世界の人形館からの夢メッセージ

夢と寛ぎを紡ぐワールドスクエア
政権崩壊したウクライナへの懐かしき旅
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  巨額の建設資金を投じたソチで開催の第22回冬季オリンピック大会が、懸念されたテロなどのトラブルも特に無く無事に終わった。敢えて言えば、開会式で五輪マークが四輪になるご愛嬌もあったが―。とにかく、大国ロシア、と言うよりむしろプーチン大統領、もっと具体的に言えば新ロシア王朝のプーチン皇帝が威信をかけたスポーツ祭典との印象を強くした。

 しかし正確には、大会は「なんとか終わった」と言うべきであろう。なぜなら、大会期間中に隣国ウクライナでヤヌコヴィッチ政権側と治安部隊VS反政権側が、首都キエフで激しく衝突し多数の死者を出したのである。ソチから1400kmほど(直線距離で約1040km)離れた地での騒乱で、それほど遠くはない。祖国のことが気になり、オリンピックどころではないとして競技に参加せず、帰国したウクライナ選手もいたとか。


 欧州連合(EU)の仲介でヤヌコヴィッチ大統領と野党指導者が大統領選挙の5月前倒しなどを合意したが、同大統領が辞意を翻したため政変が一気に進んだようだ。2月22日は大統領の政敵で実刑判決を受けていたティモシェンコ元首相(女性)が釈放され、野党「祖国」のトゥルチノフ氏が議会議長に就任した。入れ替わるようにしてヤヌコヴィッチ氏は行方不明になり、翌23日にはトゥルチノフ議長が大統領代行に任命された。同氏は議会の議決により解任され、議会が権力を掌握しヤヌコビッチ政権は崩壊した。

 崩壊するや否や、失脚した側近の大臣や検事総長などの高官が必死になって東部の空港から国外逃亡しようとしたが、失敗して空港からどこかへ逃げ去ったとか。まるで以前映画で観た息詰まる逃亡劇のシーンに似ているのを想い出した。その後ヤヌコヴィッチ氏は指名手配されたが、結局はロシアへ亡命しよう(結局その後そのようになった)。

 
その政権崩壊の日にちょうどソチ五輪の閉会式があった。夜半過ぎ眠たい目を擦りながらテレビでその模様を観たが、ホストのプーチン大統領の表情は開会式の時ほど晴れやかでなかったように見受けた。ヤヌコヴィッチ政権を支えてきた同大統領にすれば、複雑な心境であったに違いない。


 今後ウクライナを巡り、かつて「オレンジ革命」の立役者であったティモシェンコ元首相を支持すると言われるEUと、ウクライナに対する影響力を保持したいロシアの間で緊張が高まりそうである。そればかりか、ヤヌコビッチ氏が基盤とする東部(ロシア寄り)とティモシェンコ氏の影響下にある西部(EU寄り)が分裂する内戦になる恐れもある火種を抱えているようだ。また、南部のクリミア半島では多数派のロシア人ほかにイスラム系のタタール人がおり、泥沼化した内戦が続くシリア、チェチェンなど危険な紛争地域が多いカフカス諸国に近いのも気掛かりだ。

 私腹を肥やした放漫政権を崩壊させたのは良いが、危機に陥っているウクライナ経済の立て直しという厳しい難題がある。一説には「債務不履行寸前」とも言われる同国経済の再建には、350億ドル(約3兆5000億円)の支援が必要とか。前大統領を追い出した手前、ロシアの援助は無理であろう。結局頼るのはEUしかなく、EUも支援に前向きだ。しかし、例のごとくロシアの干渉(例えば軍事介入など)も予想され、すんなりと行くかは極めて疑わしいのではないか。
 

 

     ウクライナ地図       変わり果てたキエフの独立広場

                 (インターネットより転用・加工済み)
 

