世界の人形館からの夢メッセージ

夢と寛ぎを紡ぐワールドスクエア
北朝鮮の政変−金正恩体制の崩壊近し!?
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 ひょっとすれば、これから何度もどんでん返しがあるかも知れないミステリーな事件だ。まるでサスペンス劇を観ているような想いである。この謎めいた事件については、既に2月15日付け幣ブログ「金正男氏が殺害されたマレーシアの旅(2)クアラルンプール編」で紹介済みだ。

 

 2月13日に北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長の異母兄である金正男氏が、マレーシアのクアラルンプール空港で猛毒の神経剤VXで襲撃され殺害された。弟の金正恩氏の関与(と言うより指示)は99.999%の確率で間違いないであろう。組織ぐるみ、いや北朝鮮と言う国家ぐるみの非情な暗殺である。

  だが、現時点では故人の身元確認などにつき、北朝鮮側の妨害により確認されたことが未だ少なく、捜査は遅れ難航している。一方では、正男氏の腹部には刺青があるらしいが、公開された遺体には見当たらない。刺青の有無次第では、北朝鮮側が主張する別人(影武者)説が正しいことにもなり、マレーシア警察もDNA鑑定による身元確認を急いでいる。

遺体のみが真実を知る

(ネットより転用・加工)

 

 いずれにせよ、金正恩委員長にしてみれば、兄を抹殺する目的は一応達成したものの、想定外のこともあったようだ。例えば、北朝鮮の国外では有名人である金正男氏の暗殺事件の国際的な波紋である。暗殺の直接的な動機は脱北者による亡命政権樹立構想の阻止と、血統では正統な兄、正男氏への個人的な妬みであろう。

 今まで金正男氏を保護下に置いて来たと言われる中国も、このままでは黙認できないであろう。もし、今後も核実験などで北朝鮮の挑発が更にエスカレートするようであれば、中国が金正恩を消して現在の独裁体制が崩壊することもあり得よう。その時期は意外に早く来るかも知れない。我々が想像も付かないような政変が起きるのが、北朝鮮であり中国でもあろう。

 

                ◇◇◇ ご案内 ◇◇◇ 

 

 北朝鮮を訪問したことがある筆者(ペンネーム:高 やすはる)には、北朝鮮に関する下記著書があります。ご興味があれば是非ご愛読ください。

 

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お問い合わせ:
世界の人形館 TEL 04−7184−4745
        E−MAIL  
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外国人初のプロ棋士を生んだポーランドの旅(1)‐ワルシャワ編
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 本日の朝日新聞でオヤッと思う記事が目に留まった。東欧・ポーランド出身の女流棋士カロリーナ・ステチェンスカさん(25)が、昨日(2月20日)東京の将棋会館で行われた対局で勝利したのである。日本将棋連盟の規定により、正規の女流棋士として認められる女流2級への昇級を決めた。男性棋士も含めて外国人が将棋のプロになるのは初めてという快挙だ。

 

 彼女は16歳の時に大好きな漫画「NARUTO」の登場人物が将棋を指しているのを見て興味を持ったとか。その後インターネットで将棋のルールを覚え、ネット対局で腕を上げ2013年に来日して2年後に女流3級になった。彼女にとって将棋は、チェスと違い相手から取った駒が使え、終盤がダイナックなことが面白く大きな魅力らしい。彼女のプロデビューによって日本の将棋も、チェスのように国際化が進むのであろうか?

 

 因みに、将棋のルーツは諸説あるが、紀元前200〜300年ごろ古代インドで遊ばれたチャトランガという四人制のさいころ将棋と言われる。このチャトランガが西方に伝わりチェスに、東方は中国将棋や日本将棋に姿を変えて世界各国に広まったとされる。インド ⇒ 東南アジア ⇒ 中国を経て平安時代に日本に伝わったようで、貴族の間で将棋が遊ばれていたこととか。

 

 さて、ステチェンスカ棋士の母国ポーランドはドイツとロシアの二大国に挟まれ、国名は「平原、牧草地」を意味する広大で肥沃な平原を持つが故に絶えず他国の支配を受けてきた。東西ヨーロッパの間で揺れた悲劇の歴史を刻んだバルト海の国で、彼女が生まれたのは首都ワルシャワである。今回は同国の最大都市でもあるワルシャワを紹介し、その他の地方は後日としたい。

 

  ☆━…━☆━…━☆━…━☆━…━☆━…━☆━…━☆━…━☆

 

 私ことワールド・トラベラーは米ソ間の東西冷戦の最中であった1975年8月、商社マンとして中東のクウェート駐在時代に家族(妻と2人の息子)を連れて1か月もヨーロッパを周遊し、その途中初めてワルシャワを訪れた。2度目は1977年4月、駐在地のクウェートからルーマニアやブルガリアへ業務出張した時に寄ったものだ。

 3度目は44年もの続いた東西冷戦が終わり、平和を取り戻した2002年5月に2週間近いポーランド周遊のツアーに参加した際に立ち寄った。実に25年振りの再訪となったが、1989年民主化後に加速した街の大変貌に驚き、魅力的なポーランドを再発見する懐かしのセンチメンタル・ジャーニーでもあった。

 

 度重なる他国の占領にも屈せず「不死鳥」と言われるワルシャワは、人口約180万人の東欧随一の大都市である。ヴィスワ川が市内を南北に貫通する。13世紀に建造された街は、1596年ポーランド王国の都となって以来、破壊と再生を繰り返してきた。異民族や敵国による侵攻とそれに対する抵抗によって造られたポーランドの歴史の縮図を、この首都で見ることができる。

 4半世紀前に比べて3度目の訪問で見た街並みは、第二次世界大戦の傷跡を全く感じさせないほど完璧に復元されていた。市民は壊滅状態にあった第二次世界大戦後も不屈の精神で、特にクラコフから遷都された16世紀末以来の古い建物が残っていた旧市街をレンガのひびに至るまで忠実に原状回復したのだ。1980年には、「ワルシャワ歴史地区」として世界遺産に登録された。

 

 石畳の路地にガス灯、バロック風の家々が往時を偲ばせる珠玉の旧市街の歴史地区は、中世そのままの雰囲気が満ち溢れている。その中心となるのがレンガ造りの美しい建物で囲まれた市場広場だ。剣を振り上げる人魚像が中央に立ち、周囲には露店のカフェや画商などが並び活気がある。1975年に初訪問時した時にはこの広場で、絵を売ってその日暮らしをしていた貧しい画家から水彩画を買ったが、その絵は今も我が家で飾られている。

 

          −−− ワルシャワ旧市街 −−− 

   

   市場広場の中心  1975年家族と散策   市場広場で買った

                                                                 王宮広場を描いた絵

 

 この広場から少し南へ歩くと、14世紀に建てられたワルシャワ最古の教会、聖ヤン大聖堂がある。歴代王の戴冠式など、多くの歴史的行事が行われた。ここから更に南下すると王宮広場があり、その一角に観光案内所を兼ねるワルシャワ歴史博物館がある。この脇の道を入って行くと、赤レンガ造りの円形をしたバロック様式の砦バルバカンが現れる。旧市街を守るために造られた15〜16世紀の城壁で、かって牢獄や火薬庫として使われたこともある。

 

 ヴィスワ川沿いの旧市街の西側や南側に広がるのが新市街である。旧市街のすぐ北側にはキュリー夫人博物館がある。ノーベル賞学者のキュリー夫人の生家で、実際に使用した実験道具などが展示されている。旧市街から1kmほど南にある聖十字架教会は、ショパンの心臓が納められていることで有名だ。

 ワルシャワの中心部で最も目立つのが、高さ234mもある37階建ての高層ビル、文化科学宮殿である。ソ連のスターリンのプレゼントで1952年から4年を要して建てられ、部屋数は3300近くもある。高層ビルが比較的少ない街では不釣合いな感じで、「ソ連の墓石」と揶揄されて市民には不評のようだ。

  

   バルバカン前の筆者  キュリー夫人博物館    文化科学宮殿

           

 近郊では、約5km南にあるワジェンキ公園が見逃せない。ヨーロッパで最も美しい公園の一つとして知られ、ワルシャワ市民の憩いの場にもなっている。この公園はポーランド最後の王となったポニャトフスキにより、30年の歳月を経て1796年に完成した。見どころは王の夏の離宮として建てられたワジェンキ宮殿で、池の水面に優美な姿を投影する。

 郊外では、ワルシャワから西54kmのジェラゾヴァ・ヴォーラにあるショパンの生家が必見だ。ポプラ並木が続く公園の中に佇み、意外なほど質素な建物は博物館になっている。ショパンの出生や洗礼証明書、少年時代に書いた楽譜(複製)などが展示され、興味深いものが多い。約30分のピアノコンサートを聴いたが、聞き惚れて時間が経つのも忘れるほどであった。

 

  

       ヴィスワ川     ワジェンキ宮殿   ジェラゾヴァ・ヴォーラ

                        にあるショパンの生家

 

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 以上ワルシャワを概説したが、ポーランドの地方へ行くと、この街に劣らない観光スポットが多々ある。例えば、古都クラコフ、アウシュヴィッツ収容所などがあり、次回に紹介したい。乞うご期待! 

