度訪れている。面積は32万2346k屬如日本の約6分の5で、人口は約2100万人。カカオ豆や天然ゴムなど安定した農産物生産があり、1960年にフランスから独立後はアフリカとしては驚異の経済発展を遂げた。特にカカオ豆の生産は世界一で、当時の日本の高度経済成長に例えられ「黒い日本」と呼ばれたこともある。

 しかし、2002年9月に政府軍と反政府勢力との対立が発生,反政府勢力が同国の北部・西部を支配下に置き,事実上国を二分する状態となった。その後和平交渉が度々行われ、2012年に内乱は収束した。

                    −−− アビジャンでの想い出スナップ−−−
   
  アビジャン摩天楼を俯瞰   アビジャン郊外の村   公衆洗濯場で女性たちに

              
         子供たちと仲良く     会うワールドトラベラー

 筆者が初めて同国を訪れたのはこの対立が起こる前で、ベルギーのブラッセルからコートジボワールの最大都市アビジャンに着いた。1983年にヤムスクロに遷都するまでは同国の首都で、人口は約280万人(当時)と最大都市で西アフリカの商工業の中心でもあった。「西アフリカのニューヨーク」と呼ばれ、ちょっとした摩天楼がそびえる近代的な大都会だ。

 異色のスポットがある面白い街である。街外れの原っぱの野外に大きな公衆洗濯場があり、毎日大勢の人々が洗濯にやって来る。その大部分は女性たちだが、ここでは彼女たちにはお喋りを楽しむ絶好の場となっている。陽気な彼女たちはアフリカに有り勝ちなチップも要求せず、気軽に写真撮影に応じてくれた。市内では、聖ポール大聖堂のとても教会とは思えぬ垢抜けした斬新なスタイルがひときわ目立つ。


 一方、アビジャンの西郊外では、ギニア湾岸のラグーン(潟湖)に面するティエグバ村は、貧しいが素朴な水上集落村だ。裸足や裸の子供達が多く、人懐っこい笑顔が可愛いかった。また、43km東にあるグラン・バッサムは19世紀後半のフランス植民地時代の首都であった町でアイボリーコースト(象牙海岸)沿いのビーチが美しかった。

 

 1975年にポルトガルから独立したモザンビークの面積は日本の2倍以上もある79万9380k屬如⊃邑は約2400万人。アフリカ大陸南東 部に位置し、モザンビーク海峡の対岸にマダガスカル島がある。独立後以来17年間続いた内戦では100万人近くが死亡したと言われるが、1992年に終結後の政情は安定している。石炭や天然ガスなどの鉱物資源に恵まれて近年は好調な経済成長が続き、日本には高級エビを輸出している。


 ワールド・トラベラーが同国を旅したのは2001年11月で、首都のマプトなどを観光した。人口が約140万人(当時)のマプトはモザンビーク最大の近代的な都市で、植民地時代に建てられたポルトガル風の建物も多く残る。海岸湿地帯を埋立てた工業地区と丘上の住宅地からなる。18世紀にポルトガル人によって創建された街はロレンソ・マルケスと命名されたが、独立後は現在のマプトに改称された。

 

 1975年の独立から20年続いた共産主義政権の失政や内戦などで国中が荒れ放題と思ったが、現地入りして見るとその後遺症はほとんど残っていなかった。全般的に整然としており、アフリカらしからぬ雰囲気があった。

 マプトはポルトガルの植民地時代を思わせるヨーロッパ風の建物と高層ビルが多く、アフリカにしては清潔で魅力的な街なので驚いた。ひときわ人目を引くのが、宮殿のような気品がある優美な中央駅と通称インディアン・マーケットと呼ばれる中央市場が立派で美しい。自然歴史博物館は野生動物の剥製などの展示が充実し、意外に見逃せない穴場的なスポットだ。

   −−− マプトを散策・観光するワールド・トラベラー−−−


   
            マプト鉄道駅前で         自然歴史博物館内で 


 36年前の1978年5月に商社マン(三井物産)として商用で訪れた高原の国エチオピアは、2001年3月と2007年2月にも旅するほど大好きな国の一つだ。アフリカ大陸でヨーロッパ列強による植民地分割が行われた時代に、リベリアと共に唯一独立を保ち続けたアフリカ最古の国である。それだけに貧しくとも、誇り高い国民だという第一印象を持った。また、絶対君主として世界的に知られた1930年即位のハイレ・セラシェ皇帝が、1974年に陸軍の反乱で退位。その後社会主義国家になりメンギスツ議長の恐怖独裁政治がスタートした直後で、国中には圧迫されるような重苦しいムードが漂っていたのが忘れ難い。

 肝心の売り込み目的の育児粉乳は現地で相当の需要があったにも拘らず、貧しいエチオピアの極端な外貨不足で契約出来ず、最貧国の一つと言われる厳しい現実と商売の難しさを改めて知らされた。