 歴史的に繋がりが深い兄弟国でありながら、ソ連崩壊後のロシアとウクライナの関係は良好ではない。しかし、実はロシアのふるさとはウクライナであるとの説が案外知られていない。9世紀頃キエフを中心にして東スラブ人により、現在の ロシアのルーツとされる「キエフ公国」ができた。彼らは自分たちをルーシと呼び、「ロシア」の名はこれに由来するとか。

 日本人の口に合うロシア料理も、実はウクライナが本家であることを知っている人は少なかろう。例えばロシアで一番有名な定番料理と言えば、ビーツ(赤カブに似たサトウダイコンの仲間)を使った真っ赤なスープが印象的なボルシチである。ブイヤベース、トムヤムクンとともに、世界三大 スープのひとつにも数えられているが、実はウクライナが発祥の郷土料理だ。ほかにも、イタリアのニョッキに似たハルーシキ、キエフ風カツレツのカトレータなどがある。こうしてみると、歴史的あるいはグルメ的には「ウクライナが兄、ロシアは弟」と言えなくもないが、ロシア人にしてみればけしからんと反論する向きもあろう。

ワールド・トラベラー好物のウクライナ料理  

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   ボルシチ      カトレータ     キエフのレストランで
                      ウクライナ美女のお出迎え 
  

 さて、前置きが長くなり過ぎたが、本題のウクライナへの旅についてお話しよう。私ことワールド・トラベラーは勿論ウクライナを訪問済みである。それは2001年7月で、2011年8月1日のブログ「チェルノブイリ原発事故の国々:ウクライナとベラルーシへの旅」で紹介済みであるが、当時の記事をベースにいくつか加筆して紹介したい。


 先ず、ウクライナの概況を述べよう。面積は60万3500k屬汎本の約1.6倍の広さで、人口は約4550万人。黒土の大地は「ヨーロッパの穀倉」として有名で、鉄鉱石や石炭などの資源にも恵まれて重化学工業が盛ん。ソ連時代の1986年4月にチェルノブイリ原発事故が起き、一旦原発を全廃した。だが、1993年より再稼働させ、現在も原子力発電は盛んと聞く。

 一方、美人が多い国と言えば、北半球ではウクライナ、南半球ではコロンビアが挙げられる。冒頭のティモシェンコ氏はかつて世界一美しい首相と言われた。男性もイケメンが多く同国は美男美女の宝庫で、ちょっと街角で出会った子が美少女だったりするのはよくある。因みに、筆者はアルメニア美女とアフリカ・ナミビアのヒンバ族美女も推挙したい。
 
  見どころは、中世の雰囲気が残る街々や美しいクリミヤ半島であろう。人口約280万人の主都
キエフは、1500年以上の歴史を持つ東スラブ随一の古都だ。緑豊かで起伏が多い街は、実に見どころが多く魅力的。中でもロシアの女帝エカテリーナ2世のキエフ訪問を記念して造られたアンドレイ教会は、高さ60mの美しいドームを持ち、エレガントな内部装飾が華やか。

 聖ミハエル修道院は、金色のドームとブルーの外壁が鮮やか。ドニエプル川沿いに広がるペチェルスカヤ大修道院は、約950年以上もの東スラブで最も長い歴史を持つ修道院である。深い緑に覆われた敷地内には、聖三位一体教会、ウスペンスキー大聖堂、大鐘楼、フセフスヴァーツカヤ教会、トラペズナ教会、地下墓地などがある。特に目を引くのが高さ96mもある大鐘楼で、キエフ市内のパノラマが楽しめ絶景だ。

  

     ペチェルスカヤ大修道院      アンドレイ教会で座り込み
                        休憩する世界の旅人


 ポーランドとの国境に近いリヴィウは人口75万人で、西部の中心都市である。ウクライナ・カトリックの聖地で、最もウクライナらしい雰囲気が漂う。「東欧の小さなパリ」とも呼ばれる町は、ハプスブルグ帝国やポーランドの支配下に置かれたこともあった。小さなトラムが走る古い石畳の町並みは、オーストリア風の落ち着いた風情がある。