 

                ◇◇◇  ご案内  ◇◇◇

 

世界の人形館のご見学

 筆者ことワールド・トラベラーが館長を務める世界の人形館では、272カ国・地域の民俗人形、紙幣とコイン、仮面、壷、置物、絵画、木彫り、地球儀、時計、照明ランプ、絵皿、万華鏡などを多数展示しています。ご興味ある方はご遠慮なく、お気軽にご来館下さい。慈善活動につき、入館料は無料です。

 

    −−− 国境の無い平和な「世界の人形館」の館内風景 −−−    

      

 但し、セキュリティなどのため、下記要領で必ず予約をお願いします。
 TEL:04−7184−4745 又は Eメール: ko-yasu@maple.ocn.ne.jp

 

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金正男氏が殺害されたマレーシアの旅(2)クアラルンプール編
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 以前からずっと抱いていた懸念が現実のもになる事件が発生した。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄になる金正男 キムジョンナム氏(45)が、一昨日の2月13日マレーシアで殺害されたのである。クアラルンプール国際空港内でスプレー噴射され、一瞬で毒殺されたらしい。犯人は2人の女で、1人は逮捕されたが、残り1人は男4人(北朝鮮工作員の関係者であろう)と共に逃走中。

 弟の金正恩政権になってから、北朝鮮では粛清が相次いでいるようだ。その最たる例は叔父でかつて北朝鮮ナンバー2と言われた張成沢氏の処刑だが、同氏は金正男氏を金正日総書記の後継者にしようと画策したためマークされたらしい。腹違いとは言え、兄を葬り去るとは33歳の若輩ながら恐ろしき人物である。虚勢を張り気味の金王朝の栄華はいつまで続くのであろうか?意外に早い結末が来るかも知れない。

 

           (クアラルンプール国際空港)

    

      ターミナルビル内       買い物する筆者(2014年)

 

 弟の金正恩氏との後継者争いに敗れた金正男氏だが、2000年頃から中国の保護下に入った。中国当局から護衛されながら、北京、マカオと東南アジアを行き来する生活を送っていた。中国政府系の企業から生活費の一部を提供されていたと言われ、中国にとって正男氏は対北朝鮮外交の重要な切り札だった。父の金正日氏が健在な時代には一種の人質となり、正恩時代に入ると朝鮮半島での有事に備えるため「いつでも首をすげ替えられるトップの代役」という存在でもあったようだ。

 しかし、正男氏を庇護していることは正恩氏の対中不信を募らせ、中朝関係悪化の一因ともなった。シンガポールやマレーシアなど東南アジアで移動する際には、中国は護衛チームを送り、万全の態勢を敷いたとされる。しかし、中国当局はなぜ今回守れなかったのであろうか。暗殺情報を知りながら、中国が北朝鮮との関係修復のため正男氏を見捨てた可能性さえも見え隠れする。

 

 さて、金正恩氏が殺害された舞台のマレーシアは1978年11月に初訪問以降、6回も訪れている大好きな国の一つである。その最大の理由は、商社マンとして1979年〜1984年に隣国のインドネシアのジャカルタ駐在時代に習得したインドネシア語が、マレーシアのどこへ行っても通用するからだ。

 既に2015年6月7日付けのブログ「キナバルの地震と悲劇(?)」で、コタ・キナバルなどのサバ州を紹介ずみである。今回は4回滞在したことがある首都クアラルンプールに絞り、エキゾチックな多民族の街に触れてみたい。

 

  ☆━…━☆━…━☆━…━☆━…━☆━…━☆━…━☆━…━☆

 

 1978年に初めてクアラルンプールを訪れてから4回目の訪問となった2008年6月までの30年間は、近代的な超高層ビルが増えたとは言え、変わらないものが多い不思議で魅力的な大都会である。マレー系、華僑系、インド系など多民族が平和的に共存するマレーシアの首都らしく、世界有数の摩天楼、英国統治時代の面影を残す歴史地区、イスラム建築、チャイナタウンなど様々な文化が混ざり合った独特の雰囲気を持っている。

 

 クアラルンプール観光のスタート地点して是非おススメしたいのが、国営の石油公社ペトロナスが所有するオフィスビル、ペトロナス・ツイン・タワーである。1998年に完成した2本のトウモロコシ形の超高層ビルは452mの高さを誇り、市内で最も目立つ建物である。タワーのちょうど中間付近の41階には2つのビルを繋ぐ渡り廊下があり、地上より170mのスカイブリッジと呼ばれる展望フロアから発展を続けるクアラルンプールの壮大なパノラマが眺望できる。

 

    

  ツインタワーやKLタワーがそびえる   ツインタワーを背にする

    クアラルンプールの摩天楼  

 

 イギリス統治時代の面影が残る歴史地区の中心は、1957年に独立宣言されたムルデカ・スクエアという独立広場だ。広々とした芝生で整備された広場の東向かいに建つのが、近代的な街中でエキゾチックな顔をのぞかせるスルタン・アブドゥル・サマド・ビル(旧連邦庁舎)である 。1894年築のムーア様式のレンガ造りで、中央にある時計塔の高さは40mで街のシンボルになっている。

 

  

         ムルデカ・スクエア        旧連邦庁舎付近

 

 ムルデカ広場の南東にある2階建てのショッピングセンターはセントラル・マーケットで、 かつての生鮮市場を改装したものだ。マレーシア各地の民芸品や雑貨などの店がずらりと並び、2階の奥にあるフードコートでは地方料理も食べられるなど、マレーシアが凝縮されたスポットだ。

 このマーケットの南に隣接するチャイナ・タウンは、雑然としている中国系住民の町である。プタリン通りやハン・レキル通りの目抜き通りを中心にして、細い路地が入り組む。数多くの屋台や安食堂、庶民的なショッピングセンターやホテルなどがひしめき、夜遅くまで人通りが絶えず活況を呈している。

 

 

   セントラル・マーケット     チャイナタウンのプタリン通り

 

 ほかに、イスラム教国としてモスクがあるが、この街のそれは意外に小さい、むしろ、地方で立派なモスクが多い(例えばアロースター)ので、別の機会に紹介したい。

 

  ☆━…━☆━…━☆━…━☆━…━☆━…━☆━…━☆━…━☆

 

 金正男氏殺害現場となったクアラルンプール国際空港第2ターミナルは、アジアで台頭著しい格安航空会社(LCC)のために2014年6月にオープンした。第1ターミナルをしのぐ年間3千万人の利用者があり、24時間休むことなく開かれた空港という看板の裏をかいた犯行のようだ。

 実は2014年3月〜4月、インドの離島、シンガポール、太平洋の島々巡りをした時にトランジットでクアラルンプール国際空港に寄ったことがある。クアラルンプールの市街地から57kmも外れ少々不便だが、その規模の大きさや設備の素晴らしさに驚いた。金正男氏殺害でふと同空港のことを懐かしく想い出した次第だ。

 

後記

金正男氏を殺害した実行犯の2人目の女性も逮捕された。インドネシア国籍で、先に逮捕された女性はベトナムのパスポートを持っているが容貌から国籍は不明のようだ。一方、男たち4人の行方は依然として分からない。いずれにせよ、巧妙な北朝鮮による嘱託暗殺であろう(2月16日)。

その後、マレーシア在住の北朝鮮国籍の男が逮捕され、さらに北朝鮮国籍の男4人を容疑者として特定したが、事件当日に出国して平壌に戻ったらしい。マレーシア警察はさらに北朝鮮国籍の人物3人が事件に関与していると見ており、また猛毒の神経剤VXによって殺害されたと発表した。ここまでくると北朝鮮の組織的な関与があり、それは最高指導者である金正恩朝鮮労働党委員長の指示に基づくものであろう(2月25日)。 

  

                   ◇◇◇ ご案内 ◇◇◇ 

 

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トランプ米大統領令の乱発とアメリカの入国制限
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 今、世界で最も暗殺されるリスクが高い人物は誰かと問われれば、大よその察しが付くであろう。冒頭から不謹慎な話で恐縮だが・・・。

 

 去る1月20日に就任したアメリカのトランプ大統領だが、その直後から米国内は勿論、ヨーロッパなど世界各地で抗議デモがあった。さらに矢継ぎ早に大統領令を出すが、中には物議を醸すようなものもある。特に問題になっているのが、中東・アフリカ7カ国の国民のアメリカ入国を90日間禁止する大統領令である。その対象国とはイラン、イラク、リビア、ソマリア、スーダン、シリア、イエメンの7カ国。総人口は2億人以上で、しかも国民の大半がイスラム教徒だ。早速この影響でアメリカに入国できずに拘束されたり、航空機に搭乗拒否された人が数百人もいた。因みに、私ことワールド・トラベラーはこれら諸国をすべて何度も訪れているが、いずれも想い出深い国々だ。

 これに対し、全米各地で激しい抗議デモが行われ、国務省や州政府、大企業などからも批判の声が出ている。特に注目すべきは大統領令の合法性に敢然として違法性を唱えた司法省トップのイェイツ司法長官代理。この人、男性ならぬ女性だが、トランプ大統領に歯向かうとはあっ晴れである。だが、さすが同大統領は得意のセリフ”You are fired (お前はクビだ)!”と言って解任したばかりでなく、空席の連邦最高裁判事に保守派人物を指名して最高裁を身内で固めた。これは一連の大統領令が違憲訴訟されても、合憲とされることを意図したものであろう。