     標高の高いエチオピア高原で初めて経験した軽い高山病、東アフリカで一番大きくて活気がある市場マルカート、他国にない独特のユリウス暦、珍しいキリスト教の一派・コプト教、クレープ状パンなどの珍しいグルメなどは、アフリカ大陸の多様性を知る第一歩となった。アディスアベバのホテル滞在中に外から聞こえてきた日本の民謡に似たスローテンポで哀愁を帯びた音楽にも、信仰と伝説の国エチオピアに一層の親近感を覚えた。

 観光での見どころは、何と言ってもエントト山である。「(ケニアの)ナイロビは一年中春、アジスアベバは一年中秋」と言われる。エチオピアの公用語、アムハラ語で「新しい花」を意味するアジスアベバは、標高が2355mもある。そのため赤道近くに位置するにもかかわらず、年間を通じて涼しい。市内から北へ車で30分ほど上り、オーストラリアから移植されたというユーカリの林を抜けると、標高3200mのエントト山の頂上に着く。そこはアジスアベバの市街地などを一望する絶好の展望台になっており、展望台から眺めた当時の首都はまだ伝統的な茅葺のトンガリ屋根の民家が多い素朴な町並みであった。

 


 郊外では、 アディススアベバの南約90kmにあるグラゲ族の村ティヤ、柳に似た細い木の枝で作られた家が多いガラ族の村アラマヤなどを訪れた。市街地を一歩出ると、茅葺のトンガリ屋根の家々と畑の素朴な田園風景が広がる。歩いている人々のほとんどが裸足であったのを、今もなお鮮明に記憶する。

 リタイア後の2001年と2007年に旅行した時は、面積が113万3380k屬汎本の3倍もある広大なエチオピアのほぼ全土を回った。多様性に富む国土ゆえに見どころも多く、今回のブログではカバーし切れないので、機会を改めて詳しく紹介したい。乞うご期待!
 

 

       −−− 懐かしき36年前のエチオピア −−−
  
アジスアベバ:メキシコ広場  アジス郊外:ティア村で   アジス郊外:ガラ族
付近よりエントト山を遠望  子供達と手をつなぐ      の農家を訪ねた筆者

 


 最後に、警鐘を鳴らしたいことがある。半世紀近く世界の旅を続けて来たが、この間に只一つの例外を除き世界は大変貌した。その例外とは昔と変わらないアフリカ、特に地方の貧しさである。資源には恵まれているが、国富が国民、特に貧しい人たちに分配されない不条理な現実である。私腹を肥やすことに腐心する政治家や権力者が多く、汚職も蔓延るからだ。

 さらに大国や他国の不必要とも思える干渉が加わるので、複雑な内戦になり長期化する。我が国もアフリカへの援助は大いに結構だが、アフリカ人の大半は旧宗主国との絆が断ち切れず、基本的には依然として欧州志向であることを銘記しなければならぬ。このことを踏まえたプロフェッショナルな援助外交や真のアフリカ通の人材活用などが望まれる。
 

 

           ◇◇◇  ご案内  ◇◇◇
 

 

 ワールド・トラベラーのプライベート・ミュージアム、「世界の人形館」の見学者は実に多彩です。国際的なヴァイオリン奏者、アンナ・スタルノフスカさんもその一人。日露混血の才能豊かな彼女がプロデュースする、親子で楽しめるクラシック・コンサートが、千葉県我孫子市で次の通り行われます。世界の人形館はこの素晴らしいコンサートに賛同し後援しています。
 今回は東日本大震災の被災木から作ったヴァイオリンを1000人が弾きつなぐプロジェクトに参加する、大震災復興支援チャリティーコンサートです。
酷寒の折柄ですが、是非共ご来場下さい。お待ちします。


 クリックで挿入   
   コンサートのチラシ        アンナさん       けやきプラザ玄関 

  
     ☆☆☆ 千の音色でつなぐ絆コンサート 
☆☆☆

日時: 2014年1月25日(土) 17:00 開演 (16:30開場
19:30頃終演) 
場所:我孫子市けやきプラザふれあいホール
アクセス:常磐線・千代田線 我孫子駅南口徒歩1分
入場料:一般 1000円 子供(4歳〜小学生) 500円   
演奏者:アンナさんをはじめ10人ほどの奏者のほとんどが女性という異色の
顔ぶれ。また、そのうち3人が小学生。
お問い合わせ:TEL: 0297−68−9517 ジョイ・ファミリーコンサーツ

 

 ワールド・トラベラーが館長を務める世界の人形館では、265カ国・地域の民俗人形、紙幣とコイン、仮面、壷、置物、絵画、木彫り、地球儀、時計、照明ランプ、絵皿、万華鏡などを多数展示しています。ご興味ある方はご遠慮なく、お気軽にご来館下さい。慈善活動につき、入館料は無料です。但し、セキュリティなどのため、下記要領で必ず予約をお願いします
TEL:04−7184−4745 又は Eメール: 
ko-yasu@maple.ocn.ne.jp


 

 

 

   −−− 国境の無い平和な「世界の人形館」の館内風景 −−−

 

 

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   メインホール   民俗人形:中南米等コーナー   地球儀コーナー
 

 

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