 市街地の東の丘にある リヴィウ民族建築・風習博物館では、西ウクライナ各地方から約100棟の木造建物が移築され野外展示されている。市内では、旧市街の中心・リノック広場近くに建つ18世紀バロック様式のドミニカ聖堂は、緑のドームと美しい屋根が見ものである。


 黒海に突出した温暖なクリミア半島は、亜熱帯の陽光下、背後に起伏の激しいクリミア山脈の山並み、前方に紺碧の黒海が広がる。石浜のビーチを黒海の波が洗う風景は絵のように美しく、一瞬地中海ではないかと錯覚するほど。半島観光のハイライトであるヤルタの見どころは近郊になる。

 ヤルタの港から船に乗って40分ほど行くと、クリミヤ半島を代表する観光名所のツバメの巣に着く。アイ・トドール岬先端の黒海を見下ろす崖っぷちに、風光明媚な白亜の宮殿が建つ。ヤルタの名を世界に知らしめたリヴァーディア宮殿は、帝政ロシア最後の皇帝ニコライ2世の夏の別荘として建てられ、1階はヤルタ会談当時の様子が再現されている。

 モンゴルの末裔クリミア・タタールの都であったバフチサライでは、クリミアのハーン(支配者)が暮らしたオスマン・トルコ風の宮殿・ハーンの宮殿など、イスラム世界が広がる。ヤルタが持つ地中海的なリゾート地イメージとは違った多様な側面を知るためにも、ぜひ一見の価値がある。

 

 リヴィウ:リヴィウの民族建築・  クリミヤ半島:黒海に臨むツバメの巣

  風俗習慣博物館を訪れた筆者

(後記)

 7月17日ウクライナ上空を飛行していたマレーシア航空機がミサイルで撃墜され、乗客乗員298人全員が死亡する大惨事となった。ウクライナ政府軍、親ロシア派武装集団いずれかの仕業と相手側を非難するが、今後両者間の戦闘の泥沼化が危惧される。プーチン大統領の出方次第では内戦に突入も懸念され、最近の国際情勢の緊張が残念でならない。(7月18日)

 

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 ワールド・トラベラーが館長を務める世界の人形館では、265カ国・地域
  民俗人形、紙幣とコイン、仮面、壷、置物、絵画、木彫り、地球儀、時計、
  照明ランプ、絵皿、万華鏡などを多数展示しています。ご興味ある方は
  ご遠慮なく、お気軽にご来館下さい。慈善活動につき、入館料は無料です。
  但し、セキュリティなどのため、下記要領で必ず予約をお願いします。
  TEL:04−7184−4745 又は Eメール:
ko-yasu@maple.ocn.ne.jp

 

   −−− 国境の無い平和な「世界の人形館」の館内風景 −−−

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   メインホール   民俗人形:中南米等コーナー   地球儀コーナー
 

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筆者(ペンネーム:高やすはる)が著した本が文芸社より発売されています。
 書名は「私はワールド・トラベラー 世界257ヵ国・地域を旅した男」、
  定価は本体1、500円+税。書店でお買い求め、又は注文できます。
  
また、楽天ブックスやアマゾンなどのインターネット・ショッピングもできます。 なお、書店やネットショッピングで入手不可能の場合、常に在庫が十分

 あります世界の人形館 で確実にお買い求めできます。

 
主なテーマ世界中の絶景と世界遺産、危険な地域、少数民族との出会いやグルメを紹介しつ つ、元・商社マンならではの鋭い洞察力と豊かな知見でチェルノブイリ原発事故の 国々、恐怖の拘束を受けたリビア、タックス・ヘイブンの裏表、ドバイ今昔物語、尖閣 諸島と世界の実効支配、北朝鮮問題の根源、アルジェリア人質事件などを読み解き日本の将来と外交を憂うなど、異色の世界旅行記です。

  尚、本書は単なる旅のガイドブックではありません。日本の将来を憂い、特に三流とも揶揄される日本外交に対し、ズバリ直球でもの申す本物志向の提言書でもあります。是非ともご愛読のほど宜しくお願いします。    

 
 
       表紙カバー                      口絵   
            

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