 

  

署名するトランプ大統領  各地で激しい抗議デモ(ネットより転用・加工)

 

 アメリカのビザ免除プログラムは、38ヵ国の国民に対して90日間のビザなし入国を認める。英国、フランス、ドイツなどと共に日本は含まれ、渡航者は電子渡航認証システム(ESTA)を使い事前申請する。ところが、2015年12月に連邦議会は超党派の議員立法でこの制度を変更する法案を可決し、2011年3月以降に特定の国々に渡航した人は、ESTAによるビザ免除が適用されなくなった。特定国とは当初指定されたイラン、イラク、シリア、スーダンに加え、2016年年2月にはリビア、ソマリア、イエメンも対象となった。これら7ヵ国が、トランプ氏の大統領令でも規制対象となった。
 さて、これら7ヵ国の国民が本当に危険なのであろうか?同氏の大統領令は、2001年の9.11米同時多発テロ以来、外国生まれの人物たちが多数のテロ関連犯罪を起こしたと主張する。だが、ニュー・アメリカ財団というシンクタンクの資料によれば、イスラム聖戦主義攻撃に関与、或いは斯様な攻撃の実行者として死亡したテロ犯のうち、82%は米国籍か永住権を保有。つまり、近年のアメリカ国内で起きた重大な無差別大量殺人事件の犯人はいずれも、入国制限対象の7ヵ国の市民ではなかったのである。これには国際社会も反旗を翻しており、国連のグテーレス事務総長も入国禁止令の解除を求めた。

 

 本来は自由の国であるはずのアメリカの入国制限に関し、筆者もゾッとするような苦い体験がある。同時多発テロ後にアメリカを初めて訪れたのは2004年6月で、大統領はジョージ・ブッシュであった。その時の主な目的はメキシコ旅行でツアーに参加していた。途中抜け出して単独でアメリカ南部を旅するため、メキシコ・シティ空港からニューオリンズに向かおうとした。ところが空港の出国検査(実際はアメリカの入国検査)で驚いたことにテロリストとして扱われたようで、2度も厳しい検査を受けた。別コーナーで厳しい身体検査が行われ、最後はズボンまで脱がされてパンツ姿の屈辱的な検査を強いられた。

 アメリカ入国後にサンアントニオ空港からメキシコ・シティに戻る時にも、空港で同様の厳しい検査を強要された。空港で搭乗の際、搭乗券にテロリストまたは要注意人物を意味するSという特殊マークが入っていることに気付いた。この特殊マークを見た検査官は急に目付きが鋭くなり、筆者のスーツケース・手荷物・身体に対し、テロリスト待遇の過酷かつ長時間の保安検査を強要。帰国後すぐに米国系の航空会社に手紙を書いてクレームしたが、アメリカ運輸保安局(TSA)のせいにして一切謝罪しないのはもちろん、情報公開に一切応じなかった。この悪夢のようなアメリカの空港での厳しい保安検査が、次に出かけたアリ地獄のような全米旅行の序曲になるとは想像だにしなかった。

 

    

    パンツだけになった屈辱的な     特殊マークが入った搭乗券(左)   

     姿のワールド・トラベラー      TSAの一方的な通告書(右)

         (筆者の著書『トラベル・イズ・トラブル』より抜粋)

 

 わずか1週間後の2004年6月下旬にまたアメリカに向かった。今度は1ヵ月を掛けて広大な同国のほぼ全土を回る全米周遊であった。9・11同時多発テロに懲りてか、どの空港でもTSAによる度重なる厳しい保安検査には閉口した。特に何故か知らぬが、筆者の搭乗券にテロリスト又は要注意人物を意味するSSSSという特殊マークが入っていた。十数度の搭乗でスーツケース・手荷物・身体に対し、テロリスト並みに長時間の過酷で保安検査を強要され、またズボンまで脱がされる屈辱感も味わった。とくに、ニューヨークと南部のチャールストンの空港検査が異常なくらい厳しかった。

 このトラブルの影響でストレスが蓄積し病気になり、ミネアポリスでは急遽病院にかけこんだほどだ。保安検査が長すぎるため、乗り遅れそうになったフライトも度々あった。また、スーツケースに入れていた土産物が壊されたり、スーツケース到着が遅れた上にカギが破損していたり、まったく散々であった。 帰国後すぐに航空会社に苦情を申し入れたが、相変わらずTSAのせいにして補償しないはもちろん、情報公開にも応じなかった。いくら国の安全保障のための検査とはいえ、個人の人権をふみにじり、荷物などを損傷させながらまったく謝罪しない強引なやり方はとても民主主義の模範国ではない。

 

 筆者がTSAにマークされたのは、1974年〜1977年にはクウェート、1979年〜1984年はインドネシアというイスラム諸国に駐在したほか、長年イスラム圏を旅したキャリアなどを調べ上げてイスラム過激派の関係者と見做したのであろう。しかし、皮肉にも米国の徹底したテロとの戦いは、逆に宗教や民族間の対立の激化を煽っていると言えよう。

 今回のトランプ大統領令による入国禁止は、むしろイスラム世界では益々反米感情が高まり、キリスト教vsイスラム教という永年の文明間対立の様相も帯びてきている。また、トランプ大統領が親イスラエルの隠れユダヤ教徒!?と目されるだけに、ユダヤ教のイスラエルvsイスラム教のアラブ諸国の対峙を中心に中東和平の行方が気掛かりでならない。

 

 最後に、暴言王の名を欲しいままにして過激な我が道を行くトランプ大統領閣下が、過激な者の凶弾に倒れないよう、4年間のご無事と安寧を祈念したい。

 

後記

 大統領令による米国政府がイスラム圏7カ国出身者やシリアなどの難民の入国を一時禁止した措置に連邦地裁が差し止めを命じた問題につき、司法省は地裁命令の効力の即時停止を上級審の控訴裁判所に訴えた。控訴裁はすぐに訴えを退ける判断を下し、7カ国出身者や難民の入国は当面禁止されないことになった。暫くはトランプ大統領vs司法のバトルが続きそうだ(2月5日)。

 

              ◇◇◇ ご案内 ◇◇◇

 

 アメリカの入国規制トラブルなどをルポした幣著書を下記紹介します。

 

   『272の国と地域を制覇した     トラベル・イズ・トラブル

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トランプ大統領ゆかりのユダヤ教の国、イスラエルの旅
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 中学生時代から浮気もせず朝日新聞を一途に購読して来たが、最近は看板の天声人語をはじめ面白くない記事が多いようだ。そのためか昔のように毎日几帳面に目を凝らすように読むことはなく、半月ほど溜めてサッと乱読することが多い。今日もその溜め読みを始めたのだが、真っ先に目に飛び込んで来たのが1月23日付け夕刊1面トップ。『「禁断」の豚骨イスラエル魅了』という見出しの記事だが、かつて中東に駐在経験のある筆者にとり大変興味深い。

 記事によれば、このたび豚骨スープを売り物にする日本のラーメン店が、中東のイスラエルに初めて進出したのだ。地中海に面する商都テルアビブでラーメン専門店がオープンし、満席の客たちから一斉に歓声が上がったそうだ。しかし、イスラエルと言えばエルサレムというユダヤ教の聖地があり、国民の8割近くがユダヤ教徒である。しかもユダヤ教はイスラム教と同様に豚の類は厳禁につき、まさに「禁断の豚骨ラーメン」になる。だが、美食には宗教や国境の壁も無いようだ。宗教のタブーに拘らない世俗派を狙った大胆な新手のイスラエル商法が注目される。

 

       

 

 ユダヤ教=イスラエルと言えば、今や世界中で時の人となり怖い者知らずの感があるトランプ米国大統領を思い出す。同大統領が「秘密兵器」と自慢する長女のイヴァンカさんが、ユダヤ教徒のクシュナー氏との結婚に先立ちキリスト教徒からユダヤ教徒に改宗し、ヤエルというユダヤ名を持っているのだ。因みに、クシュナー氏の祖父母はポーランドから米国へ移民したユダヤ人で、トランプ政権発足に伴い大統領上級顧問に就任している。トランプ大統領はオバマ前政権よりもイスラエル寄りは鮮明であり、どうも隠れキリシタンならぬ「隠れユダヤ教徒」の趣があるようだ。

 同大統領が殊の外イスラム教徒に対して厳しいのは、永年のイスラエルvsイスラム諸国対峙の背景があるからに他ならない。イスラエル重視の証左として、2月初めに同大統領はイスラエルのネタニヤフ大統領と会談するとも聞く。我が安倍晋三首相は先を越される感じで、アメリカという大国は依然としてユダヤ系に牛耳られているのだ。しかも、最近厄介な問題がある。トランプ大統領がパレスチナ側主張のエルサレムをイスラエルの首都として、アメリカ大使館を現在のテルアビブからエルサレムに移すと表明した。また、イスラム教徒や難民の入国を阻止する動きだ。中東和平に水を差すような火種になりかねない。

 

 上述の詳細は幣著書『世界を動かす少数民族』でユダヤ系アメリカ人を紹介しており、イスラエルの旅をレポートした『ワールド・トラベラーだけが知る素顔のイスラム』と共にご購読願えれば幸甚である。

 

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 以上の次第で世界中に話題を提供し続けるトランプ大統領と共に、注目したいのが小国だが隠然たる実力と影響力を秘めたイスラエルである。1994年12月と2005年2月に、筆者はユダヤ人の国イスラエルとアラブ人が住むパレスチナ自治区を訪れたが、その旅の模様を紹介しよう。

 

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 パレスチナの語源になったペリシテ人が住んでいた「カナン」という地で、旧約聖書や新約聖書に書かれた場所が今も残る。それは1948年に建国されたユダヤ人の国イスラエルと、その土地を追われイスラム教を信仰するアラブ人が住むパレスチナ自治区だ。 筆者は商社マンとして1970代のクウェート駐在員時代から、2つの民が1つの国土に相克する四千年の歴史を辿る旅を熱望し続けた。しかし、中東戦争によりクウェートなどアラブ諸国と、イスラエルが敵対関係にあったため実現しなかった。

 その後1993年になり、「オスロ合意」という暫定自治協定が成立した。この機会を逃すまいと、また現地の治安も問題なかろうと判断した。そこで翌年の暮れに出発した訳だが、現地への直行便がないため往復路ともにローマ経由になった。待望のイスラエルの商都テルアビブに到着し、「ノー・スタンピング」で入国手続きした。入国審査でこのことを言わないとパスポートにイスラエルのスタンプが押され、以降はアラブ諸国に入国できなくなるからだ。

 

 入国後すぐに首都エルサレムへ向かい、ユダヤ教・イスラム教・キリスト教の三聖地が混在する旧市街や、郊外にあるキリスト生誕地ベツレヘムなどを観光。その後は荒涼たる土漠や奇景の山地を南下して、海抜マイナス400mの死海に向かった。保養地のエンボケックでは、誰もが海に浮いてしまうという珍しい浮遊体験などに挑戦した。

 

  

エルサレム:旧市街。手前 死海:浮遊する筆者 死海付近:月の谷のような 

が嘆きの壁、奥が岩のドーム           ソドム山地の奇景

 

 死海を後にし今度は北上してヨルダン渓谷を経由し、世界最古の町エリコなどを訪れてイエス伝道活動の中心地ガリラヤ湖に向かった。聖母マリアが受胎告知を受けた教会など見学後、テルアビブに戻り帰国した。面積は九州の半分しかない小国だが、見どころが見事に凝縮され毎日がエキサイティングであった。実に多様で変化がある観光大国だ。

 

 エルサレムでは旧市街がイチオシだ。わずか1km四方の狭い地区に、歴史的なモニュメントが集まる。たとえば、敬虔なユダヤ教徒が一心不乱に祈り続ける「嘆きの壁」、 預言者ムハンマドが昇天したという伝説があるイスラム教の「岩のドーム」、キリスト教はイエス復活前に遺体が安置されたとされる場所に建つ「聖墳墓教会」という3宗教の聖地が集まっており実に興味深い。

 

         

 これらの中でも、黄金色に燦然と輝く岩のドームが旧市街などと共に、東1kmほど離れた標高818mのオリーブ山からバッチリと一望できる。

 

 因みに、エルサレムに就いてだが、イスラエルは1948年の第1次中東戦争で西エルサレムを獲得し、さらに1967年の第3次中東戦争で東エルサレムを併合した。エルサレム全域を不可分の首都とするが、国際的には認められていない。一方、パレスチナ側は、東エルサレムを将来のパレスチナ国家の首都とする方針を堅持してきた。東西エルサレムの境界にあるのが旧市街である。

 

  

 エルサレム:嘆きの壁 ベツレヘム:キリストが   ヨルダン川渓谷

             生まれた生誕教会地下 

 

 エルサレム以外では、一面赤茶けた丘陵が続く死海の畔に突如として現れる岩山の要塞マサダ、みぞれが降り寒さで震えたエルサレムから一転して暖かい死海で楽しんだ浮遊体験と泥のエステ、意外に小さいので驚いたヨルダン川渓谷、数々の説教と奇跡を起こしたイエス伝道拠点の湖畔の教会群、茶色の荒涼とした大地と対照的な真っ青なガリラヤ湖、テルアビブのダイアモンド研磨工場見学なども興味が尽きない。また、2005年に訪れたイスラエル最南端のリゾート地エイラットも忘れがたい。  

 

 一方、パレスチナが支配する地域で必見の町はベツレヘムだ。エルサレムの南10kmにあり、ダビデ王もこの町の出身とされる。町のハイライトと言えば、イエスが生まれたとされる洞窟の上に建てられた聖誕教会だ。また、エルサレムの北東約50kmにある世界最古の町エリコは、海抜下350mは世界で最低地にあるので知られる。約1万年くらい前から人類が生活した居住跡があり、古代シナゴーグ(ユダヤ教会)やエリシャの泉が見逃せない。

 

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 因みに、1994年に訪れて以降パレスチナを再訪していない。その後イスラエルはパレスチナ自治区の周りに堅固な高さ8m、全長700kmにも及ぶグレートウォールと呼ばれる分離壁を建設した。目的はテロ対策のためとするが、実際はパレスチナ側に食い込むような形で建設され、国際司法裁判所も国際法上違法だとの判断を下した。

 特にヨルダン川西岸ではイスラエルの入植が続き、自治区の総面積5660k屬量鵤恭笋実質的にイスラエル領に組み込まれているとか。飛び地のガザ地区も含め、イスラエルの実効支配地域の拡大が続けば、イスラエル&パレスチナ自治区の和平は遠のくばかりだ。親イスラエルとされるトランプ大統領の中東政策が気掛かりである。

 

            ◇◇◇ ご案内 ◇◇◇  

 

 幣著書のお買い求めは、アマゾンなどインターネットショッピンや、最寄りの書店で可能です。なお、書店やネットショッピングで入手不可能の場合は、筆者が無料公開で運営するプライベートミュージアム世界の人形館でお求め下さい。
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死語になった(?)民主主義とゆかりの地
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 本年冒頭に思ったのは、民主主義という言葉が死語になったのでは?である。米国のオバマ大統領は一昨日の退任演説で自身が成し遂げたレガシー(遺産)を強調し、さらに民主主義についても触れたが何か空虚なものを感じた。世界を見渡しても、近年の民主主義は国民のために、また国民のものになっているであろうか?

 一方、過日新年の挨拶に来られた自民党の衆議院議員の秘書から、平成29年 2017のカレンダーを頂戴した。そのカレンダーの左下部は安倍晋三首相の大きな上半身写真が載っており、寛いだ余裕あるポーズである。一方、右下端に「政治は国民のもの 自民党」と立派な名文が記されているが、「政治は国民のもの」の字が見落としかねないほど極端に小さい。何故もっと目立つような大きな字にしなかったのか、不思議でならない。

今年の自民党カレンダー

 もっとも自民党一強(と言うより安倍一強)になってから、安全保障関連法成立、駆けつけ警護付与の閣議決定、環太平洋経済連携協定(TPP)成立、統合型リゾート推進(IR)法案(いわゆるカジノ法案)成立など、数の力に任せた強引なやり方が気掛かりでならない。どう客観的、或いは公平に見ても国民不在の、今流行りで言えば、「国民ファースト」を無視した政治手法と言わざるを得ない。自民党もこの件は自覚し、遠慮して「政治は国民のもの」を小文字にしたのであろうか?

 

 戦前生まれの筆者は国民学校2年の時に、原爆投下などで多数の犠牲者を出した終戦を迎えた。学童疎開の経験もある、いわゆる戦中派である。敗戦後、国民学校は小学校になり、中学校まで耳にした最も新鮮な言葉は「民主主義」であった。民主主義とは、とどのつまり多数決であることを学んだものだ。クラスなどでの話し合いも、最後は全員挙手して決めたので文句は出なかった。この民主的とも言える多数決につき、世界が大揺れする激動の時代を迎えている。

 例えば、昨年のアメリカ大統領選挙や欧州連合(EU)離脱を決めたイギリスの国民投票では、終わった後でこんな結果は受け入れがたいと言い出す人たちが大勢現れた。また、街頭デモをして”民主主義って何だ”と叫び、選挙結果を受け入れようとしない。多数決で出た結論は多少不満があっても従うのが一応の民主主義だが、近年は多数決に基づく民主主義が国を分断するような憂うべき事象が起きている。特に、トランプ次期大統領を誕生させた過日の米大統領選が代表例。

 

 さて、難しいお話はこれくらいにし、民主主義ゆかりの地をいくつか紹介しよう。先ず、Democracyの訳語は民主主義だが、この源となった言葉がギリシア語のDemokratiaである。demoは「人民」を、kratiaは「権力や支配」を意味する。つまり民主主義は、人民が権力を有する人民主体の政治を意味することになる。その舞台となったのは、古代ギリシアの都市国家、アテネとされる。

 ギリシアに関しては、2012年6月26日付けのブログ「ギリシアへの誘い−神話と太陽の国の経済危機 」で紹介済みだ。一部重複するが、今回はアテネに絞ってみたい。この街を訪れたのは1975年1月と2001年5月の2回だけだが、ほぼ隈なく回った。同国の首都であり同国最大の都市でもあるアテネは、古代遺跡が数多くあるヨーロッパ文明の源流の街として知られる。見どころがタップリで、世界の旅人を飽きさせない。

 

 いくつかの小丘からなる市街地の中心は、標高165mのアクロポリスだ。「高い丘の上の都市」を意味し、神殿がある聖域や都市国家ポリス防衛の要塞として約2500年前に建造された。参道を登って行くと前門のプロピレアが建ち、重厚なドーリア式と優雅なイオニア式の対照的な柱がある。また、アクロポリスの丘の上から眺めるアテネの街並みが美しい。

 ここを通過して進むと目前に建つのが、紀元前438年に完成した古代アテネの栄光を象徴するパルテノン神殿である。アテネの守護神アテナを祀った神殿は、横31m、縦70m、高さが10mもある柱の下部直径は2mもある。ドーリア式の石柱に囲まれて建つ雄大な姿は、巨大な列柱と46本の柱の数に文句なしに圧倒される。

 

   

         アクロポリスを望む       パルテノン前に立つ筆者

 

 丘の南側にあるイロド・アティコス音楽堂は161年に造られたが、今も使われて現役で頑張るからスゴイ。ここで夏になると、様々なコンサートやオペラ、演劇やギリシア古典劇が上演される。この音楽堂から東へ少し歩くと、ディオニソス劇場がある。紀元前6世紀にできた劇場は15000人も収容する大きなものであったが、今は遺跡として残されているだけだ。

 

 ギリシア各地の古代遺跡を見学に出かける前にお薦めしたいのが国立考古学博物館。壮麗な外観の建物に加え、クレタ島を除くギリシア各地ほとんどの遺跡の出土品が数多く展示されている。特に先史時代からミケーネ時代のコレクションが充実しており、ミケーネ時代のアガメムノンの黄金の仮面や長い間海中に沈んでいたギリシア神話のポセイドン像などが見逃せない。

 ギリシアと言えば、オリンピックの発祥地であろう。アクロポリスから1km余り東へ向かうと、1896年に第1回近代オリンピックの会場になったアテネ競技場がある。古代の競技場に近い形で復元されており、トラックは現代のものとは違う馬蹄形をしているのが興味深い。因みに、古代では観客席は無く、観客は土手の斜面に立っていたとか。

 

   

         イロド・アティコス音楽堂           アテネ競技場:1974年12月

                      クウェート駐在時代に家族と旅行

 

 次に、世界最初の民主議会が開かれた地をご存知であろうか?それはアイスランドのシンクヴェトリルで、「議会平原」という意味である。筆者は1996年2月と2003年8月〜9月の2度にわたりアイスランドを訪れたが、記憶に残るスポットがあった。それはシンクヴェトリル国立公園で、首都レイキャビクの北東50kmほどにあり世界遺産にも登録されている。間欠泉のゲイシール、豪快な滝のグトルフォスとともにゴールデンサークルと呼ばれ、人気の観光地だ。

 歴史的には、930年に世界最初の民主議会「アルシング」が開かれた平原として有名である。アルシングの開かれた場所の後ろには高い崖がそびえており、また岩に囲まれていることで遠くまで声が届くことからこの地でアルシングが開かれたそうだ。因みに、この辺りではギャウという地球の割れ目を見ることができる。このギャウはユーラシアプレートと北アメリカプレートに引っ張られることでできた巨大な割れ目で、アイスランドのほぼ中央を南北に貫きシンクヴェトリルが最大規模だ。

 

   

         地球の割れ目ギャウ       シンクヴェトリルのギャウに

                       恐る恐る近づく

 

                                  ◇◇◇  ご案内  ◇◇◇

 

世界の人形館のご見学

 筆者ことワールド・トラベラーが館長を務める世界の人形館では、272カ国・地域の民俗人形、紙幣とコイン、仮面、壷、置物、絵画、木彫り、地球儀、時計、照明ランプ、絵皿、万華鏡などを多数展示しています。ご興味ある方はご遠慮なく、お気軽にご来館下さい。慈善活動につき、入館料は無料です。

 

    −−− 国境の無い平和な「世界の人形館」の館内風景 −−−    

      

 但し、セキュリティなどのため、下記要領で必ず予約をお願いします。
 TEL:04−7184−4745 又は Eメール: ko-yasu@maple.ocn.ne.jp

 

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2017年初頭に想うトラポノミクスvsアベノミクス
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     謹 2017年(平成29年)!
           A Happy New Year !

                 新年好!

                Feliz Año Nuevo ! 
                         Selamat Tahun Baru !
                         नया साल मुबारक हो !
                                   ! كل سنة و أنتم بخير

 

 酉年の元日のお天気は終日快晴で、しかも暖かく穏やかであった。自宅があるマンションの屋上から眺望すると、「西の富士、東の筑波」と称される筑波山の稜線がハッキリと見えるほど、空気も澄み切っていた。877mは並みの標高だが、この日はいつもより高く見えた。これは年の初めから縁起の良い一年になるのでは・・・。

 と思ったのも束の間、トルコの最大都市イスタンブールで銃乱射事件が1日未明に起きたとの報をテレビで知らされた。ボスポラス海峡沿いの高級ナイトクラブで外国人を含む39人が死亡し、すぐにイスラム過激組織「イスラム国(IS)」が犯行声明を出した。残念ながら、今年も世界各地で凶悪な事件が絶えないようである。

 

   

    自宅マンションより筑波山を遠望  イスタンブールの銃乱射事件で

                     搬送される負傷者(ネット転用)

 

 一方、私事で誠に恐縮だが、認知症で2年近く入院中の妻を元日早々から見舞った。来世への旅立ちの助走であろうか、日毎に衰え萎え行く彼女の姿を直視すると、死は必ず訪れるものとは分かっていながら悲しく切なくもなる。また、年末年始の休みに関係なく献身的に働く介護士など関係者のご苦労には、頭が下がる思いである。この人たちに正当に報いる待遇改善が、焦眉の急なることを改めて痛感した次第だ。

 

 さて、トランプバブルで世界中の株価が急上昇した2016年末だが、この勢いで2017年の世界は本格的な繁栄の時代に入るのであろうか?今年も本音でものを言うトランプ氏の過激な言動が世界が動かしそうである。特に国益優先の「アメリカ第一主義」を掲げるトランプ次期大統領は、経済成長率の目標として4%を掲げ、大規模減税の実施で少なくとも2500万人の新たな雇用を創出する経済政策「トランポノミクス」を掲げる。
 また、貿易政策に関しては、TPP=環太平洋パートナーシップ協定はアメリカの雇用を奪うため離脱し、メキシコやカナダと結んでいるNAFTA=北米自由貿易協定も割安な製品の流入で製造業が打撃を受けているとして再交渉するとのこと。さらに、中国に対しては膨らむ貿易赤字は意図的な為替誘導によるものと認定するなど各国に厳しい姿勢を示す。

 

 ところで、日本経済に与える影響だが、トランプ氏の政策、即ちトラポノミクスによりアメリカで個人消費が伸びれば、日本からアメリカ向けの輸出などでメリットが出そうだ。しかし、アメリカが保護主義的な政策を進めて関税障壁を作り日本の得意分野に関わる場合は、直接的な影響を受けよう。さらに世界的にモノの動きが止まれば、世界同時不況になる可能性もある。

 為替の方は日米間の金利差を考えると、当分は円安ドル高の基調は続くであろう。このため企業の業績は、輸出関連産業は円安の恩恵を受けて増益の見通しだが、円安に伴い輸入価格は当然上昇しよう。また、内需関連産業はデフレ脱却が困難な背景もあり高額品が売れそうにもなく、若干のマイナス見込みとなりそうである。
 以上がエコノミストなどの常識的な予測だが、筆者の見方は少し異なり後日詳述する。
       
 
 一方、トラポノミクスより先輩格の我がアベノミクス(別名アホノミクスと揶揄されるが)は、掛け声だけは実に勇ましいが一向に成果が上がらないようである。例えば、日本経済の本格的な成長の決め手になるであろうデフレ脱却は限りなくゼロに近い実績であり、国会承認を急いだTPPは離脱しようとするトランプ次期政権の利害と真向からぶっつかるものだ。ボタンの掛け違いも甚だしいと言わざるを得ない。
 意外に見落としがちなのはGDP国内総生産の伸びである。安倍首相は「民主党政権では経済が衰退した」と言うが、実は民主党(現民進党)政権時代に日本経済は大幅に成長しているのだ。2年間の安倍政権で増えたGDPはわずか1.5%に対し、3年3か月の民主党政権では5%も伸びている。実質賃金も未だにマイナスの自民党政権に対し、民主党政権ではリーマンショック時のマイナス5%から1年でプラス3%に回復させた成果がある。この事実からもアベノミクスの破綻が窺い知れる。
 また、不法移民を排除するためメキシコ国境に壁を作ると強気だが頼もしいトランプ氏に対し、過日の北方領土交渉ではプーチン大統領に食い逃げされ、相手にしてもらえなかった我が安倍晋三首相の頼りなさとは大違いである。一強と言われる同首相は長期安定政権を目指すが、相変わらずうわべだけの美しい言葉に酔いしれる性癖、つまり言行不一致が抜けきれないようである。
 同じ「ミクス」を掲げるが、その質やターゲットは同じようなレベルではなく、お互いにとって「異床異夢」が実態であろう。何と言っても両者間の大きな相違は、トランプ次期大統領が依然として現役バリバリの商売上手なビジネスマンであることである。このことを前提にした然るべき現実的且つ実務的な対応が日本側に求められよう。
(後記)
 1月20日にトランプ第45代米国大統領の就任式がワシントンで行われ演説したが、それはまるで昨年の大統領選キャンペーンを継続する様な厳しいものであった。即ち、「アメリカファースト」という自国第一主義、TPP離脱などの保護主義などの主張は不変であった。アメリカ各地で華やかな祝賀行事が催される一方、反対派による激しい抗議デモが本国のアメリカをはじめ世界各地で繰り広げられた。今後我が日本に対しても、政治的・経済的な影響が少なからず出よう(1月22日)。

 

                 ◇◇◇ ご案内 ◇◇◇ 


    ☆☆☆ ニューイヤーコンサート2017 ☆☆☆

 筆者が運営しているプライベート・ミュージアム「世界の人形館」の見学者は実に多彩です。国際的なヴァイオリン奏者、アンナ・スタルノフスカヤさんもその一人。日露混血の才能豊かな彼女がプロデュースする第10回みんなで楽しめるクラシック・コンサートが、1月15日(日)に開催されます。世界の人形館はこの素晴らしいコンサートの趣旨に賛同し、後援して7年になります。

 

                    

 

日時: 2017年1月15日(日) 14:00 開演 (13:30開場)

場所:我孫子市けやきプラザふれあいホール

アクセス:常磐線・千代田線 我孫子駅南口徒歩1分

入場料:一般 1300円 子供(4歳以上)・学生 700円

 

 酷寒の折柄ですが、是非ご来場下さい。お待ちします。なお、チケットをお求めの方は下記の所へご連絡下さい。

お問い合わせ:
ジョイ・ファミリーコンサーツ TEL 0297−68−9517 または

世界の人形館 TEL 04−7184−4745 

         E−MAIL  ko-yasu@maple.ocn.ne.jp

 

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ワールド・トラベラーが選んだ2016年の重大ニュース
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 冒頭から私事を持ち出して恐縮だが、2年目に入った入院中(認知症で)の妻の介護・見舞いなどもあり、多忙を極めた2016年もあと数日を残すのみ。相も変わらず世界各地で凶悪なテロが絶えず、また自国さえ良ければいい風潮が蔓延するなど、本年も国内外で様々な出来事があった。独断と偏見を交え、私ことワールド・トラベラーが受け止めた2016年の重大ニュースを紹介したい。

 なお、5月27日に広島を訪問して核兵器の廃絶を訴えたバラク・オバマ米国大統領と、12月27日にハワイの真珠湾にあるアリゾナ記念館を訪れて不戦の決意を表明した我が安倍晋三首相も一旦は候補に入れた。しかし、実際には前者は核兵器の近代化を進め、後者は米国の核の下に入るため核兵器禁止条約に反対するなど、言行不一致が目に余るので除外せざるを得なかった。

 

アメリカ次期大統領にトランプ氏 

  11月8日に行われた米大統領選挙は、「不動産王」の実業家で公職経験ゼロの共和党候補ドナルド・トランプ氏が、当初優勢と見られていた民主党候補のヒラリー・クリントン前国務長官を破って当選するという世紀の大番狂わせを演じた。同氏は従来のワシントン政治の常識からはかけ離れた過激な発言を連発し、選挙戦で「メキシコ国境に壁を作り不法移民を防ぐ」とか「米国内の雇用を守るため環太平洋経済連携協定(TPP)から撤退する」などを公約した。

 この公約は現状不満を抱く白人中間層や無党派層により支持され、「トランプ旋風」と呼ばれる現象を巻き起こした。また、当選後も異例ずくめの人事を進めたり、台湾の総統に直接アプローチするなど話題が豊富な御仁である。来年1月20日に第45代大統領に就任するが、超大国の異色の新リーダーの動向が注目され、我が国にとってはTPPと共にトランプ相場で高い株価の行方が焦点になろう。詳しくは「トランプ・ショックとアメリカ大統領を支えるユダヤ系」。

 

EU離脱を決めたイギリスの国民投票 

 6月23日に英国の欧州連合(EU)離脱か残留かを問う国民投票が行われ、英国民は意外にも離脱を選択した。開票結果は離脱51・9%、残留48・1%と事前の世論調査などの予想に反したもので、世界中に衝撃が走った。ロンドン市長のボリス・ジョンソン氏(現外相)らが中心となった離脱派は、EUからの移民を規制し、制約が多いEUから主権を取り戻そうと訴えた。地方に住む貧しい白人層や、移民に仕事を奪われていると不満な人々らの支持を集めた。

 投票結果を受けて残留を主導したキャメロン首相は辞任し、内相であったテリーザ・メイ政権が発足し、来年3月末までにEUに離脱を通知すると表明。しかし、移民制限とEU単一市場での有利な条件獲得を目論む同首相に対し、EU側は単一市場に参加するために4つの自由(人・物・資本・サービスの移動)の受け入れが前提と繰り返して交渉難航は不可避。「鉄の女」と呼ばれたサッチャーに次ぐ2番目の女性首相になったメイ氏は、さて「?の女」になるのであろうか。詳しくは「 イギリスのEU離脱を問う離脱優勢の国民投票と英国紀行(2)」。

 

熊本地震

 4月14日夜に熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード(M)6・5の前震が発生し、16日未明にはM7・3の本震が起きた。共に最大震度7を観測し、その後も震度6強などの余震が断続的に発生した。一連の地震による直接死は50人、避難所や車中泊などによる関連死は110人、その他の二次災害死の5人と合わせて犠牲者は計165人、負傷者は2600人を超え、全半壊した住宅は約4万棟に上った。死者数はそれほど多くないが、文化財なども大きな被害を受けた。

 特に、日本三大名城の一つとして知られる熊本城は壊滅的な被害を被り、櫓や門など重要文化財に指定の13の建築物全てで深刻な被害が出た。例えば、全長242mの長塀は約100mが倒壊、東十八間櫓は石垣ごと崩落、往事の姿を残す5階建ての宇土櫓も一部損壊した。ほかに、大天守は屋根瓦が剥がれ、しゃちほこも落下した。修復は少なくとも数年かかる様だが、間もなく傘寿になる筆者はその堂々たる姿に再会できるであろうか?詳しくは「熊本地震と火の国への旅」。

 

朴韓国大統領友人の国政介入疑惑と職務停止 

 12月9日に韓国の朴 槿恵(パク・クネ)大統領の友人女性による国政介入事件を受け、韓国国会は朴氏の弾劾訴追案を可決した。職務停止となった朴氏に代わり、黄教安首相が大統領代行となった。憲法裁判所は罷免の是非を決めるため、最長180日間の審理手続きに入った。罷免が決まれば韓国憲政史上初となり、60日以内に大統領選挙が行われる。次期大統領選をにらんで与野党は主導権争いを活発化させており、政治空白による日韓関係への影響が懸念される。

 因みに、検察は朴氏の40年来の友人である崔順実(チェ・スンシル)や前大統領府首席秘書官ら7人を起訴、4人を在宅起訴した。朴氏の共謀も認定したが、同氏は憲法裁で全面的に争うようだ。一方、即時退陣を求める市民の大規模デモが毎週末行われ、朴氏の支持率は歴代政権最低の4%まで下がった。男なら潔く辞任するはずだが、一見か弱そうだが、しぶとい女の執念すら感じる。詳しくは「辞任か弾劾か!?朴槿恵大統領のスキャンダルと韓国の旅(2)」。

 

パナマ文書公開

 4月上旬に運河で有名な中米のパナマの法律事務所から流出した内部文書「パナマ文書」を南ドイツ新聞が入手し、世界の首脳などがタックスヘイブン(租税回避地)を通じて、不透明な金融取引を行っていたことが暴露された。文書には中国の習近平国家主席の義兄、ロシアのプーチン大統領の親友、キャメロン英首相(当時)の亡父らのほかに、日本の総合商社や大手企業の創業者らによる租税回避地利用を示す内容も含まれる。違法ではないものの、道義的責任を問う声が広がり、アイスランド首相は辞任に追い込まれた。

 文書を分析している国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)は、租税回避地の会社に関する契約書や電子メールなど1150万件を含む資料をホームページで公表。各国の司法当局は脱税やマネーロンダリング(資金洗浄)の有無について捜査に乗り出し、課税逃れに対抗する国際的な機運も高まりつつある。筆者は世界各地のタックスヘイブンを多数訪れ熟知するが、必要悪な面もあり難しい問題だ。詳しくは「 パナマ文書で騒然のタックス・ヘイブンとパナマの旅

 

初の女性都知事に小池氏    

 7月31日に東京都の舛添要一前知事の辞職に伴う都知事選挙が行われ、政党の援を受けない小池百合子・元防衛大臣が当選した。自民党など政党推薦の候補者らを大差で退け、女性初の都知事となった小池氏は「都民ファースト」を掲げた。就任直後から各種改革に着手し、11月に予定していた築地市場から豊洲市場への移転を延期すると発表した。その後、豊洲市場の建物下で土壌汚染対策の盛り土をしていなかった事実を明らかにし、関係した幹部職員を処分した。懸案の移転の可否は、早ければ来夏に判断する方針を示した。

 同知事は2020年東京五輪の開催経費削減にも取り組み、国際オリンピック委員会、国、大会組織委員会との4者会談の結果、見直し対象とした3会場の費用を縮減する方針が決まった。因みに、筆者は商社マン時代の1974年〜1977年に中東のクウェートに駐在したことがあり、近くのエジプトのカイロ大学を卒業した小池知事にイスラム書を献本したところ、丁重な返状が寄せられた縁がある。詳しくは「初の女性東京都知事誕生とカイロの想い出」。

 

リオ五輪で最多のメダル

 8月5日に南米で初めて開かれた第31回夏季オリンピックのリオデジャネイロ大会は開幕し、21日までの17日間にわたって熱戦が繰り広げられた。日本は史上最多のメダル41個(金12・銀8・銅21)を獲得し、金メダル数で世界6位、メダル総数で同7位となった。レスリング女子58キロ級の伊調馨選手は女子個人種目で初の4連覇、体操男子個人総合の内村航平選手は連覇を果たした。また、バドミントン女子ダブルスでは、高橋礼華と 松友美佐紀の両選手が日本勢初の金メダルをもたらした。

 一方、前回ロンドン大会で金メダルがゼロであった柔道男子は、金2個を含めて全7階級でメダルを獲得して健闘した。陸上男子400メートルリレーでも、歴史的な快挙となる銀メダルを獲得するなど、日本選手団は2020年の東京大会へ弾みがつく好成績を残した。4年後の東京五輪が待ち遠しいが、それまで節制して長生きせねばなるまい。詳しくは「リオ五輪とリオデジャネイロの」。

 

(番外編)

凶悪ウィルスに感染したパソコン

 9月15日に筆者のパソコンが、悪質極まりない最強のウィルスと言われる、ランサムウェアに感染した。なんと文字や画像などすべてのデータがすべて暗号化されて化けてしまい、全く使えなくなってしまったのだ。約20年間にわたり営々と蓄積した貴重なデータがダメになり、呆然自失になって食欲も減退して箸が進まない。落ち込んでばかりでは解決にならないと思い修復業者を探したところ、大阪にいることを突き止め復号化作業をお願い中だ。

 それにしても、悪質なウィルスをばら撒き、感染させて相手に損害を与えるのは、まことに忌々しき犯罪である。電子計算機損壊等業務妨害罪、および威力業務妨害に該当する刑法犯罪であるとか。サイバー攻撃とも呼ばれるサイバーテロは新聞やテレビなどで知らされていたが、まさか自分がその被害者になるとは想像だにしなかった次第だ。この卑劣な犯罪の対処策は種々あろうが、どれもこれも決め手に欠くのが実情。絶えずバックアップを取り、万全のウィルス対策を講ずるしかない様である。詳しくは「凶悪ウィルス、ランサムウェアに感染した我がパソコン」。

 

 愛読者の皆さん!本年も飽きずに幣ブログをご覧いただき、誠に有難うございました。来年も宜しくお願いします。では、良き新年をお迎え下さい!

 

                ◇◇◇ ご案内 ◇◇◇

 

 今年もワールド・トラベラーは執筆活動に励み、下記の著書を出版した。ご興味あれば、ご購読いただきたい。

 

   『 世界を動かす少数民族 』    『トラベル・イズ・トラブル 2』  

     少数民族から世界の課題が分かる     安全な旅は退屈だ!!

 

         幻冬舎 定価1,350円+税    ルネッサンス・アイ 定価1,300円+税 

 

 幣著書のお買い求めは、アマゾンなどインターネットショッピンや、最寄りの書店で可能です。なお、書店やネットショッピングで入手不可能の場合は、筆者が無料公開で運営するプライベートミュージアム世界の人形館でお求め下さい。
お問い合わせ:
世界の人形館 TEL 04−7184−4745
        E−MAIL  
ko-yasu@maple.ocn.ne.jp

 

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景観散歩「古河市」とオランダの縁
10

 妻が2年近く入院中に加え、子や孫たちがいながら事情あって不便で無援の独居生活を強いられている。最近は生きがいの著書などの執筆に明け暮れするが、時々気晴らしが精神衛生上必要だ。そんな気持ちで参加したのが、入会している「我孫子の景観を育てる会」が催行した古河市を訪れる景観散歩である。時は旧聞になる1か月以上も前の11月18日。30名が参加したバスは午前8時半に我孫子駅北口を出発し、10時過ぎに古河歴史博物館に着いた。以降1時間の昼食をはさみ、午後3時まで錦秋の景観散歩を堪能した。

 因みに、古河市は茨城県にあるが、町の西外れを流れる利根川の対岸は栃木県や埼玉県という県境にある。かつて室町時代後期には東関東の政治の中心地となり、江戸時代は徳川譜代大名の城下町であった。また、歴代の徳川将軍たちの日光参拝は岩槻・古河・宇都宮で宿泊する3泊4日の行程で行われ、町は日光・奥州街道の要の地として発展した。社寺などの史跡が多く、また著名な文人を輩出する文学の町でもある。

 

 10か所ほど訪れたが、印象に残ったスポットをいくつか紹介しよう。先ず、最初に入館した古河歴史博物館だが、オヤッと思うコーナーで足を止めた。それはエントランスホールに展示されているストリートオルガンである。オランダ製の手回しオルガンは空気圧を利用して自動演奏する仕組みで、異国情緒豊かな音色を奏でる楽器だ。 ストリートオルガンと言えば、1999年4月に妻と共にオランダのユトレヒトを旅したことを懐かしく想起する。

 16世紀の独立戦争でオランダ独立の中心となった質実剛健な町の中心は、運河沿いのドーム広場に立つ高さ112mのドーム塔である。運河をはさんで塔の反対側に建つ古風な教会内に、18世紀以降の自動楽器のコレクションを展示するオルゴール博物館がある。館内最大の見ものは、オランダ名物の大きくて華やかなストリートオルガン。人形が音楽に合わせて鐘やドラムを叩くのが、なんとも興味深い。不治の病とされる認知症で病床に伏している彼女を想うと、楽しかったオランダの旅が今では悲しく切なくもなる。

 

                      −−− 東西のストリートオルガン −−−

  

古河歴史博物館(左)と紅葉  古河歴史博物館で  ユトレヒトのオルゴール博物館で

                                   元気な頃の妻と記念写真

 

 その次に立ち止まったのが、下総国古河藩の家老であった鷹見泉石(1785〜1858)の資料展示である。蘭学者でもあった泉石にはヘンドリック・ダップルという蘭名もあり、あの有名な蘭学医・博物学者シーボルトと交流があったとか。実はシーボルトの高弟の一人が筆者の先祖(睥漂悄砲如△修両譴燃稜Г呂任なかったものの鷹見泉石との繋がりがあったよう。世間は広いようで狭い。

 因みに、ユトレヒトのオルゴール博物館、シーボルトと睥漂悗留錣砲弔い討蓮■横娃隠廓5月1日付け幣ブログ「オランダとワールド・トラベラーの浅からぬ縁」で詳述済みだ。また、筆者は2010年8月にオランダのライデンを旅し、博物館になっているシーボルトハウスを訪ねたが、日本で収集した膨大なコレクションに驚愕するばかりであった。シーボルト事件で国外追放された彼はここライデンで家を借り、日本博物館を開設した。

 

       

    鷹見泉石    ライデンにあるシーボルト像      睥漂悄 

 

 次に文学館に向かうため博物館を出たところ、周りの紅葉が見頃を迎えていたので迷わずシャッターを押した。当日のお天気は晴れで最高気温は16度、風も無く小春日和のような陽光を浴びて紅葉がキラキラと輝いていた。5分ほど歩くと、大正ロマンの瀟洒なムードが漂う建物が見えてきた。木造の古河文学館だ。見事な木組みがひときわ人目を引く館内は、優しい木肌の温もりと香りが充満する。

 天井を見上げると美しい木組みに演出された空間が広がるサロンでは、幻の名器と称えられる1930年製の蓄音機によるSPレコードの柔らかな演奏に聞き惚れ、タイムスリップしたような至福のひと時を過ごした。当館にはほかに、この町出身の歴史小説家の永井路子、推理作家の小林久三の展示もあり、認知症防止のために著述に勤しむ身として興味深く見て回った。なお、文学館から北西400mほどに永井路子旧宅があり、江戸時代末期築の店蔵は古い商家の名残を留める。

 

  

   古河文学館のサロン     隆岩寺前の筆者        永井路子旧宅

 

 社寺では、徳川家康の長男・信康の菩提寺である隆岩寺、古河城主の土井利勝が開いた正定寺を訪ねた。共に永井路子旧宅から北へ数百mにあるが、特に隆岩寺の風情ある門構えの残像が今も消えない。また、立派な土蔵やレンガ造りの建物が点在する江戸町通り付近も忘れ難い。その後ご案内いただいた古河市のボランティアさんに別れを告げ、午後5時過ぎに我孫子に帰着した。

 常日頃は明け方まで執筆することもある不規則な生活を送っている身だけに、当日の早朝起きで先述の景観散歩中も眠気を完全に払拭できなかったが、帰宅後はむしろスッキリし熟睡もできた。高齢化が進む長い人生では、時には息抜きや気晴らしを楽しむスィッチオン&オフは欠かせないようだ。

            

                 ◇◇◇ ご案内 ◇◇◇ 

    ☆☆☆ ニューイヤーコンサート2017 ☆☆☆

 筆者が運営しているプライベート・ミュージアム「世界の人形館」の見学者は実に多彩です。国際的なヴァイオリン奏者、アンナ・スタルノフスカヤさんもその一人。日露混血の才能豊かな彼女がプロデュースする第10回みんなで楽しめるクラシック・コンサートが、1月15日(日)に開催されます。世界の人形館はこの素晴らしいコンサートの趣旨に賛同し、後援して7年になります。

 

                    

 

日時: 2017年1月15日(日) 14:00 開演 (13:30開場) 
場所:我孫子市
けやきプラザふれあいホール
アクセス:常磐線・千代田線 我孫子駅南口徒歩1分
入場料:一般 1300円 子供(4歳以上)・学生 700円  


 酷寒の折柄ですが、是非ご来場下さい。お待ちします。なお、チケットをお求めの方は下記の所へご連絡下さい。
お問い合わせ:
ジョイ・ファミリーコンサーツ TEL 0297−68−9517 または

世界の人形館 TEL 04−7184−4745 

         E−MAIL  ko-yasu@maple.ocn.ne.jp

 

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北方領土は返還されない!実効支配とスヴァールバル諸島の旅
10

 手ぶらでやって来た相手に見事に食い逃げされた!と言うのが率直な印象である。 夕食会では、名物のトラフグ、クルマエビ、和牛、長州地鶏など山口特産の食材をたっぷり使った日本料理や地元の銘酒「東洋美人」が振る舞われた由。さぞ美味かったであろう!客人は冷徹な独裁者と恐れられる柔道愛好者で、引き分けという柔道スタイルではなく「肩すかし」の相撲技で長州人を負かし、さっさと帰国した。日本の伝統国技まで演じるとは恐れ入るほかない。

 2012年12月に民主党(現民進党)に替わり安倍政権が発足以来、掛け声だけは威勢良いが成果はいっこうに上がらない。例えば、アベノミクス、デフレ脱却、一億総活躍プラン、TPP、そして今回の北方領土など。治安が悪く銃社会が蔓延るなど問題の多い外国なら、失政が続けば領袖は身の危険に晒され政権運営も困難になろう。しかし、平和ボケしている日本では今の所そのような動きも無さそうで、どこまでもツキのある御仁である。ツキも実力の一つのようだ。

 

 さて、件の客人とはロシアのウラジーミル・プーチン大統領、ツキのある長州人とは我が安倍晋三首相である。両首脳は一昨日(12月15日)から2日間、山口県長門市と東京で会談を行った。だが、元島民を含め国民誰もが期待した、平和条約締結の前提条件となる要の北方領土(択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島)の返還交渉は全く進展が無かった。日本外交の完敗である。

 元島民もガッカリしたようで、筆者も同様である。また、北方四島で特別な制度(?)で共同経済活動を行うとか、8項目の経済協力プランの推進はロシアに有利なものばかりで、しかも実現性の見通しが不透明なものが多い。また、残念ながら今回の首脳会談で、実効支配により北方領土は戻らないことが決定的になったようだ。そのことを国民に伝え理解を求める勇気が望まれる。         

 

     

    色丹島の港        プーチン大統領と安倍首相    択捉島の美しい自然

            山口県長門市の大谷山荘で

            (ネットより転用・加工済み)

       

 

 北方領土のうち歯舞、色丹2島の平和条約締結後の引き渡しを明記した1956年の日ソ共同宣言につき、「主権を返すとは書いていない」というのがプーチン大統領の理解である。現に同大統領は常々、「4島は勿論、1島すらも返還しない。領土問題を云々するのは、日本の勝手だ」と明言している。加えて、同大統領は日米安保条約に基づく日米同盟に対して不信感を持ち、返還後に米軍基地が置かれることを懸念する。これらの経緯は我が首相も百も承知の筈であり、それだけに無策とも言うべき外交は2〜3流と揶揄されるのもうなづける。

 

 今から約48年前の商社マン時代の1969年、気温が零下30度になる厳寒の1月〜2月に、筆者は旧ソ連(現ロシア)の首都モスクワに業務出張したことがある。目的はトリコットというナイロン編地の売り込みで、商談のお相手は政府公団のお役人。それまでユダヤ系アメリカ人、香港人、インド人などとの商売経験があり、丁々発止の商談には慣れていた。しかし、ロシア人との取引は初めてで、この時に全く勝手が違うロシア商法を思い知らされた。

 こちらがオッファー(売り申し込み)しても、きちんと期限内に返事をして来ない。諦めて日本へ帰った後、やっと返事が来て何とか商談がまとまった。この取引を通じて見かけは鈍重そうだが粘り強く、プライドも高い大国意識を持ち合わせていることを知らされた。半世紀近く経った今も、彼らの気質は不変であろう。外交も一種のビジネスではないかと思料する。安倍首相は外務省辺りから関連情報を入手している筈だが、筆者の知見も参考に願えれば幸甚である。

 

 ところで実効支配に関し、筆者は2012年4月24日の幣ブログで「尖閣諸島と世界の実効支配例」を詳述している。今回の日ロ首脳会談で日本側が見落としている、或いは軽視していると思われる重要なポイントがある。それは実効支配の厳しい現実の認識である。本件に就いては、272の国・地域を旅した私ことワールド・トラベラーは数多くの実効支配地を訪れている。

 例えば、アブハジア、沿ドニエストル、ナゴルノ・カラバフ、北キプロス、西サハラ、カシミール、エルサレム、フォークランド諸島などである。特にロシアは北方領土のほかにいくつかの実効支配国・地域を抱えて傑出しており、それなりの実績やノウハウを持っている自負があるのであろう。

 

                                −−− ロシアが実効支配する国(?)−−−

  

モスクワ:旧レーニン丘  沿ドニエストル:   アブハジア:壮麗なロシア

 (ヴァラビョーヴィ丘)   ドニエストル川   正教寺院 2013年旅行

  1969年出張   

  

  一方、実効支配に就いては、我が国はロシアの足元に及ぶまい。例えば、尖閣諸島は日本固有の領土と金太郎飴のように繰り返されるが、相手にされない中国にして見れば、同諸島は我が国に実効支配されていると言うのが同国の主張だ。北方領土のロシアvs日本は、尖閣諸島の日本vs中国と構図が似ているとも言える。ロシアが北方領土で日本に譲らないのは、尖閣諸島の絡みもあるのではなかろうか。

 

 ところで、先述の北方四島で特別な制度下の共同経済活動の件だが、ヒントになりそうものがあるので披露しよう。筆者は2003年8月に極北のスヴァールバル諸島を旅し、北緯78度に位置する諸島最大の町ロングイェールビーンをベース


に、主島のスピッツベルゲン島内を回った。同諸島は1920年ノルウェー領になって同国が主権を持つことになったが、スヴァールバル条約により資源利用は他国にも開放された。

 この権利を使い石炭採掘が盛んなスピッツベルゲン島の炭田には、ノルウェーのほかにロシアの炭鉱もある。そこでロングイェールビーンから遊覧船に乗り、雄大な氷河やフィヨルドなど眺めながら西進した。着いたところがロシア人労働者が住む炭鉱町バレンツブルグであった。スヴァールバル諸島第2の町にはロシア人やウクライナ人が1000人近く住んでおり、産出した石炭はロシアのムルマンスクへ積み出している。町にはほとんど全ての施設が整い、特に立派な博物館は炭鉱関係の展示が目に付いた。

 

               −−− スヴァールバル諸島−−−

  

 風光明媚な町を俯瞰     散策する筆者    バレンツブルグの中心

     (ロングイェールビーン)

 

 このバレンツブルグでは、主権を持つノルウェーの領土内でありながらロシア人などが働き生活し町をつくる、いわゆる共同経済活動をしているのだ。できれば安倍首相もこの例を北方四島で参考にして頂きたいが、一つしか無い主権はロシアが絶対に譲らないこと覚悟せねばならない。

 

 戦後71年経った現在も、日本とロシア間で平和条約が未締結は異常である。何とかそれを打破しようと、新しいアプローチを試みようとする安部首相のチャレンジスピリットはある程度評価できる。だが、高齢化する元島民のことを考えると、思い切った決断力が望まれよう。これは北朝鮮の長引く拉致問題と共通するものがあり、一刻の猶予も許されまい。

 

 (後記)プーチン大統領が帰国後、安倍首相が度々民放テレビに出演して懸命に釈明していた。しかし、終始歯切れが悪く、今回の首脳会談は不完全燃焼で空振りに終わったこと、賢明なご自身もお分かりであろう(12月19日)。

 

 因みに、実効支配に関する幣著書を下記紹介したく、ご関心ある方は是非ご購読下さい。

 

     私はワールド・トラベラー     272の国と地域を制覇した77歳のワールド

     世界257ヵ国・地域を旅した男    ・トラベラーは たった1人で紛争地を旅した   

      文芸社 定価1,500円+税          幻冬舎  定価1,400円+税

    

 

              ◇◇◇  ご案内  ◇◇◇

 

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